Stadiaの詳細を発表
クラウド型ゲームサービス「Stadia」の詳細をGoogleが発表した。11月のローンチ時のゲームタイトル、価格、そして対象地域だ。
Stadiaは2020年に本格開始する予定で、2019年は実験的なスタートでしかないが、それでも内容は予想外な内容だった。
どこが予想外だったか記します。
既存ゲームがほとんど
11月のローンチ時のゲームタイトルは31作だが、そのうちStadia独占タイトルは2作のみ。既存のゲームがほとんどだ。新しいプラットフォーム向けにゲームを開発するのは容易ではないが、少なくてもサービス開始当初は、今までにない新しいゲームが楽しめることにはならなそうだ。
有料サービスのみ
Stadiaを利用するためには、当面Founder’s Editionというパッケージを購入する必要がある(129ドル)。Founder’s Editionの内容は、Stadiaコントローラー(69ドル)、Chromecast Ultra (59ドル)、3か月分のStadia Proサブスクリプション料金二人分だ。二人分なのは友人へプレゼントするためだ。
一ヶ月間遊べるStadia Proの料金は99ドル。無料で遊べるサービスメニューは当面提供されない。
Googleといえば、Gmail、Google MapやGoogle Photoなど無料サービスを基本とし、ビジネスに使用するユーザーには有料オプションを用意するビジネスモデルだが、Stadiaのサービス提供は真逆で、有料が基本となる。
既存のゲームを提供するためには当然仕入れのコストがかかるが、基本的無料のGoogle Mapも相当のコストがかかっている。
最初無料のサービスを提供して、ユーザー数が増えてから有料プランに切り替えてもよかったと思う。どうしてGoogleはお得意の無料サービスではなく、有料にしたのだろう。
「ゲーム」というGoogleにとって初めてのビジネスに対して慎重になっていることがひとつの理由だろう。クラウドの維持管理コスト、ゲーム開発・納入コストはもちろん、ゲームはレイテンシーを減らすために高いパフォーマンスを維持する必要がある。それだけのサービスを維持するコストがGoogleでも完璧には見極められていないから、当初は有料プランのみにしたのかもしれない。
もうひとつの理由は、サブスクリプションに対するGoogleのスタンスだ。Googleが提供するミュージック、映画はすべて有料だ。無料サービスのYouTubeも以前よりも多くの広告が導入されて、広告モデルなしの「YouTube PRO」が導入された。
Googleが率先した「インターネットサービスは無料」というモデルが、サブスクリプション型の隆盛をきっかけに大きく変わろうとしている。
日本は対象外
11月に開始するサービスでは、日本は対象外だ。USやフランス、UKなど欧米諸国がサービス提供地域となる。2020年以降では、日本など非欧米諸国も対象になると思われるが、ゲーム大国である日本がローンチ対象国から外れたのは残念だ。
ローカライズの手間や、ローンチタイトルが欧米向けのものばかりなことから、日本を対象外にしたいのも理解できるが。
有料サービス主体への転換
インターネット勃興期から、インターネットのサービスは無料が基本だった。検索も動画も新聞記事もすべて無料で利用・鑑賞できた。何十年もインターネットを利用していても通信料金しか支払っていないユーザーも大勢いる。
検索は今でも無料だが、広告やショッピングサイトなどが一緒に掲載されるようになった。多くの新聞記事も有料になってきた。サーバやクラウドの運営コストは以前より安くなってきているのに、逆にサービスは有料化していく。
今までサービスが無料だったのは、個人情報をベースとした広告モデルがあったからだ。Gmailは無料で利用できる代わりに、メールの内容をGoogleが分析し、ユーザーにあった広告を表示している。そのモデルが各国で批判され、法律で規制されるようになってきている。
Stadiaのサービスが有料なのも、このような背景があると思われる。個人情報を利用した広告モデルをすべて是とはできないが、無料の楽園だったインターネットが大きく変わろうとしているのは間違いない。