「LinkBuds S」発表
ソニーが新しいワイヤレスイヤホン「LinkBuds S」を発表した。耳の穴をふさがない形状が特徴だったLinkBudsの兄弟機で、ノイズキャンセリング機能を搭載してきた。
ノイズキャンセリング機能で最も売れているAirPods ProとLinkBuds Sを徹底比較してみます。
- 「LinkBuds S」発表
- ドライバーユニット
- チップ
- 形状
- バッテリー駆動時間
- 耐汗耐水性能
- 空間オーディオ
- 操作性
- アダプティブサウンドコントロール
- 充電ケース
- マイク
- サイズと重量
- 価格
- まとめ
ドライバーユニット
- AirPods Pro・・・高偏位Appleドライバ
- LinkBuds S・・・5mmドライバーユニット
LinkBuds Sは5mmのドライバーユニットを搭載している。Appleのドライバーサイズは非公表だが、分解サイトによると縦4ミリ、横3ミリの楕円形をしている。サイズ的にはLinkBuds Sのドライバーユニットの方が大きいが、ドライバーユニットのサイズで音質が決まるわけではない。
チップ
- AirPods Pro・・・H1ヘッドフォンチップ
- LinkBuds S・・・統合プロセッサーV1
AirPods Proは自社設計のH1ヘッドフォンチップを搭載し、LinkBuds Sの・統合プロセッサーV1チップは、上位モデルに当たるWF-1000XM4と同じチップだ。
形状
LinkBuds Sは、耳にすっぽりおさまるよくあるワイヤレスイヤホンの形状をしている。AirPods Proはイヤホン本体からステムが垂れている独特の形状をしている。耳の中にはめるLinkBuds Sの方が安定している一方で、AirPods Proはステムをつまむことで的確に操作ができる利点がある。
バッテリー駆動時間
- AirPods Pro・・・イヤホン4.5時間 + ケース24時間
- LinkBuds S・・・イヤホン6時間 + ケース14時間
LinkBuds Sの方がイヤホンのバッテリー駆動時間が1.5時間長い。6時間連続して使えると、ケースに戻す必要がなく使い勝手はかなり良い。
ケースを含めるとAirPods Proの方が長く使える。
耐汗耐水性能
- AirPods Pro・・・IPX4相当
- LinkBuds S・・・IPX4相当
耐汗耐水性能は同等。雨でも汗でも問題なく使用できそうだ。
ノイズキャンセリング
- AirPods Pro・・・あり
- LinkBuds S・・・あり
ノイズキャンセリング機能は、LinkBuds Sのもっとも大きな特徴だ。
LinkBuds Sは、開放と没入の両立を試みている。2つのセンサーで逆位相の音を生成し騒音を排除する。ノイズキャンセリングの性能は、WF-1000XM4の前モデルであるWF-1000XM3と同等だそうだ。同じチップを用いているのにWF-1000XM4と性能が劣るのはイヤーピースとドライバーユニットの違いによるそうだ。WF-1000XM3との比較では、AirPods Proのノイズキャンセリングの方が優秀という評価が多いので、LinkBuds SよりもAirPods Proのノイズキャンセリング機能の方が優っている可能性が高い。
空間オーディオ
- AirPods Pro・・・空間モデルとダイナミックヘッドトラッキング
- LinkBuds S・・・360 Reality Audio認定モデル
AirPods ProはApple独自の空間オーディオとダイナミックヘッドトラッキング機能に対応している。空間オーディオは、ドルビー社の「Dolby Atmos(ドルビーアトモス)」に準拠しており、Apple MusicやAmazon Musicで対応した楽曲を聴くことができる。
LinkBuds Sはソニーの独自規格「「360 Reality Audio」に対応している。
操作性
- AirPods Pro・・・感圧センサー
- LinkBuds S・・・タッチセンサー
LinkBuds Sはイヤホンをタップすることで操作する。AirPods Proはステムをつまむことで操作する感圧式だ。LinkBuds Sのタッチセンサーは力を加えずに操作できるのが利点だが、イヤホンのタッチする場所を間違えてしまう場合がある。AirPods Proはイヤホン本体から伸びているステム部分をつまむので誤動作は少ないが、触ってつまむので1テンポ遅れる。
AirPods Proは、Hey Siri機能が使えて、イヤホンを触らずに音声だけで操作できる。LinkBuds Sも音声でGoogle アシスタント とAmazon Alexaを起動できるようになった。
アダプティブサウンドコントロール
- AirPods Pro・・・外音取り込みモード
- LinkBuds S・・・場所によってノイズキャンセリングをオン・オフ
LinkBuds Sでは、ノイズキャンセリングと外音取り込み設定、イコライザー設定が切り替わる。外音取り込みも20段階で設定できるので、状況に合わせて調整しやすい。また、場所によってノイズキャンセリングの設定を自動的に変更してくれる。
一方、AirPods Proはシンプルで、ノイズキャンセリングの有無と外音取り込みモードを手動で切り替えることしかできない。
充電ケース
- AirPods Pro・・・ワイヤレス充電対応
- LinkBuds S・・・ワイヤレス充電非対応
AirPods Proはワイヤレス充電に対応しているが、LinkBuds Sには非対応。ケースの形状はAirPods Proに似ているが、LinkBuds Sのケースは自立できる。
マイク
- AirPods Pro・・・デュアルビームフォーミングマイク、内向きマイク
- LinkBuds S・・・AI技術を活用した高精度ボイスピックアップテクノロジー
マイクの数は2つで同じ。LinkBuds Sのノイズキャンセリングの説明は、こちら。
高度な音声信号処理を行う高精度ボイスピックアップテクノロジーにより、高い通話品質を実現。5億サンプルを超えるAIの機械学習で構成された装着者の声とそれ以外の環境ノイズを分離するアルゴリズムによって周囲の環境ノイズを抑え、騒がしい場所でもあなたの声をクリアに抽出します。
サイズと重量
LinkBuds Sの特徴の一つは「軽さ」だ。
イヤホンの重量は LinkBuds Sは約4.8gで、軽量で評価が高いAirPods Pro(約5.4g )よりも軽い。LinkBuds Sはノイズキャンセリング搭載ワイヤレスイヤホンの中では最軽量だそうだ。
イヤホンの形状は耳全体にはめ込むタイプで、LinkBuds Sのイヤホンは薄くて軽いので耳から落ちる心配はいらなそうだ。
LinkBuds SのケースはAirPods Proに似ているが、こちらは自立する。ケースの重さは、LinkBuds Sが約35gで、AirPods Proの約45.6gなので、ケースでもLinkBuds Sの方がずっと軽い。その代わりケースのバッテリー容量はAirPods Proの方が多く、バッテリー持続時間も長い。
価格
- AirPods Pro・・・30,580円
- LinkBuds S・・・26,400円
販売価格ベースでは、LinkBuds Sの方が4,180円安い。両モデルは、メーカーが違うのでさまざまな点で違いはあるが、目立つのはワイヤレス充電の有無だ。マイナーチェンジしたAirPods Proはワイヤレス充電だけではなく、MagSafe充電にも対応した。USB-Cケーブルでしか充電できないLinkBuds Sより進んでいる。
まとめ
LinkBuds Sは、LinkBudsの軽くて安価な特徴を活かしながら、ノイズキャンセリングを搭載したイヤホンだ。ノイズキャンセリング機能を内蔵しているので、同じソニー製品であるWF-1000XM4の軽量版ともいえる。
WF-1000XM4はAirPods Pro対抗モデルとして開発されて、音質などで上回ったが価格がAirPods Proよりも高くなってしまったのが難点だった。
LinkBuds SはWF-1000XM4最大の欠点だった価格を下げて、AirPods Proと拮抗するバランスを手に入れた。
AirPods Proより劣る主な部分は、ケースのワイヤレス充電がないことだろう。LinkBuds SはWF-1000XM4よりノイズキャンセリングが少し弱いようだが、どこまで差があるかは実機で確認したい。
AirPods ProとLinkBuds Sの価格差は4,180円ある(実勢価格での差は縮まるが)。発売から2年が経過したAirPods Proは次期モデルが出てもおかしくないので、Apple製品以外でも良いなら、LinkBuds Sを選ぶのも良いかもしれない。