サイバーエージェントQ3決算
サイバーエージェントが2021年度第3四半期の決算を発表した。
売上高が前年同期比プラス35.8%、営業利益が前年同期比の約3倍の1000億円と絶好調の決算となった。細かく見ていきます。
「ウマ娘」パワー
前期に大ヒットした「ウマ娘 プリティーダービー」の3ヶ月分の売上が反映されたので、売上と利益とともに大きく伸びた。
ゲーム事業の売上がサイバーエージェントの本業である広告の売上を越えた。「ウマ娘」はゲームだけではなく、アニメやイベントをABEMAで流すことでメディア事業にも貢献している。
広告も前年同期比プラス27.3%で、過去最高だ。
ABEMAは?
赤字幅がいつも注目されるABEMAの売上は前年同期比1.5倍の好調を維持している。赤字幅は38億円と巨額ではあるが、売上が199億円あるので、黒字にしようと思えば製作費を少し削減すれば可能な範囲だ。
ABEMAの課題は?
ウマ娘のヒットで絶好調なサイバーエージェントだが課題はないのだろうか。
課題は、やはりABEMAだ。売上が伸びたABEMAだが、売上が伸びた理由はABEMAの周辺事業のおかげだ。ABEMAが売上の主力と位置付けていたCMによる広告収入とプレミアム会員の会費が伸びたのではなく、公営ギャンブルのネット投票の売上が伸びた。広告と月額料金はむしろ減少していて、売上の半分以上が周辺事業になっている。
いつの世でもギャンブルの需要は大きいが、競輪のネット投票はABEMAの専業ではない。ライバルが出れば売上が大きく減る危険性はある。ただ、ABEMAの優位点は、豊富な資金で製作した番組で視聴者を集めることだ。視聴者数が増えていけば、周辺事業との相乗効果がこれからも見込める。
地上波テレビでも敬遠されるCMの収入は伸びておらず、有料会員もAmazon Prime VideoやYouTubeとの激しい競争にさらされている。視聴者を集めることで通販はネット投票というCMではなく直接的な購買を促すのは、TVよりもネットの方が得意だ。
外資系サービスが強い動画配信サービス事業だが、ギャンブルのネット投票、通販という大きな金脈を一つ手に入れた。今後もABEMAの売上を安定させるためには、さらなる金脈を見つける必要があると思う。