宝島社より 「ふたりの余命 余命一年の君と余命二年の僕」 が発売になりました。私にとっては初の商業出版になります。
自分の小説が本屋に並ぶという中学生からの夢がようやく実現します! 興味がある方は書店で予約してみてくださいませ。

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文学のともし火を分け与える仕事

大仰なタイトルで駆け出しの小説家が何を偉そうに言ってんだと思う人がいるかもしれませんが、僕もそう思います。

それでも書きたかったのは、小説家という職業はそういうことなんだと実感できるポストを見つけたからです。

ふたりの余命」で検索してヒットしたポストで、「話題の新刊」として「ふたりの余命」が紹介されていました。それも錚々たる著者の中に入れてくださって、感謝感激です。
どんな方なんだろうとアカウントの固定ポストを覗くと、衝撃的な写真が目に飛び込んできました。
震災で全壊した書店の姿でした。ポストをした方が営んでいる桑畑書店は戦前から釜石市にあり、戦争で全焼した店を再建したのですが、東日本大震災により再び全壊し、現在は16坪のテナント店となっているようです。

震災当時、僕は関東にいたので、被災地の悲しみや辛さは報道でしか知りません。釜石が甚大な被害に遭われたことは知っていますが、実際に震災により人生が大きく変わった人がたくさんいることをどこまで想像できていたかは怪しいです。

大変な目に遭われたのに、こうして店を維持して、地方の人のために本を提供し続けている姿勢には頭が下がる思いです。

言われ続けていて呪文のようになっている出版不況により本屋がどんどん消えていっている現状の中で、こうやって頑張っている本屋さんが全国にはまだまだあることを改めて実感しました。

努力を続けている本屋さんのために微力な僕ができることは少しでも良い本(もっと端的に言えば売れる本)を作ることなんだと思います。
出版不況の一因に、「小説を読む人が減っている」ことが挙げられます。大げさに言えば「文学のともし火」が消えかけているわけです。
新人小説家の僕も、文学のともし火を絶やさない一助となれればと思います。

ふたりの余命 余命一年の君と余命二年の僕」には、「文学のともし火を若い人に分け与える仕事」という台詞が出てきます。
執筆中に自然に出てきた言葉で、書いているときは自分がその役割を担う決意を持てていなかったですが、お店に並ぶ自分の本を見ていると、そういう意識を持って執筆を続けることが大事だと思えるようになってきました。