Epicが裁判所に申し立て
独自の課金システムを導入したことがガイドライン違反だとして、Appleが「フォートナイト」をApp Storeから削除した措置を取りやめるようにEpicが裁判所に申立てした。
アプリを削除されたことで、フォートナイトのアクティブユーザー数は60%以上減少したそうで、Appleの措置がEpicのビジネスに甚大な被害をもたらしているとEpicは主張している。フォートナイトのユーザーのうちiOSユーザーが最も多く全世界に1億1000万人以上いるそうだ。
このEpicとAppleの争いはどうなるのだろうか。考えてみます。
ガイドラインに違反したのはEpic
Epicの主張は明確だ。Appleがアプリ販売のうち30%の手数料を徴収し、独自の課金システムを認めないのは、独占的地位の濫用だと主張している。
以前から主張していたが、ついに実力行使をして独自の課金システムをフォートナイトに導入した。それがガイドライン違反だとしてAppleがフォートナイトのApp Storeでの販売を停止する措置に出た。
iOSはAppleが多額の投資をして構築した巨大プラットフォームだ。そのプラットフォームで勝手に商売するのを許したくないというAppleの意向も理解できる。
ただ、iOSのように全世界で利用されているプラットフォームが閉鎖的で独占的なままで良いのかは議論の余地がある。
PCの世界、WindowsやmacOSではソフトウェアを自由にインストールできる。自由にアプリを開発し配布できるオープンな世界は、一方でウイルスを混入したり、粗悪なアプリが濫造されたりと問題もある。
独占的プラットフォームを構築してビジネスを行う手法は、携帯電話の世界ではiモード、任天堂やソニーのゲーム機市場で用いられた。
プラットフォームにインストールするアプリを認可制にして、販売額から手数料を徴収するのがプラットフォームビジネスだ。粗製濫造されたゲームがはびこり市場が一瞬に崩壊したATARIショックの反省から、ゲーム機はこのプラットフォームビジネスを導入している。
ゲームの開発コストが急騰し、新たなアプリが容易に開発されない弊害に対処するために、Nintendo Switchではインディーズゲームのマーケットを任天堂は設けた。
話は逸れたけど、ゲーム機という限定された用途なら良いが、全世界の人々の生活を左右するほどの影響があるスマートフォンのプラットフォームが閉鎖的なままで良いのか意見が分かれるところだ。
ただ、現状のEpicのやり方はかなり無理筋だ。EpicはAppleのガイドラインに納得してアプリをApp Storeにアップロードしている。独自の課金システムを導入したのは、自分たちが納得したガイドライン違反に当たる。
Appleは、ガイドライン違反の機能をEpicが修正すればアプリを復活すると言っている。ガイドラインさえ遵守してくれれば、AppleがEpicに不利益をもたらすことはないと大人の態度を見せている。
裁判の見通しは?
裁判の結果はもちろんわからないが、ビジネスに甚大な影響をもたらしている販売停止を一時的に解除する命令を裁判所が出す可能性はあるだろう。
もちろん、ガイドライン違反というAppleの主張を認めて、申し立てを却下することもあり得る。
前述したように自分たちが納得したガイドラインに違反したEpicのやり方は強引だ。課金システムを廃止して、ガイドライン遵守したのちに、iOSのような公共性が高いプラットフォームのあり方は議論するのが良いように思う。
なんの成果も得られないまま元の状態に戻すのはEpicとしては本意ではないだろうが、そうしないといつまでも経っても議論は平行線のままだ。困るのはフォートナイトで遊べないユーザーだ。