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藤井聡太七段が最年少タイトルに王手。デビュー29連勝から3年の間に何があったのか?

最年少タイトルに王手

棋聖戦第二局で渡辺三冠に勝利し、藤井聡太七段が最年少タイトルに王手をかけた。あと1勝で30年間誰に破られなかった最年少タイトルを獲得し、高校生タイトルホルダーが誕生することになる。

ここに来て藤井七段が注目を浴びているが、将棋に興味がなかった人にとっては、藤井七段のニュースを観るのはデビュー時の29連勝以来、3年ぶりかもしれない。

一般の人の中には「デビューから3年の間藤井君はどうしていたんだろう?」「まだタイトル獲っていなかったの?」と疑問を抱く人もいるかもしれない。

3年の間、藤井聡太七段に何があったのか振り返ってみたいと思います。

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順調に成長してきた藤井七段

結論から言うと、デビューから3年の間、藤井七段は確実に成長してきた。

非公式ながら棋士の強さを測るレーティングというものがある。

これは、藤井七段と羽生永世七冠のデビュー以来のレーティングの推移だ。デビュー以来29連勝で急速に上昇した藤井七段のレーティングはそのあとも順調に伸び続けている。伸び率は羽生永世七冠のデビュー当時よりも上回っている。

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こちらはデビュー以来の勝率。段位が上がり勝ち進むと、より強い棋士と当たるようになるので勝率は下がるのが普通だが、藤井七段の勝率は下がっていない。一般棋士では勝率7割でかなり勝っている評価になるが、藤井七段は史上初の三年連続勝率8割を達成し、今年度は9割の勝率を誇っている。

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数字を見ても分かる通り、藤井七段は順調に白星を重ね、成長してきた。

どうして今までタイトル挑戦できなかった?

では、最高勝率を誇る藤井七段は3年間どうしてタイトル挑戦できなかったのだろう。29連勝時には、すぐにでもタイトルを総なめしそうな勢いだと言う人もいたのに。

タイトル挑戦の道は長い

タイトル挑戦するためには予選を勝ち続けないといけない。

段位と順位が上がるとシードがもらえる棋戦は多いが、デビューしたばかりの棋士は段位も順位も低く、一次予選から勝ち進まないといけない。

史上最年少でタイトル挑戦となった第91期棋聖戦で藤井七段は一次予選から10連勝してタイトル挑戦権を勝ち取った。

勝率8割でも確率的に10連勝するのは簡単ではない。勝ち星が集まらないとタイトル挑戦はおぼつかない。

タイトルを獲得すると、多くのタイトル棋戦でシードがもらえるので、ここまでの連勝を重ねなくても複数のタイトルに挑戦できるようになる。

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トップ棋士の壁

確かにデビューから藤井七段は勝ち進んできた。だが、トップ棋士相手の長時間棋戦では苦杯をなめてきた。

2018年度の藤井七段の勝率は8割5分だが、トップ棋士と呼ばれるA級B級棋士との勝率は6割だった。本質的な棋力の差が出やすい長時間棋戦に限定すると0.333と低い。2018年度の時点では中級棋士には勝ててもトップ棋士には歯が立たなかった。

その後、対局を重ねた結果、藤井七段の棋力が伸びて、2019年11月以降、長時間棋戦のトップ棋士相手に10連勝している。

2019年から2020年にかけて、藤井七段の棋力がトップ棋士を凌駕するまでに到達した。

コロナ禍がもたらした研究期間

藤井七段は現役高校生だ。将棋の研究と勉学を両立しないといけない。365日将棋の研究に勤しむことができる他の棋士と比べて明らかに不利だ。

そこに起きたのがコロナ禍だ。緊急事態宣言以降、長距離移動を伴う対局は制限され、愛知県瀬戸市に住む藤井七段は2ヶ月間対局ができなかった。学校も休校になっていたので、その間藤井七段は自宅で研究に集中することができたはずだ。

研究の成果がでたのか、自粛明け以降8勝1敗の好成績を収めている。初めてのタイトル挑戦である棋聖戦で現役最強とも渡辺三冠相手に2連勝、昨日の第二局は後手にもかかわらず完勝だった。

どこまで伸びるのか

デビューから3年の間、藤井七段は順調に成長して、ついにトップ棋士に勝てるまでの棋力を得た。

藤井七段は17歳だ。現時点でトップ棋士と比肩する能力を持っているとしたら、この先どうなるのだろう。

将棋の世界では、若くしてデビューした棋士が大成している。中学生棋士である加藤一二三九段、谷川九段、羽生九段、そして渡辺三冠はいずれも大棋士になった。中学生棋士が最も伸び代が大きい事を彼らが証明している。

現役棋士で最も若い藤井七段は一番伸び代が大きいことになる。現時点でトップ棋士を凌駕する能力に達しているとすると、今後どこまで彼は強くなるのか恐ろしい。

今までとは次元が異なる将棋を藤井七段は見せてくれるかもしれない。

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