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「第12回ポプラ社小説新人賞」奨励賞受賞作の「夏のピルグリム」を7月18日に刊行

「第12回ポプラ社小説新人賞」奨励賞受賞作の 「夏のピルグリム」 が7月18日に発売になります。初の単行本形式の小説です。
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Microsoft Store全店閉店。Apple Storeだけが成功した5つの理由

Microsoft Store全店閉店

米国を中心に展開していたMicrosoft Storeを全店閉鎖するとMicrosoftが発表した。新型コロナウイルスの影響としているが、Microsoftの店舗ビジネスが成功していたとはお世辞にも言えず、ウイルスを口実にして閉鎖に踏み切った感じもある。

Apple Storeの成功を見て、Microsoft StoreはMicrosoft製品の体験と販売のために2009年から出店をはじめた。以前は全米に100店舗以上あったが、現在は72店舗と数を減らしている。Apple Storeと異なり海外への展開も少なく、カナダ、オーストラリア、英国、プエルトリコに数店舗あるだけだ。

Microsoftは実店舗戦略に失敗したが、Apple StoreのまねをしたのはMicrosoftだけではなく、DellやHPも似たテーストの店舗をオープンさせたが、Microsoftと同様に成功しなかった。

逆にどうしてAppleだけが実店舗で成功したのか考えてみます。

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End To End

Apple Storeは、量販店でぞんざいに販売されている自社製品を見たジョブズが、最高の顧客体験を提供するためにはじめたと言われている。

Appleのビジネスは垂直統合モデルで、ハードウェア、OS、ソフトウェア、サービスすべてを自社で開発し、Appleの統一された世界で完結できるようになっている。

それらの製品に触れ購入する場としてApple Storeがあるので、Apple Store内ですべてのIT体験を完結することができる。

Appleほどの垂直統合モデルを実現できている企業は他にない。MicrosoftはAppleの垂直統合モデルを模倣して、WindowsとOfficeに加えてSurfaceというハードウェア製品を投入したが、スマートフォンでは失敗し、ウェアラブルデバイスは開発していない。動画配信などのサービスもない。

これでは完結したITの世界を提供することができず、一社が単体でストアを運営する意味が薄い。

高いブランドイメージ

Apple Storeが成功した理由の一つが、Appleの高いブランドイメージだ。世界最高のブランド価値をもつAppleだからこそ、Apple Storeは成功した。

元々Apple Storeはブランド価値を高める目的もあったので、Apple Storeの存在自体がAppleのブランド勝ちをさらに高める好循環になっている。

Appleのブランドイメージは「高級」だけではなく、カルフォルニアの空気を感じる「オープン」な雰囲気があり、Apple Storeの開放的なな店舗レイアウトとフレンドリーな接客ともよく合っている。

iPhoneのボリューム

現代ではPCよりもスマートフォンの出荷台数の方がはるかに多い。Apple Storeの出店が加速した背景にはiPhoneの成功がある。Apple Storeは販売だけではなく、修理拠点の役割を担っているからだ。

一般の人がiPhoneを使うようになり、修理拠点としてApple Storeの存在価値が増した。

iPhoneの販売開始後、Appleのハードウェア売上が飛躍的に伸びて、Apple Storeの店舗あたりの売上も大きく伸びた。

多額の投資

Apple Storeは「Appleの商品」でもある。他の製品・サービスと同様に、店舗デザインにも妥協していない。多くのApple Storeで使われる巨大な一枚ガラスは高価なものだが、見栄えをよくするために惜しみなく使われている。一部のStoreでは、つなぎ目を減らすために一本つながった長い手摺を採用している。

Apple Storeの展示してある商品には、家電量販店にありがちなワイヤーなどなく、自由に体験できる。その代わりに万が一Apple Storeから盗んだ場合、盗んだデバイスに警告が表示される仕組みが構築されている。

Microsoft StoreもApple Storeを意識して同じような店舗デザインを採用しているが、Appleほど徹底できていない。

もうひとつ、投資はハードウェアだけではなく、人材にも投資されている。Apple Storeの店員は多言語に対応し、フレンドリーな接客はAppleのブランドイメージとよくあっている。

ジョブズの卓見

よく言われることだが、Apple Storeの1平米辺りの店舗面積の売上は全米一で、2位のティフファニーの倍以上だ。

効率が良いインターネット販売による直販がもてはやされた20年以上前に、実店舗を展開したジョブズの卓見は素晴らしかった。

高いブランドイメージを背景に、ボリュームがあるiPhoneの成功が重なり、Apple Storeは他社にない成功を収めることができた。

最近のAppleは販売・修理だけではなく、体験に重きを置いている。

今は新型コロナウイルスで中断しているが、コロナ前は無料の体験セミナーを毎日実施していた。収益にダイレクトに影響を与えないイベントを行う理由は、ブランドイメージの向上と地域との連携強化だ。

過去の成功にとどまらず、Apple Storeは次の段階に踏み出している。このチャレンジ精神が他社とは異なり、Apple Storeが成功した一番の理由かもしれない。

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