HomePodが製造終了
Appleのインテリジェントスピーカー「HomePod」が製造終了になるようだ。すでにアメリカのオンラインストアでは注文ができなくなっている。
製造終了をAppleも認めていて、今後は小型版である「HomePod mini」を販売していくそうだ。
HomePodが製造終了する理由を考えてみました。
売れなかったHomePod
製品が製造終了になるのはモデルチェンジか不人気の場合だ。HomePodsはモデルチェンジが原因ではないだろう。モデルチェンジならAppleが製造終了を認めることもHomePod miniを推奨することもないだろう。
端的に言って、HomePodsは不人気なので製造終了に追い込まれたのだ。
どうして売れなかったのだろう?
価格が高い
HomePodは高い。税別32,800円もする。HomePodはアメリカでは2018年に発売され、当初は349ドル(約39,000円)だったが、高過ぎるということで2019年に299ドルという現行価格に値下げされた。それでも人気が上向くことはなかった。
HomePod登場以前からAmazonとGoogleのスマートスピーカーが人気だった。以前からSiriを展開していたAppleが満を持してHomePodを2017年に発表し2018年に発売したが、トップシェアのAmazonは1万円以下からラインナップを揃えていて、HomePodとの価格差は圧倒的だった。
HomePodはスマートスピーカーではなく、音声で操作できる高級スピーカーだとAppleは主張したが、市場はHomePodをAmazon Echoなどと同列に評価した。
嵩張る
HomePodは"スマートスピーカー"としては巨大だ。音楽鑑賞を愉しむスピーカーとしては決して大きくはないが、Amazon Echoなどと比べれば嵩張るし、重たい。
スピーカーとして本格的に音楽鑑賞に使うなら、モノラルではなくステレオで使いたい。そのためには、2台のHomePodを部屋に配置しないといけない。HomePodはステレオスピーカーで使える設計になっているが、2台置くとなると余計に場所を取るし、前述の高価格がネックになってくる。
HomePod miniの存在
いくらAppleがHomePodはスマートスピーカーではないと主張しても高価格と大型ボディを市場は評価しなかった。
そこでAppleは2020年10月にHomePod miniを発表した。HomePod miniはHomePodの弱点を補った製品だ。
ボディは小型化され10,800円と低価格に抑えられたHomePod miniはAmazonのスマートスピーカーには敵わないが、Appleのブランド力と高品質なサウンド再生機能のおかげで、スピーカー市場の中で一定の地位を占めることに成功した。
小さく安いので2台購入してMacの両脇に置いて、ステレオスピーカーとして使いたくなる。
HomePod miniはツイーターの数やスピーカー性能を自動で適切に調整してくれる空間認識機能の有無などHomePodとの違いはあるが、ほとんどのユーザーには問題とはならないだろう。それよりも低価格と小型ボディの方が好評価だった。
HomePod mini発売以降はHomePodはほとんど売れていないと思う。
最初からHomePod miniで発売していたら
Appleは色々いうだろうが、HomePodは失敗作だったと思う。後発となったスマートスピーカー市場で遅れを取り戻すために、Appleは高級インテリジェントスピーカーという独自の道を開こうとした。自社のブランド力とiPod以来の音楽市場でのポジションを活用しようとしたが、高価格・大型ボデイのHomePodはAppleの力を持ってしても受けいられることはなかった。
HomePod miniはある程度の人気を保っているが、豊富なラインナップを誇り、ここ数年の間に機能を拡張し続けてきたAmazon Echoシリーズとは大きな差がある。スマートスピーカーの主戦場はディスプレイ付きにシフトしており、Appleよりも数十歩先を進んでいる。
音声認識をSiriで世に広めたのはAppleだったのに、スマートスピーカー市場の拡大を予見できなかった。
もしも、もう数年早くHomePod miniを発売していたら、スマートスピーカー市場は全く違う状況になっていたかもしれない。