日本版HomePod
ワイヤレススピーカー「HomePod」をこの夏日本で発売するとAppleが発表した。HomePodは2018年に発売れされたSiriを内蔵したスピーカーだ。Siri日本語版は昔からあるのにローカライズに時間がかかり、今年になって中国版が登場し、日本語版もやっと登場した。
時間はかかったが、待ち望んでいた人は少ないのでは。おそらく、きっと日本では売れないと思うが、その理由を考えてみます。
高い
なんと言ってもHomePodは高い。32,800円もする。Amazonのスマートスピーカー「Amazon Echo」は11,340円。音声アシスタントを楽しむなら、より安価なAmazon Echo dotもある。
Googleのスマートスピーカー「Google home」は15,120円。HomePodは他社製品の2倍から3倍のお値段で、同じカテゴリーの価格帯ではない。
HomePodはAIアシスタントがメインではなくスピーカー性能が売りだから、たしかにAmazon Echoなどのスマートスピーカーとはカテゴリーが異なる製品ではある。
ただ、Amazon Echoも2代目になりスピーカー性能が向上している。さらにAmazon EchoはBluetoothと3.5 mmステレオジャックが内蔵されているので、外部スピーカーと接続して利用できる。2万円あれば結構な音質のスピーカーが買える。
Siriの性能が低い
IQテストでは、Googleアシスタントが圧勝、Siriは最下位だった。質問に回答するなら検索サイトを運営しているGoogleにはかなわない。Siriも当初よりは進化しているが、Googleには及ばない。GoogleやAmazonは精度を高めるために多くの社員がユーザーの音声を解析しているというが、個人情報を守ると標榜するAppleは音声情報と個人情報を紐づけて管理していない。
どちらがよいかわからないが、SiriがGoogleアシスタントの領域に到達するのは困難だろう。
Apple Musicが独占ではない
以前のApple MusicはApple製品でしか利用できなかったが、日本でもAmazon EchoがApple Musicに対応した。Google HomeがApple Musicに対応する可能性もある(2月に一時的に対応したが、バグという話だった)。
HomePodはApple Musicにしか対応していないが、Amazon EchoはAmazon Music以外にもdヒッツやうたパスなど多くの音楽配信サービスに対応している。
HomePodもAirPlay経由であればSpotifyなどをストリーミングで流すことができるが、スピーカーが直接連携していないのでひと手間かかる。
家電コントロールがいまいち
HomePodはAppleの家電コントロールシステム「HomeKit」に対応しているが、HomeKitに対応した家電は少ない。Alexaはスキルを付与することで他社製の家電をコントロールできるし、GoogleアシスタントもGoogleホームと連携できる。
スマートスピーカーの大きな魅力のひとつは音声で家電をコントロールできることだと思っているので、その点でもHomePodは魅力が小さい。
時代はディスプレイ付き
HomePodが世界展開に時間を掛けている間に、ライバルのAmazonとGoogleは大きく先行している。AmazonとGoogleは世界展開を2年前に完了し、今はディスプレイ付きのスマートスピーカーの開発に競争の場を移している。
スマートスピーカーは音声で命令できる点はよいが、耳からの情報取得は時間がかかるので、ディスプレイと併用して視覚的に情報を表示するのが今のトレンドだ。
スマートスピーカーとしてはHomePodはすでに時代遅れになりつつある。
Apple製品にしか対応しない
他のApple製品と同様にHomePodはApple製品としか連携しない。スピーカーなのでスマートフォンと接続する必要はないが、Apple製品とサービスを用いないと音を出すことができないのだ。
個人アカウントを利用できない
GoogleやAmazonのスマートスピーカーは音声によって個人を聴きわける。HomePodは個人を認識で来ないので、メモやカレンダーとリンクしてしまうと他のユーザーに情報が漏れてしまう。
AppleそのもののHomePod
HomePodはApple製品そのものだ。自社のサービスと製品しか対応せず、デザインは良いが他社と比較して高価だ。自社製品のみに使うなら、そこそこ便利ではある。
ただ、他社製品と比較してしまうと、現状のHomePodを積極的に選ぶ要素は少ない。
信者の信仰心が問われる製品とも言われるHomePod。日本で売れるかどうか注視したい。