仮想通貨「Libra」登場
Facebookが中心となって新たな仮想通貨「Libra」(リブラ)を立ち上げようとしている。仮想通貨というとビットコインのように投機目的の運用が目立つが、リブラはリブラ自体の価値は変わらず、既存の通貨に代わり個人間の送金などを目的としている。
世界中には金融機関に口座を持てず、手数料が高くて利用できない人も多い。ブロックチェーン技術を用いることで、手数料のかからない誰でも安価で利用できる金融サービスを全世界で実現するのがリブラの理念だ。
だが、トランプ大統領が「仮想通貨は好きではない」と発言し、リブラを規制しようとしている。
おそらくきっとリブラは全世界で通貨として使われる時代はなかなかこないと思う。
通貨は国家
国家を構成する要素は複数あるが通貨も重要な要素のひとつだ。政府や発行銀行(日本では日銀)が通貨の入出を管理することで経済をコントロールしている。自国通貨の価値を維持しながら、他国の通貨との調整を政府と日銀が行っている。
仮想通貨が世界で流通するためには、一国だけの規制を受けるわけにはいかない。
リブラが浸透し多くの人が利用するようになれば、国家がコントロールできない取引が増えてくる。徴税も難しくなる。
また、人々が仮想通貨を使うにはリブラが安定して信用を得る必要がある。リブラに暴落する危険性があれば人々は利用しづらい。リブラは「Libraリザーブ」という実在の資産を確保することで、リブラの信頼性を保証することになっている。
ただ、その保証はあくまでも民間の団体が行うものであり、国家ではない。
今の法定通貨がグローバル経済の制約になっているのは間違いない。為替相場によって価値は上下し、手数料もかかる。グローバル仮想通貨が実現すれば、便利だと思う。
現在、アメリカなどでどのようにリブラを扱うか議論が進んでいるし、Facebookも議論の決着がつくまで強引に導入しないと言っている。個人情報漏洩で評判を落としたFacebookは、リブラを強引に導入するつもりはないようだ。
リブラが実現するかどうかは、かなり長期的に見る必要があると思う。