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ahamoや楽天モバイルの攻勢にMVNOが生き残る鍵は従量制課金

MVNOは大丈夫?

 ahamaから始まった各キャリアの値下げ攻勢は楽天モバイルの発表で大体でそろった。ahamoなど3大キャリアは20GB2,980円と大容量をカバーし、MVNOは5GB未満の少容量をカバーするような棲み分けができると思っていたが、楽天モバイルが従量制ワンプランを発表した。1GB未満はゼロ円、5GB未満は980円という破格のプライスで、多くのMVNOよりも安い価格設定だ。しかも、楽天モバイルは専用アプリを使えば通話料金がゼロ円で、通話料が比較的割高なMVNOとの差は大きい。

MVNOは3大キャリアから回線を借りているので、昼休みなど混雑時には3大キャリアより遅いのが通常だ。

「高くて遅い」となるとMVNOの存在意義がなくなってしまう。MVNOは今後どうなっていくのか考えてみます。

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MVNOの存在意義

MVNOは、サポートやサービスをシンプルにすることで価格を抑えるビジネスモデルだ。MNOほどサポートもサービスも充実しなくてもいいから安価でスマホを使いたいユーザーにとってMVNOは有力な選択肢だった。

ところが、今回のahamoやpovoはオンライン限定の受付で、オプションサービスもなくシンプルな立て付けになっていて、MVNOのプランと似通ってきている。

ただ、ahamoやpovoは20GBの大容量プランだけだ。オンライン限定とはいえMNOは組織が大きく回線維持費や管理費などがMVNOより相対的にコストが高くなるので、価格が低くなる小容量プランでは利益が小さくて売りづらい。

小容量プランは小回りが効くMVNOの方が得意のはずだが、そこに0GBから無制限のデータ容量をカバーする楽天モバイルの新プランの登場で雲行きが怪しくなってきた。

0GBから無制限となるとMVNOが入る隙間がない。

これは各サービスの価格とデータ容量の比較だ。緑色が最安値のプラン。

f:id:tkan1111:20210129182841p:plainこれだと3GBから20GBまでならmineoが最安値に見えるが、あくまでもこれはデータ容量だけの比較だ。アプリを使えば通話料無料の楽天モバイルの方が多くのユーザーにとって月々の支払いを安く抑えられるケースが多いと思う。

楽天モバイルはワンプランで使い方によって変動するので、あまり出歩かない月は支払いを抑えられる。mineoはデータ容量ごとにプランが決まっているので、安いプランにしていると、データ消費が多い月は割増料金を払わないといけなくなり、楽天モバイルよりも高くなる(mineoは月々の余ったデータ容量を繰り越せるサービスや他の人からもらえるフリータンクなどはある)。

総合的に考えると、MVNOが楽天モバイルに価格面で太刀打ちできそうにない。

回線品質では?

MVNOは回線を3大キャリアから借りていて、昼休みなどの混雑時は速度低下が起こる。楽天モバイルもauから回線を借りているが、MVNOほど速度は遅くならない。ただ、楽天モバイルはauのローミングから自社回線へ切り替え始めている。いずれはauとのローミングをやめて自社回線だけしか使えなくなる。楽天回線はいわゆるプラチナバンドを持っていないので地下鉄や屋内ではつながりづらいと言われている。

今回の新プランの発表でauが楽天に危機感を強めたとしたら、ローミングを早めに終了する可能性もある。

とはいえ、現時点では回線品質もauが使える楽天モバイルの方がMVNOより上だ。

MVNOの生き残る道は?

大容量はMNOが、低容量は楽天モバイルが強いとなるとMVNOの生き残る道はどこにあるのだろう。

ひとつは、3GBから20GBまでの中容量データのエリアだ。3GBまでは980円の楽天モバイルには勝てないが、3GBを超えると1,980円になるので、mineoの方が安くなる。通話料では太刀打ちできないが、LINEやFaceTimeを多用する人ならトータルの費用もmineoの方が抑えられる。

もう一つは、1GB未満だ。1GB未満なら0円の楽天モバイルに勝てなそうだが、楽天モバイルの0円は最初の1回線契約だけだ。子供や両親分を一つの楽天IDで契約すると2人目から最低980円の支払いになる。

あまりデータ消費をしない人向けにMVNOが1GB未満を980円以下で提供すればファミリー層を得られるのではないか。

従量制課金に移行できるか?

小容量から中容量がMVNOの生き残る道だと思うが、楽天モバイルが強い分野でもある。楽天モバイル新プランの強みは0円だけではなく従量制課金だ。従量制にすることで月々の使い方に合わせて支払額が変わるので、自分がどのプランに合うのか考える必要がない。

安価なプライスを指向するMVNOこそ従量制課金を目指すべきだ。2回線目や家族向けなど普段あまり使わない人が契約できるようにするために従量制課金は最適だ。

従量制課金で多くのユーザーを集めて、使わない時は0円に近い支払いで、頻繁に使った時だけ多少多く支払ってもらうスタイルは、店舗が少なく固定費の割合が低いMVNO業者には最適だと思う。

従量制に移行すれば全体の売上は減るかもしれないが、3大キャリアや楽天モバイルが値下げに踏み切った現状、生き残るためにはこれしか道がないように思う。

 
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