「home 5G」発表
NTTドコモが5G回線に対応したホームルーター「home 5G」を発表した。home 5Gはドコモの4G・5Gモバイル回線を受信してWi-Fiルーターとして機能する。
自宅に光回線などの高速インターネット回線がなくてもhome 5Gさえあれば、自宅にインターネット環境を構築することができる。
home 5Gは5Gネットワーク環境のキラーコンテンツになるか考えてみます。
home 5Gサービスの概要
home 5Gは最大4.2GHzの5G回線を使うので、5Gさえ安定して掴むことができれば、家庭内のインターネット環境の速度としては申し分ない。home 5GはWi-Fi 6に対応し有線は1GHzなので、Wi-Fiルーターのスペックとしても全く問題ない。光回線は回線工事が必要なので申請から使用開始まで時間がかかるし、工事費も別途必要だ。home 5は電源さえあれば、すぐに使える。
home 5の価格は契約事務手数料3,000円、月額料金は4,950円だ。この価格がちょっと微妙だ。ドコモのギガプランとセットで契約すると、「home 5セット割」として1,000円割引になるが、ahamoなどの格安プランが流行っている現状で3GB以上で5,000円以上するギガプランに加入するのは勇気がいる。
ギガプランは無制限だと7,315円かかる。home 5Gは4,950円なので、それよりは安いが、宅内回線の代替として考えて、光回線と比較するとどうだろう。
ドコモの光回線「ドコモ光」のマンションタイプはプロバイダ込みで2年契約月額4,400円、戸建てでだと5,720円かかる。
戸建てタイプと比較すると、home 5の方が安いが、マンションタイプだと光回線の方が安い。
光回線の場合は工事費(戸建:19,800円、マンション:16,500円)が別途かかるが、長期間を使うことを考えると、光回線の方が価格的には有利だ。
5Gのキラーコンテンツになる?
鳴り物入りでサービスインした5Gだが、現状5Gを使う大きなメリットが見出せていない。放送やリモート操作に使えるとキャリアは宣伝するが、回線エリアの問題もあり、一般ユーザーがメリットを享受する環境にはなっていない。そもそも現状の4G回線が遅くて困っているユーザーは少数派だろう。
光回線の代わりに自宅で5G回線が使えれば便利だし、自宅でも外出先でもどこでも同じ5G回線が使えれば、節約になる。こうなれば5G普及は進むはずだ。
だが、home 5Gはそのような仕様のサービスではない。home 5Gとギガプランの両方に加入すれば、月額1万円以上超えてしまう。
これでは高すぎて、現行の光回線+4Gから移行しようとは思えない。長期間使うのであれば、現状のプランでは、home 5Gよりも光回線の方が価格面で有利なケースが多い。
5G普及のために、ドコモには大胆な価格でhome 5Gを提供して欲しいけど、ドコモ光など既存サービスとの兼ね合いも透けて見える。home 5Gがあまり安いと光回線が廃れてしまう危険性はある。この辺りの背景に、光回線を大きな商売にしているNTT本体とドコモの合併が影響していると言ってしまうと言い過ぎかな。
では、home 5Gは全く使えないのだろうか。home 5Gが最も便利なのは「すぐに使える」ことだ。5G回線エリア内なら(4Gエリアでも一応使える)、電源をさしてすぐに家庭内インターネット環境を構築できる。
賃貸に住んでいて、頻繁に引っ越しをする人なら、引越しのたびに高速回線を申し込む面倒くささは承知だろう。引越し先初日から高速インターネット回線が使えるようにするのはタイミングが難しい場合も多い。そういう人には引越し先で高速回線を毎度契約するよりは、home 5Gを持ち歩く方が簡単だ。
home 5Gは5Gの普及を後押しするキラーコンテンツにはなり得ないかもしれないが、転居者など特定のケースでは効力を発揮するサービスだと思う。