株価が30%下落
Netflixの会員数が10年ぶりに減少したことを悲観して株価が30%下落した。失った時価総額はなんと7兆円。いくらなんでも下がりすぎという気もするけど、Netflixの売上のほとんどが会費なので、会員数が減少すれば売上も減る。
会員数が減った理由は、ロシア事業からの撤退もあるが、今後のマイナス成長予測が公開され、現状のサブスクモデルの限界が確認されたことが失望を生んだ。
Netflixの不調からサブスクの限界を考えてみます。
サブスクモデルの成長限界
サブスクモデルの収入源はユーザーが支払う会費だ。ユーザーが毎月支払ってくれることで経営が成り立っている。毎月日銭が入るので、安定した収入が得られるのはよいが、「成長」するには会員数をずっと増やし続けないといけない。
ハードウェアを販売するのとは異なり、「買い替え」というものがサブスクには存在しない。映画産業とも違い、新作を発表したからといって、すぐに売上が伸びるわけではない。
動画配信に興味のある人が一通り会員になってしまえば、成長は限界に達してしまう。会員数が伸びなければ、会費を上げる以外に売上を伸ばす術がないが、値上げすれば、既存会員が逃げてしまうリスクが生じる。
この状況はNetflixだけではなく、サブスクモデルに頼る全てのサービスに共通する特徴だ。Amazonのように、サブスクだけではなく、ほかのビジネスがあればよいが、そうではないサービス企業は新たな収入源を探す必要がある。
本当に成長が必要?
Netflixの限界といっているのは新規会員数の話で、今回も会員数が大幅に減少したわけではない。株価を気にしないなら、今までのビジネスは継続できる。
とは言っても、株価が下がれば経営責任が問われるので、経営者としてはなんとしても成長を維持する必要がある。
Netflixは、新たな会員を得るために広告付きの安い月額プランを計画しているそうだ。他の事業が乏しいNetflixとしては、なんとしても会員数を増やしたい。
広告は麻薬だ。広告をつければ売り上げは増える。だが、広告を増やせばユーザーの視聴体験は損なわれ、既存会員離れを引き起こす。
既存会員には広告は表示されないが、マイナス成長が続けば、既存会員も広告を観なければいけない日が来るかもしれない。