ランニングアプリを比較
Apple Watchを買って、せっかくだから走ってみようと思っている人もいるでしょう。Apple Watchにはいくつかのワークアウト用のアプリがあるので、どのアプリが良いか、最初は迷います。
実際に、主要なアプリを起動して走って比較してみました。今回はマラソンで走行中の使用に特化して比較したので、水泳などの他のアクティビティ、走行後の記録やモチベーションの維持などはチェックしていません。
比較したアプリ
- Runtastic
- Runkeeper
- Nike+ Run Club
- 標準アプリ「ワークアウト」
検証環境
- Apple Watch series 3(セルラー版。通信しないのでGPS版でも挙動は変わらない)
- watchOS 4.3
Apple Watch単体とApple Watch + iPhoneではアプリの挙動が異なる。新しいアプリ(アップデートも含む)はApple Watch単体で動作するネイティブ化が必須になっているので、今回試したアプリすべてがApple Wath単体で動作する。
今回はApple Watch単体でマラソンしたときの比較になります。
Runtastic
今はアディダス傘下になったフィットネストラッキングアプリ。iPhoneのランニングアプリとしても老舗で、Apple Watchにも早くから対応してきた。
- 表示項目 距離、合計タイム、一キロごとペース、心拍数
- オートポーズ あり
- 過去のスプリット表示 なし
- 音声フィードバック なし
文字が大きく、走行時でも画面を視認しやすい。心拍数ゾーンが特徴的で心臓にどれぐらい負荷をかけて走っているかがひと目で分かる。ただ画面のカスタマイズはできない。
「Watchのみ」を設定すると、iPhoneを持ち歩いてもApple Watchのみでアプリが起動する。その場合、もちろんiPhoneには何も表示されず操作もできない。
オートポーズの感度もよく、信号待ちであれば3秒以内に自動停止する。
過去のスプリット表示がないので、現在のペースが遅れているのかどうかがわからないのが少々痛い。ただ「現在のペース」ではなく1キロごとのペースを表示しているので、前のキロのペースを憶えておけば比較できる。
また、Apple Watch単体では音声フィードバック(Runtasticでは音声コーチ)がない。iPhoneと併用なら音声で走行開始、ラップタイムを教えてくれる。
Runkeeper
アシックスのトラッキングアプリ。
- 表示項目 距離、合計タイム、ペース(平均または現在)、心拍数
- オートポーズ あるが、反応が悪い
- 過去のスプリット表示 あり
- 音声フィードバック なし
アシックスだからか、日本語表記で分かりやすい。
「ペース」は現在のペースまたは平均のペースを表示するか選択できる。
面白いのは別画面で心拍数モニターがあるところ。自分の心拍数がどのゾーンで、有酸素運動をしているかどうかがわかる。
Runkeeperの優れている点は、右スワイプで移る別画面に前回のキロ当たりのスプリットが表示されることだ(前回と言ってもその前の1キロのスプリットタイム)。現在のペースと比較できるので、今の走りが遅くなっているかどうかわかる。
残念な点は、Runtastic同様にApple Watch単体では音声フィードバックがないこと。iPhoneと併用であれば流暢な音声でペースや心拍数を教えてくれる。
あと、他のアプリと異なり、Runkeeperだけはオートポーズの反応が悪い気がする。信号待ちになっても、長い間タイムが停止しないことがあった。
Nike+ Run Club (以下Nike+)
名前の通りNikeが提供しているアプリ。NikeモデルがあるぐらいApple Watchとの親和性は非常に高い。
- 表示項目 距離、合計タイム、ペース(平均または現在)、心拍数
- オートポーズ あり
- 過去のスプリット表示 なし
- 音声フィードバック あり
画面はスッキリして見やすい。BPMが心拍数を表す。デジタルクラウンを回して、ペースやタイム、距離から、大きく表示する項目を選択できる。
オートポーズも非常に精度が高い。
欠点は、過去のスプリットタイム表示がなく、一キロごとのペースもわからないので、今のペースが速いのか遅いのかわかりづらいこと。現在のペースはあくまでも「今」なので、1キロの平均タイムではない。直近1キロの平均ペースを確かめたいが、「現在のペース」か(今回のランニング全体の)「平均のペース」しか選べない。走行後には1キロごとのスプリットタイムが表示されるので記録はされている。走行中でも確認できるように、ぜひ改善してほしい。
特筆すべきは、今回試した4アプリで唯一Apple Watch単体で音声フィードバックができることだ。走行開始、走行停止、設定した距離や時間毎のタイム、距離を教えてくれる。
Nike+ Run Clubの詳細は、こちら。
標準アプリ「ワークアウト」
Apple純正らしく、余計なものが一切ないシンプルな作り。
- 表示項目 距離、合計タイム、ペース(平均または現在)、心拍数
- オートポーズ あり
- 過去のスプリット表示 あり
- 音声フィードバック なし
Appleらしいシンプルな画面だが、項目に説明がないので、慣れないとぱっと見て何の項目なのかわかりづらい。走っているときは体が揺れているので、すぐに視認できる画面が大事。
デジタルクラウンを回すと、特定の項目の色を変えることができるので、自分が注目する項目のカラーを変えておけば項目が見つけやすくはなる。
音声フィードバックはない(iPhone版のワークアウトはないので、iPhoneと併用しても音声でのフィードバックはない)。代わりに1キロ走ると振動と画面表示で知らせてくれる。過去の1キロ当たりのスプリットも表示できるので、今の速度のまま走ればよいかどうか、確かめられる。
純正アプリだからできることなのかもしれないが、右スワイプで音楽アプリに移動できる。ボリュームや早送りなどが操作できる。
ワークアウトはwatchOS 5になって大きくバージョンアップした。詳細は、こちら。
おすすめは「Nike+ Run Club」
以上、4つのアプリを試したが、おすすめは「Nike+ Run Club」だ。Apple Watch単体で唯一音声フィードバックが可能なのが大きい。ランニングしていて定期的に画面を視るのはしんどい。音声で知らせてくれると気持ち的に楽だ。
走行時にスプリットタイムが確認できないのは痛いが、10キロ以内の短距離なら現在のペースを表示しておけば、大体のペースは判別がつく。
ただフルマラソンを走る時は別だ。長丁場なので、一キロごとのスプリットを確かめて、今後のランニングプランを立てておきたい。フルマラソンの場合は、以前筆者が試したようにiPhoneでNike+、Apple Watchでワークアウトで計測するのが良いと思う。
ちなみに、マラソンのときのバンドはスポーツループバンドがおすすめ。軽くて腕にフィットする。