AirPods Max登場!
Appleがオーバーイヤー型ヘッドホン「AirPods Max」を発表した。アクティブノイズキャンセリング、Siriの起動、簡単なセットアップなどのAirPodsシリーズの特徴を継承した、AirPodsのヘッドホン版だ。Apple独自設計の40mm口径のダイナミックドライバに内蔵されたH1チップが音場を制御することで歪まない音を実現しているそうだ。
Appleがオーバーイヤー型ヘッドホンを開発している噂はあったし、インナーヤー型イヤホン「AirPods Pro」にヘッドホン型が続くのは想像できたが、予想外だったことがいくつかあったので、ご紹介します。
名称
この製品の名称は「AirPods Max」。AirPodsの大型版だから、iPhoneで採用されている名称「Max」がつくのは理解できる。気になるのは「Pro」がつかないことだ。ノイズキャンセリング機能付きのAirPodsはProを冠した「AirPods Pro」という名称だ。「Pro」はAirPodsだけではなく、iPhoneやMacに使われているAppleの上位版モデルには定番の名称だ。
AirPods Maxはアクティブノイズキャンセリングなど全部盛りのスペックのように見えるのに、どうして「Pro」がつかないのだろう。「AirPods Pro Max」では長すぎる気もするけど、iPhoneは「iPhone 12 Pro Max」とProの名称を省略していない。Appleの名称ルールは厳格である。
つまり、このヘッドホンはProモデルではないということになる。では、後から上位版「AirPods Pro Maxが」登場するのだろうか。それもちょっと考えづらい。AirPods Maxは値段が高く、これ以上の価格帯のヘッドホンが登場するとは考えづらい(モニタリングに使うような本当のプロユースであれば別だが、マーケットの小さいそのような製品をAppleが提供するとは考えにくい)。
今後、AirPodsのProシリーズがなくなると考える方が自然だ。ノイズキャンセリング機能AirPods Proは、標準のAirPodsとは10000円の価格差。ノイズキャンセリング機能は今ではイヤホンの標準的な機能になりつつあるので、ノイズキャンセリングなしのAirPodsをあえて開発する必要は小さい。
AirPods Maxの存在は、今後Proモデルが廃止され、標準のAirPodsがノイズキャンセリング機能付きで登場することの布石かもしれない。
価格
AirPods Maxは高い。税別61,800円はヘッドホンとしてはかなり高価だ。ライバルであるソニーの「WH-1000XM4」はオープン価格ではあるがソニーストアで税抜き40,000円、Boseの「Bose Noise Cancelling Headphones 700」は46,750円。AirPods Maxはそれよりも20,000円近く高く、相場を度外視した価格設定だ。
ソニーもBoseもノイズキャンセリング技術には定評がある。AirPods Maxが音質で両社とどこまで差がつけられているか不明だが、1.5倍の価格差は大きく、それだけで買うのを躊躇させる。
市場とは全く異なる価格設定のApple製品で思い出すのは、HomePodだ。AmazonとGoogleが低価格化を進めているスマートスピーカーの市場において、Appleだけが全く異なる価格帯でHomePodを発売した。
Appleとしては高価格帯でも売れる自信があったのだろう。AirPods MaxもHomePodと同様に音質に自信があるから、この値付けをしたのだと思われる。
Smart Case
AirPods Maxには収納ケースである「Smart Case」が付属する。Appleの説明ではこのケースに収めると超低電力状態に切り替わりバッテリーの充電状態を保持できるそうだ。ケースには省電力モードに入る仕掛け(マグネット?)がしてあると思われる。
AirPodsには充電するためのケースが付属するが、このSmart Caseは充電できそうもない。AirPods Maxの充電形式について明言はされていないが付属物から考えてLightningケーブルで充電するようで、ワイヤレス充電には未対応のようだ。
Appleが充電できないケースを付属するのも意外だし、ソフトケースを付属するのも意外だ。過去のApple製品でこのようなケースを付属したことがあったっけ?
Degital Crown
AirPods MaxにはApple Watchで採用されているDegital Crownがついていて、音量調整、音楽の再生・一時停止ができるようになっている。Apple Watch以外でDegital Crownが採用されるのは初めてだし、AirPodsに物理的なボリューム調整スイッチがつくのも初めて。スペースが限られているヘッドホンのスイッチとして回すことも押すこともできる多機能なDegital Crownは最適だ。往年のソニーの携帯やデジカメに採用されていたジョグダイヤルを思い出させる。音量ボタンの代わりにiPhoneにDegital Crownを採用しても面白いかも。
この角度の写真だと、一瞬Apple Watchと見間違えてしまいそうになる。
Appleの音質追求型モデル
ヘッドホン型のAirPodsを待っていた人にはAirPods Maxは待望の製品だろう。AirPodsの使い勝手は定評があるし、デザインも素晴らしい。ネックはやはり価格。ライバルよりも1.5倍の価格は、すぐにポチッとできない。AirPodsがApple製品としては比較的お安めだったのでなおさら高価に感じる。
それでも、あえてこの価格で出してきたのはAppleは音質に相当な自信があるからに違いない。これはHomePodと同様で、AirPods MaxはAppleの音質追求型モデルに位置する製品だ(Proの名はつかないけど)。
価格差を実感したいので早く試してみたいところだ。購入はそれからでも遅くないかもしれない。