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AmazonがAlexa部門の人員を削減する理由

Amazonのリストラ

Amazonが約1万人の人員削減を計画しているという噂が流れている。対象にはAlexaの技術者が含まれているらしい。

どうしてAmazonはAlexa部門の技術者を削減する必要があるのか考えてみます。

市場を占有したAlexa

Alexaを搭載したスマートスピーカーは、ライバルのGoogleやAppleを押さえてトップシェアを占めている。

Alexaが売れたのは音声認識など高い性能も理由のひとつだが、最も大きな理由は「低価格」だと思う。Amazonはデバイスでの利益を度外視して、低価格でAlexa端末を販売してきた。過去のスマホで失敗した教訓を活かして、Amazonはスマートスピーカーには低価格戦略をとった。それがうまくはまった。

最初は一家に一台だったAlexa端末だが、最近では一部屋に一台置かれるようになり、販売台数を伸ばしてきた。

Amazonが採算を度外視してAlexa端末を販売してきた理由は、なんだろう。もっとも大きな理由は、通信販売の売上向上だと思う。

Alexaの真の目的

Amazonのビジネスは多岐にわたっているが、最も大きなビジネスは今でも通信販売だ。通販の手段はテレビと電話からPCと携帯電話へ移り、今はスマホが主流だ。

Amazonはスマホ時代の到来を見越して、自社製のスマートフォンを製造販売したが、その試みは失敗した。独自性を打ち出すことができずに安く販売することができなかったのだ。

そこで、Amazonはスマートフォンを諦め、スマートスピーカー市場へ進出した。指で操作して注文するスマートフォンの次は音声での注文が流行すると考えたのだ。お年寄りには、指で端末を操作するよりも音声で操作する方が簡単だし、他の作業をしながら画面を見ずに操作できるスマートスピーカーが新たなプラットフォームになりえると判断した。

その想定のもとに、Amazonは安価にAlexa端末を売り捌いた。音声で天気やニュースを教えてくれたり、音楽を流すことができるアレクサ端末は大いにヒットした。

ここ数年はスピーカーだけではなく、ディスプレイを内蔵し、Amazon Videoと連動して動画を鑑賞できるようになった。

Alexa端末は、Amazon MusicやAmazon VideoなどAmazonのサービスを普及させるには有効だったが、肝心の通販にはあまり貢献できていない。

音声で買い物をするのは結構難しい。商品を画像で確認できないし、音声だけだと価格を認識するのも大変だ。ディスプレイ内蔵のAlexa端末なら商品を確認できるけど、それならスマートフォンで注文しても手間は大して変わらない。

Amazonは、定期的な買い物の催促をAlexa端末で発呼したり、発送の通知をAlexa端末で行ったりすることを試みたが、浸透はしていない。音声での通知は、個人だけではなく他の家族にも知られてしまう。買い物のようにパーソナルな情報のやり取りにはAlexa端末は向かなかった。

Alexa端末は売れたが

Alexa端末は売れたが、Alexa端末は頻繁に買い替えるデバイスではないので、ハードウェアの販売には限りがある。一通り売れてしまえば、売上は伸びなくなる。Amazon Music Unlimitedなどの会員が増えれば、売上に貢献できるが、一度会員になれば、それ以上売上は増えない。

Alexa端末からの注文は増えていないのだろう。Alexaが通販の売上に繋がるというAmazonの目論見は外れて、開発リソースと釣り合わなくなったに違いない。

そこで、AmazonはAlexa部門の人員を削減する必要があったと思われる。

IT関連のブログをほぼ毎日更新していますが、本業は高山環(たかやま かん)というペンネームで小説を書いています。
ブロックチェーンなどITを題材とした小説の他に、ミステリー、恋愛物、児童文学など様々なジャンルの作品を取りそろえています。
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