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SpotifyとAppleの喧嘩の背景にあるプラットホーム問題とは?

激おこのApple

Spotifyの告発に対してAppleが反論のニュースリリースを発表した。

控えめに言ってAppleはめっちゃ怒っている。どうして、こんなことになっているのだろう? 考察してみます。

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Spotifyの主張、Appleの反論

Spotifyは、所有するApp Storeを利用してAppleがApple Musicを不当に優遇したと告発していた。告発の中でSpotifyは色々言っているが、「App Store経由のSpotifyのサービスに30%(2年後以降は15%に減免)の手数料をAppleに支払わなければならない」ことについて強く文句を言っている。

それに対してAppleは、全体の82%のアプリは無料で手数料をAppleに支払う義務はない、広告を表示して利益を得ているアプリはAppleに1円も払っていない、アプリを経由して販売した商品の売り上げにも手数料は発生しない、と主張している。

手数料を支払う義務が生じるのは、デジタルコンテンツをApp Store内の課金システムを利用した時だけ、それ以外は無料でプラットフォームを提供しているAppleは寛大であり、自分たちが儲けているのに1円も払いたくないというSpotifyの主張は強欲だと非難している。

支払い義務を生じている開発者は一部であり、自分たちはみんなが儲けることができる(エコシステム)の構築と維持に努力していると言ってるが、今回の議論の本質は、「プラットフォームを使用する費用を払うべきかどうか」ということだろう。

Appleはプラットホームを独占している?

GAFA脅威論」でも言及したが、いわゆるGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)への脅威とはプラットフォームの独占だ。

今回のSpotifyの主張も、App StoreというAppleが自社で所有するプラットフォームを独占的に利用し、正当な競争を妨げるというものだ。

Spotifyは30%の手数料をAppleに支払わなければならないのに、Appleの自社サービスApple Musicはもちろん手数料を払わないので、料金面でApple Musicは有利になる。これでは正当な競争はできないというのが、Spotifyの主張だ。

Spotifyの主張は理解できるが、2点欠けている点がある。

ひとつは、App Storeというプラットフォームを立ち上げ維持するためにAppleは膨大なコストと手間をかけている点だ。そのプラットフォームを全て無料で使われてしまっては、AppleはApp Storeを維持できない。

App Storeをショッピングモールと捉えれば、モールに店舗(アプリ)を出店するなら手数料を支払うのは通常の商行為だ。全て無料ではモールを維持できない。

もうひとつは、Appleがプラットホームを独占しているかどうかという点だ。Appleは、自社でハードウェア・OS・サービスを独占している。それによって統一したデザインと強力なブランド力を維持している。Appleの規約に外れたアプリをiPhoneにインストールすることはできない。

しかし、iOSのシェアは全世界で20%を切っている。Appleの規約が気に入らないなら、iOSのApp Storeから撤退し、Android OSやその他のプラットホームで商売すればよい話だ。

Appleはシェアを追わず、高い利益を得るビジネスモデルだ。Windowsと争ったときもそうだったし、スマートフォンの時代になってもトップシェアを握っているのはAppleではない。

プラットホーム同士の競争が鍵

Spotifyの主張全てが荒唐無稽というわけでもない。プラットホームをもつ企業同士が結託してしまえばどうなるだろう。AppleとGoogleが結託して、iOSとAndroid OS両方がアプリ提供業者に不利な契約を強いたらどうなるだろう。アプリ提供業者は逃げ場がなくなり、いずれはAppleとGoogleのサービスに負けてしまうだろう。

サードパーティが良いアイディアをもつサービスやアプリを開発しても、それをAppleとGoogleが真似して、他社を排除することもできてしまう。サブスクリプション型の音楽配信サービスはAppleが発明したものではないが、Apple Musicはサブスクリプション型で成功している。

今はAppleとGoogleも協同するというより競争を続けているように見える。競争こそが複数の選択肢と可能性をもたらす。プラットホーム同士の健全な競争が続くように政府もユーザーも注視するべきだろう。