通信障害の代償
回線障害の「お詫び」としてKDDIが全ユーザーへ200円を支払うと発表した。
実際には回線を使っていない人もいれば、それほど影響を受けなかったユーザーもいるのに、今回は全ユーザーへの返金をKDDIは決断した。
この処置が妥当なのか考えてみます。
2種類の返金方法
報道では「200円」が強調されているが、今回の返金方法は2種類ある。
ひとつは契約約款に基づく返金。24時間以上通信サービスが利用できなかった音声契約ユーザーが対象で、271万人いる。こちらは契約プランの基本料金の2日分が返金される。こちらは音声のみの契約をしているユーザーだけ。返金額は平均52円。
もうひとつは、全契約ユーザーで対象は3,589万人。こちらはデータ通信を契約しているユーザーが対象で、報道にある200円の返金はこちらのユーザー分をさす。音声契約ユーザーの人も200円はもらえる。
200円の算出方法
実は約款には返金についてうたっていない。契約上は、KDDIに支払いの記述はない。24時間以上、全く通信できなかった時に賠償するとあるが、金額の記載はなく、今回の障害は24時間全く通信できなかった訳ではない。
料金は、プランによって異なるが、一日あたり平均52円になるらしい。3日分だと156円のところを、お詫びの意味を込めて200円にしたそうだ。
支払うべきなのか
200円って安いという意見がネットでは多い。
だが、そもそも電話通信料金が安くなっている。プランによって異なるが、povoなら3GB999円、一日あたりの料金は33円だ。通信できないという実害だけでは、100円以下になってしまう。
今回の補償額には、通信障害によるユーザーのビジネスの損失は計上されていない。それはサービス業者としては当然で、「通信できないから1億円の商談がパアになった」と言われても、サービス事業者は支払えない。
そう言った意味をこめて「お詫びの200円」なのだろう。
ネットには、「200円を通信施設の増強やエンジニアの待遇改善に使ってほしい」という意見もあった。たかが200円でもKDDIの負担は約72億円にもなる。この資金を使えば、いろいろできそうだが、KDDIとして大事なのは、今回の障害で毀損したブランドイメージを回復させて、経営を安定させることにある。解約者が増えれば、経営は不安定になり、通信障害を防ぐ対策もできなくなる。
携帯電話はITに詳しい人だけが使うものではない。一般ユーザーにも納得してもらうために、200円が必要だったと思われる。ネットでは、ITに詳しい人の意見が大きいが、ネットに出てこない一般の人の意見が多く、KDDIはその人たちにお詫びをして、解約を少しでも減らすことが重要だ。
だから、KDDIは200円のお詫び金を支払うことを決めたのだ。