任天堂Q2決算
任天堂が2022年度第2四半期の決算を発表した。
売上が前年同期比マイナス18.9%、営業利益が-20.6%と減収減益となった。昨年はコロナ禍の「どうぶつの森」ブームの好影響があったので、今年度も業績は好調というのが任天堂の見解だ。
決算の詳細と、任天堂が発表した経営方針についても見ていきたいと思います。
ピークアウトしたSwitchの需要
Nintendo Switchの需要が大幅に落ちているのは間違いない。なぜか任天堂はQ1とQ2を合算で比較している数字を持ち出したが、昨年度Q4から販売台数はずっと下落している。少しでも落ち込みを小さく見せるために合算したのだろうかと疑いたくなる。
Switchは販売開始から6年目に入っているので、売れ続ける方がおかしい。それよりも、今後の次世代機種が見えていないことの方が問題だ。
据え置き機と携帯機の両方がある時代は、どちらかがピークアウトしても別の機種がカバーすることができたが、今の任天堂のハードはSwitch一本だ。経営戦略で任天堂は「統合」したと公言しているので、今後も据え置き機・携帯機単体が販売されることはないだろう。
再び起きたソフト不足
Wii以来の任天堂の課題といえば、ソフト不足だ。自社開発ソフトが圧倒的に強い任天堂の場合、自社の定番ソフトの新作が一通り登場してしまうと、ソフトの新作不足が起きてしまう。WiiもWii Uもソフト不足により失速した。
Switchではその反省を活かして、計画的に新作ソフトを供給するようにし、インディーズソフトの販売を強化するなどの対策をとってきた。
その結果、昨年度までは順調だったソフトの売上だが、今年度になって一気に減少した。サードパーティの落ち込みも大きいが、任天堂の自社開発ソフトの落ち込みが目立つ。
過去ソフトのリニューアルが一通り終わってしまったことが大きい。スプラトゥーンやゼルダの伝説、マリオカートなどWii Uで販売したソフトをSwitch用として既に販売してしまったので、Switch専売のソフト開発が遅れているという実情もある。スプラトゥーン3とゼルダ続編は来年度の発売を予定している。
ハード・ソフト一体型の提案が増える?
この決算を出せば、失望を招き株価が下落することを任天堂も認識していたのだろう(実際に任天堂の株価は年初来最安値を記録した)。今回は経営方針も発表した。
まず目についたのは「ハード・ソフト一体型の遊び」という文字。
ハードとソフトを一括に開発販売しているのが任天堂の強みだということは今までも多く語られていたが、ここまで明確に任天堂が言い切ったことは記憶にない。
ハードだけではなく、優れたソフト開発が任天堂のアドバンテージなことは疑いの余地はないが、ハード・ソフト一体型というのはどういうことなのだろう。
Wiiのリモコンなど、斬新なハードで遊び方を提案することは今までも行ってきた。Switchでも、据え置き機と携帯機を融合させたスタイルは新しかったが、Switchでしか遊べないゲームというのはそれほど多くはない。Nintendo Laboとリングフィットアドベンチャーぐらいだろうか。
ここを強調するということは、今後はハードとソフトが一体となる提案が増えるのだろうか。Wii時代のように、やたら周辺機器が増えるのも困るけど。
拡大するIP戦略
経営方針では、ゲームよりもIPの言及の方が多かった。次世代機のことを話すわけにはいかないのはわかるが、テーマパーク、映画、オフィシャルショップとかなり時間を割いてPRした。
IPで認知度を高めることがゲーム販売につながると任天堂は言っているが、果たしてそうなるか。
水もの商売であるゲーム一辺倒より、IPで稼げればリスクヘッジになるので、IP戦略はどんどんやるべきだとは思う。
次世代機について
Switchの売上がピークアウトしたこともあり、任天堂は初めて次世代機について言及した。分かったことは、Switchと同様に据え置き機と携帯機の統合モデルであること、ハード・ソフト一体型の開発を行うことぐらいか。
今のトレンドのままSwitchの販売が下落していくと、来年度中には新モデルの発表、再来年度発売が有力と思われる。
それでも強い任天堂ビジネス
課題はあるが、それでも任天堂ビジネスは強力だ。優れたゲーム開発能力と、豊富なキャラクター資産があれば、IPでの売上を今後伸ばせるし、来年度ゼルダやスプラトゥーン、ポケモンが登場すればソフトの売上も回復するだろう。
最大のネックは、次世代機への切り替えだ。WiiからWii Uの切り替えで失速したのは記憶に新しい。
それだけは絶対に避けるために、Switchから次世代機へのスイッチには慎重に慎重を期すことになるだろう。Wii Uの時は3DSがあったが、今の任天堂にはSwitchしかないのだから。