小説とIT

「第12回ポプラ社小説新人賞」奨励賞受賞作の「夏のピルグリム」を7月18日に刊行

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日本にAppleやGoogleが生まれない3つの理由

日本版AppleやGoogleは?

日本の国力が相対的に落ちていることを否定する人はいないだろう。その原因のひとつが、アメリカのAppleやGoogleのような急成長する企業が現れていないことだ。戦後にできた企業の中にはトヨタやソニーのようにまだまだ元気な企業もあるが、ITの時流に乗った世界企業は登場してしない。楽天とソフトバンクは成功した部類に入るが、楽天は海外売上が伸び悩み携帯電話事業のせいで赤字に陥っており、ソフトバンクは海外投資に熱心だが、世界中にサービスやハードウェアを提供しているわけではない。

どうして日本にAppleやGoogleが生まれないのか考えてみます。

巨大なアメリカ市場

たしかに日本にAppleやGoogleは誕生していないが、アメリカ以外の国でも同様だ。中国ではさまざまな巨大企業が勃興したが、AppleやGoogleのような世界的なプラットフォーム企業はない。韓国のサムソンは巨大IT企業ではあるが、スマートフォンはGoogleのAndroid OSを搭載し、それ以外ではインフラ事業が多数を占めていて、大きなイノベーションを起こしたわけではない。

つまり、アメリカだからAppleやGoogleのようなプラットフォームを提供する起業が生まれたのだ。どうしてアメリカだけこのようなイノベーティブな企業が誕生するのか。ひとつの理由はアメリカの市場規模が巨大だからだ。アメリカのGDPは日本の約4倍。しかもアメリカのGDPの80%はサービス業であり、ITサービスが伸びる素地が非常に大きい。

アメリカ市場だけでも大きく成長することができ、その売上をもとに世界に進出しやすい。

フレームワーク思考が得意なアメリカ人

フロンティアスピリットが根付いているからか、アメリカ人にはゼロから生み出す思考が得意な人が多い。なにかビジネスを始める際にアメリカ人はフレームワークを定義することから始めることが多く、日本人は既存のビジネスの改良を考えることが多い。

もちろん、これは一般的な話であって、改善が得意なアメリカ人も、ゼロベース思考が根付いている日本人もいるが、現実にITプラットフォームを日本人は生み出せていない。

起業意識が高いアメリカ

アメリカ人は起業意識が高い。アメリカのエリートは一流企業へ就職するよりも起業を志向する。起業できずに就職する方が負け組だと思っている。その背景には、ベンチャー起業への活発な投資意欲がある。日本と違い、一般人でも投資が旺盛なアメリカでは成長する可能性があれば迷わず投資する土壌がある。巨大なベンチャーファンドも多く存在し、成長する企業を虎視眈々と狙っている。

もちろん、失敗するベンチャー企業もあるが、株式上場あるいは売却できる企業が育てば充分あリターンが得られる。

Googleの背後にはGoogleになりきれなかった無数の企業がある。それでも起業するのは一攫千金のチャンスがあるからと、アメリカでの起業の場合、個人保証が求められることが少ないことがある。失敗しても、起業家個人に借金が残らないので、再びチャレンジすることができる。

日本での起業の場合、起業する人は個人の資産を担保にして借金するケースが多い(最近は以前より改善されてきたが)。個人が過度なリスクを負わないといけないので、才能があっても起業に躊躇する人もいる。

日本で巨大ベンチャーが誕生するために

アメリカのように日本で巨大ベンチャー企業が誕生するためにはなにが必要なのだろう。

国全体として投資を推奨することが必要だ。NISAやiDeCoなどを導入し、以前より投資が一般的になってきたし、ベンチャー・ファンドも増えてきている。

あと必要なのは起業意欲だろう。企業に就職するよりもベンチャーのほうが夢があり、もし失敗しても再チャレンジできるようになれば起業する人は増えると思われる。

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