仕事は人生の目標?
大人に「将来なにになりたい?」と聞かれて、答えるのは「サッカー選手」「看護師」などの職業を答える子どもがほとんだと思う。「年収1500万円」とか「地方の戸建てに大型犬に住む」と答える子どもはいないだろう。
「サッカー選手」や「看護師」は職業であり、「なりたいもの」だ。「年収いくら」や「戸建て」は職業ではなく、「人生の目標」だ。だけど、その仕事に就くことが「人生の目標」という人もいる。例えば「Jリーガー」とか「漫画家」という職業を「人生の目標」とできそうだ。
就活は、自分が就職する企業を決めることだが、それで人生が決まるわけではない。当たり前だけど、就職した後も人生は続く。
とは言っても、就活が人生の方向性を決める可能性は高い。その方向性を定める際に、自分の人生の目標が何か考えておいた方が良い。
仕事が目標の人は幸せ?
働いている人の多くは、子供の頃に描いた仕事で働いていないと思う。仕事を目標にすると達成が難しいからだ。例えば「プロサッカー選手」になるのは競争率がとても高い。故にプロサッカー選手を「人生の目標」になり得る。
一般企業へ就職する場合、中には「ソニーで働く」ことを人生の目標にしている人もいるかもしれない。そういうふうに「仕事が人生の目標」と呼べる人は幸せだと思う。なぜなら、「就活」のターゲットもシンプルに決められるからだ。「ソニーで働く」のが目標なら、ソニーの企業研究をして、エントリーすべきだ。
だが、「プロサッカー選手」「ソニーで働く」みたいな仕事を人生の目標にしていない人の方が多いと思う。いわゆる「何者でもない人」は仕事を人生の目標にしていない。
それが、だめというわけではなく、「年収1500万円」「郊外に戸建て」というような「欲しいもの」を人生の目標にすればいい。お金だけじゃない、例えば「人に尊敬される」「人の上に立つ」など「あるべき姿」でも全然構わない。
「欲しいもの」「あるべき姿」を人生の目標にできれば、就活もその目標を達成するためのステップを選べば良い。
そのとき、選ぶ仕事は「あるべき姿」を実現するための「道具」になる。「人に尊敬される」という人生の目標を達成するために、仕事が道具になるのだ。
「何になりたい」ではなく「どうありたい」か
何になるの? という質問は子どもにはするけど、大人にはしない。それは、大人になってしまったら「何者にもなれない」ことが多いことを大人は知っているからだ。
でも、何者にもなれなくても、「こうありたい自分」にはなれる。人に尊敬される、多くの人に相談してもらえる、そういった「こういう人間でありたい」姿を想像し、それを実現するために就活をするのは、仕事を人生の目標とできない人には良いアプローチだ。
仕事が夢と明確に言える人は幸せだし、その仕事ができることを軸に就活すれば良い。
でも、そうでない人のが多いし、実際働いている人も「この仕事がしたかった」から仕事を選んだわけじゃない人が多い。
働いていると「自分はこの仕事をしようと思っていなかった」という人が大多数だ。子供の頃に答えた「将来の夢」の仕事に就いている人は体感で5%ぐらいだ(その5%の多くも親の仕事を継いだ人が多い)。
子供の頃の夢が叶わなかったら、「こんな人生じゃなかった」と思って失望しがちだが、なりたい職業ではなくても人生はノロノロ続く。どうしても諦め切れないなら、その仕事にチャレンジした方がスッキリする。
でも、少し見方を変えて、「仕事は道具」と割り切ってしまえば、仕事選びは自分が買うパソコンぐらいの選び方で考えてしまえる。本当に大事なのは買ったパソコンをどのように有効活用するかだ。
なりたい仕事を探すのはしんどくても、「ありたい自分」になるための仕事を探すことならできる。仕事を「そうありたい人生」を実現するための道具だと割り切って、就活すると少し気持ちが楽になるのかと思います。