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Twitterのリストラが違法行為なのか考える

イーロン・マスクがリストラを敢行

イーロン・マスク氏が買収したTwitterのリストラを敢行した。報道によると社員の半数を即日解雇したそうだ。日本法人も例外なく、広報部門は全員リストラされたらしい。

「アメリカはともかく日本法人での即日リストラは違法じゃないか?」と意見している人がいた。

だけど、おそらく違法ではなく合法だと思う。その理由をご紹介します。

整理解雇?

日本企業が従業員を解雇するには、労働できない状況に陥った従業員を対象とするいわゆる普通解雇、就業規則に違反した場合の懲戒解雇、企業が経営不振に陥った場合の整理解雇がある。リストラと呼ばれるのは整理解雇だ。

企業が整理解雇するには、いわゆる整理解雇四要件を満たす必要があるとされている。人員削減の必要性があるか? 解雇を回避する努力をしたか? 解雇する人選が妥当か? 解雇手続きが妥当か? これらを満たしたときに企業は能力に問題がない従業員を解雇できる。

Twitter社の例では、解雇を通知して、すぐに社員は社内ネットワークから遮断されて、退出しないといけなかったようなので、整理解雇の四要件を満たしているとは思えない。

イーロン・マスク氏が買収してすぐにリストラが実行されているので、解雇回避を努力したようには思えない。

では、このリストラは違法なのか? というとそうではない。Twitter社は整理解雇を実施していないと思われるからだ。

社員は自主的に退職?

おそらく社員は自主的に退職したと思われる。日本国内の外資系企業がリストラを実行する場合、パッケージと呼ばれる条件を提示することが多い。パッケージとは「今退職すれば、給料のXヶ月分を渡します」というもので、退職後の転職支援をするエージェントを紹介する場合もある。

社員の能力を理由に解雇するわけではないので、「君の能力の問題ではなく、君の仕事がなくなった」というようない言い回しを人事がする(今回の場合は、そのようなコミュニケーションはなかったと思うが)。

例えば、日本法人が撤退した場合やグローバルで特定事業から撤退し部署が消滅した場合など、「あなたの仕事がなくなった」とコミュニケーションをする。

そのように言われた社員はパッケージに納得して自ら退職することになる。自主退職なので、整理解雇の四要件を満たす必要がない。

企業が従業員を解雇する際には30日前に予告しないといけないと思っている人がいると思うが、30日分以上の平均賃金を支払えば、労働基準法の基準を満たすことにはなる。

社員が拒否したら?

矛盾した言い方になるけど、この場合、企業が社員に「自主的な解雇」を促していることになる。促しているだけなので、社員は拒否することもできる。どうしても辞めたくないなら、「辞めない」と社員が言い続けると、企業は雇用を継続しないといけない。そういった社員を辞めさせるには解雇するしかなく、その場合、整理解雇四要件を満たす必要がある(実際は満たしていなくても解雇はできてしまうが、訴えられたら裁判で企業側が敗訴する可能性がある)。

だが、実際には多くの社員が退職を決断する。「仕事がない」と言われた会社に残っても昇進する見込みは薄く、やりがいのある仕事を任せられる可能性は低い。

だったら、お金をもらって退職して次の職場で活躍した方が良い。日本企業で長く勤務している人には奇異に映るかもしれないけど、外資系企業に慣れている人は「はいはい、じゃあ辞めます」という人が実際に多い。外資系企業を渡り歩いている人の中には、リストラを経験した回数を武勇伝のように語る人もいる。

訴えたらどうなる?

このようなコミュニケーションをされた社員が「強制的に退職を強要された」と訴えたらどうなるだろう。判例では企業側が退職を強要したと認定されるケースもある。

外資系企業でも、日本に長くビジネスをしていると長期間勤務している社員もいて、歳をとった社員が「転職が難しいので辞めたくない」と言い出すこともある。

それは社員個々の判断になると思うけど、個人的にはそういったコミュニケーションする会社は、さっさと辞めて、次の職場で頑張った方がいいと思うけど。

今回のTwitter社のパッケージはサラリー3ヶ月分という報道もある。これはマスク氏のTwitterがソースなので、日本法人のパッケージはもっと多いのではと思う。整理解雇四要件がないアメリカでは3ヶ月分のサラリーでも充分だが、日本では社員に納得して退職してもらうために、サラリー1年間分ぐらい出しているのでは?(予想だけど)

まあ、こういうこともあるから外資系企業のサラリーは一般的に国内企業より高いので、外資で働く以上、リストラがある可能性は常に考えておいた方が良いし、企業を恨むよりはどこでも働けるスキルを身につけるように努力した方が良いと思う。

IT関連のブログをほぼ毎日更新していますが、本業は高山環(たかやま かん)というペンネームで小説を書いています。
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