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楽天モバイルの決算は1112億円の赤字。黒字化するのはいつか考える

楽天モバイル決算

楽天が2022年度第4四半期の決算を発表した。売上収益は前年同期比プラス約17%、Non-GAAP 営業損失は前年同期比プラス6.5%で、約700億円を計上した。楽天市場やフィンテックは好調だが、楽天モバイルの大幅赤字を補填できなかった。

楽天モバイル単体では1112億円の巨額赤字だ。前年同期比ではわずかに改善しているが、黒字化まではまだまだ遠い。

楽天モバイルが単体でいつ黒字になるか考えてみます。

楽天モバイルのトータルコストは減っていない

楽天モバイルの売上は1114億円、営業損失が1112億円なので、単純計算でのコストは2228億円。楽天はネットワーク完成に伴い、月額150億円削減できると言っている。この通り削減できても、10%以下の削減にしかならない。Q4時点ではトータルコストはむしろ増えている。

売上は伸びるのか?

コストが減らなくても売上が増えれば、黒字になる。

携帯電話事業の売上は、シンプルに言えば顧客単価 (ARPU。Average Revenue per Account)x 契約者数だ。

ARPUは2510円と書いてあるが、「楽天エコシステムへの貢献」というよくわからない数字が含まれている。これを除くARPUは1805円。1GB無料のユーザーがいなくなった10月以降では確かにARPUは増えているが、他のキャリアよりはかなり低い(NTTドコモのARPUは4,250円)。また、無料キャンペーンが終了してからのARPUは横ばいだ。

無料キャンペーンが終わった後で、ARPUが上昇する要因は乏しい。1805円というのは20GB未満の月額料金に近い。無制限が3278円、3GB未満が1078円なので、ARPUを上げるには20GB以上を使うユーザーを増やす必要がある。それほどのヘビーユーザーがどれだけいるかわからないし、無制限に使用するユーザーが増えればコストが嵩む。ここ3ヶ月の数字を見ても分かる通り、ARPUはそこまで上昇する見込みはなさそうだ。

ARPUを上らなくても、契約者数が増えれば売上が伸びる。グラフと数字を見ると、1月(今回の決算の対象外)にすごく伸びているように見えるが、3ヶ月に1.7%しか伸びていない。この伸びでは年間に10%も契約者数は増えない計算になる。

今後契約者が増える見込みがあるのか。契約者を増やすのに簡単なのは値下げだが、ARPUを下げるような値下げはとてもできない。いくら契約者が増えても単価が減れば黒字化は遠くなる。

次に回線品質。楽天モバイルをユーザーが選ばない理由の一つが「繋がらない」だ。プラチナバンドがない楽天モバイル回線の品質は建物内などで3大キャリアより大きく劣る。

回線品質を改善するにはプラチナバンドの獲得が不可欠だが、楽天モバイルがプラチナバンドを使えるようになるには、数年以上かかるといわれている。三木谷会長は2024年内に始めたいといっているが、NTTドコモなどの他社が協力するかは不透明だ。

ということ、楽天モバイルの契約者数は当分微増にとどまりそうだ。

ARPUも契約者数も増えない?

見てきたようにARPUも契約者数も大幅に増えそうにない。コストが10%減ったとしても、売上を2倍以上にしないと黒字にならない。

その売上はARPU、契約者数とも増加する兆しが見られない。携帯を使うユーザーの半数以上が3GB未満だ。20GB以上を使うヘビーユーザーだけをさらに集めるのは難しい。

他社と比較して、今の楽天モバイルの売りは、「無制限定額」なので、ヘビーユーザー以外が楽天モバイルを積極的に選ぶ理由がない。

コスト削減だけで黒字化するには、年10%増程度の削減では9年かかる。

それまでの間、楽天は数千億円の赤字を計上し続けることになる。三木谷会長は今年度中に黒字化したいと言っていたが、その道のりはかなり険しい。

楽天は、楽天銀行などを上場することで、資金を得るといっているが、継続的に売上を伸ばす仕組みを作らないと赤字体質は改善しないだろう。

IT関連のブログをほぼ毎日更新していますが、本業は高山環(たかやま かん)というペンネームで小説を書いています。
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