4年前倒し
楽天モバイルが4G回線エリアの人口カバー率が96%に到達したと発表した。ハイペースで基地局の敷設を進め、開設当初の計画を4年前倒しできた。
機材不足で敷設が遅れているといわれていたが、三木谷社長を含めて全社一丸となって機材の調達にあたったそうだ。
人口カバー率96%というのは、市街地であれば「大体繋がる」レベルに達していることを意味する(他の3大キャリアは4Gの人口カバー率は99%)。
だが、3大キャリアと比べて、まだ課題がある。残された課題について考えてみます。
通信速度
こちらは2月に調査した4Gおよび5Gの通信速度だ。見てわかる通り楽天モバイルだけかなり速度が遅い。33Mbpsも昔の4G時代ならそれほど遅い数値ではない。他の3大キャリアが高速なのは5Gの恩恵を受けているからだ。
5G回線エリア
ICT総研のテストでは、全国60地点のうち5Gが受信できた地点は8.3%と、他のキャリアに大きく引き離されている。先ほどの通信速度の差は、この5Gエリアが大きく影響していると思われる。楽天モバイルは2月2日時点で3万7000カ所の5G基地局を設けているそうだ。
ただ、それで8.3%の受信比率というのはちょっと解せない。4G基地局は約4万カ所余りだから、全国の基地局の90%が5G基地局になっているはずだ。5Gの方がひとつの基地局のカバーエリアは小さいが、それにしても8.3%の受信比率は低すぎる。ただ、3大キャリアの5G基地局は30万局を超えているので、この差は妥当なのかもしれない。
感覚的にも、楽天が5Gエリア内だと称しているエリアでも5Gをつかまないことが多い気がする。
地下鉄・施設内
人口カバー率が高くなっても、地下鉄や施設内で使えるとは限らない。以前は、楽天モバイルが繋がらない場所では、auのローミング通信が使えたが、自社の人口カバー率が高まったエリアではローミングをやめてしまっている。そのため、屋内での通信が不安定になっていると思われる。
データはないが、3大キャリアと比べて、楽天モバイルの屋内での受信率はかなり劣っていると思われる。体感的にも、以前は受信したエリアでもauのローミングが終了した地域にある屋内で「圏外」になるケースがあった。
楽天グループの底力に期待
色々言われることが多い楽天モバイルだが、当初の予定よりかなり早い段階で人口カバー率96%を達成したことは評価できる。楽天モバイルは三木谷会長がリーダーシップをとってエリアを拡大してきた。全国の楽天グループ社員が協力して基地局を設置できる場所を見つけて交渉したそうだ。
5G基地局についても、4Gと同じように基地局を増やし、地下鉄・屋内への電波を強化していくに違いない。楽天グループの底力に期待したい。