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サブスクがもたらす功罪。提供するコンテンツを決めるのは誰?

サブスク全盛の時代

「サブスク(サブスクリプション)」が流行っている。ネットだけではなく、カフェやランチなど「定額制」全盛の時代だ。

どうして、ここまでサブスクが流行っているか、サブスクの功罪を考えてみます。

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「買い物」は面倒な作業

サブスクリプションとは簡単に言えば、定額の料金でサービスを使い放題になるシステムだ。焼き肉食べ放題みたいに、どんなに使っても(食べても)料金が変わらない。その安心感がサブスクを選ぶひとつの理由になっている。

「定額」というのは、単価からの開放でもある。買い物という「作業」は楽しくもあり、面倒でもある。どの商品が良くて、どの店が安いのか調べて買わないといけない。実際の使用感はサービスを使わないとわからないので、映画をレンタルしたけどつまらないと損した気持ちになる。多くのサービスはつまらないからといって、返品もできない。

最低価格を調べるのも意外と面倒だ。キャンペーンやポイントなど、色々と考えながら「どの店舗が一番安いのか」調べる作業は、なかなか骨が折れる。

定額なら、つまらない映画や音楽を選んでしまったら、すぐに止めることができるし、価格を気にする必要がない。

企業側にもメリットが大きい

筆者の場合、使用したサービスの単価を合計すると定額料金を余裕で上回っていることも多い。これだったら、小売りしたほうが企業は儲かりそうなものだが、企業としては一定額が毎月入金される方が安定した収入が確保できるので、経営的には嬉しい。

一度契約すると利用が少なくても解約しない人もいるので、利益も出やすい。各社が様々なキャンペーンで値下げして契約者を増やそうとしているのも、そのためだ。とりあえず会員数を増やしてしまえば、解約する人が少ないと予測している。

作品を供給する映画配給会社やアーティストにもメリットがある。サブスクだと、今まであまり売れていなかった古い曲にも陽の目が当たるチャンスがでてくる。有料だったら手にとってもらえない曲でも、定額なら聴いてみようと思える。

日本では海外と違ってCDの売上が大きかったので、CDが売れなくなる懸念もあったが、最近大物アーティストが相次いでサブスクに参入してきている。CDの売上減よりもサブスクからの利用料の方が大きいと判断したからだろう。

メリットはあるが将来の危険も

ユーザーと企業、コンテンツ供給業者すべてにメリットがあるサブスクだが、将来を考えると課題もある。それは、サービスが一極集中になりがちなことだ。

一度会員になると、他の会員にならない人も多い。インターフェイスが変わったり、今まで見た続きもあるので、別のサービスに乗り換えづらくなる。

特に楽曲のように、サービスごとに提供される楽曲に差異が少ないと、今まで利用していたサービスを継続するケースが多い。

だから、NetflixやAmazonなど映像配信サービス各社はオリジナル映画を制作し、他社との差別化を図っている。

映画の制作に多額のコストがかかるので、投資できる会社も限られてくる。Netflix、Amazon、Apple、Disneyなど資本がある企業しか競争に参加できなくなるだろう。

今はまだ各社が競争している段階なので、楽曲サービスも映像配信サービスも統一されていないが、今後競争が進んでいくと、プレイヤーが淘汰されて寡占化がすすんでくる。

サービスを提供する企業が減ると、コンテンツの取捨選択を一部の巨大企業が握ることが問題になる。リコメンド機能をつかうことで、どの映画を誰に見せるか企業ユーザーの嗜好をある程度コントロールできる。

企業が不適切と判断したり、都合が悪いと思ったコンテンツを提供しないことが可能になる。YoutubeではGoogleが不適切と判断したコンテンツを削除している。これと同じことがプロのコンテンツにも起こってくる。

コンテンツの生殺与奪の権利をコンテンツホルダーではなく、サブスク提供企業が担うことになる。

サブスクはユーザーの手間を減らす便利なサービスだが、寡占化が進んだときに、どれぐらいの多様性と公平性を維持できるかが問われることになるだろう。

 

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