宝島社より 「ふたりの余命 余命一年の君と余命二年の僕」 が発売になりました。私にとっては初の商業出版になります。
自分の小説が本屋に並ぶという中学生からの夢がようやく実現します! 興味がある方は書店で予約してみてくださいませ。

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商業デビューをしたのをきっかけにして、noteを開設しました。

noteには小説関連の記事を掲載していきます。今のところ毎日更新し続けています(いつまで続くか分かりませんが)。

こちらの「小説とIT」も残しておきますので、過去のITの記事などは今まで通り読むことができます。

「小説とIT」を長い間お読みいただきありがとうございました。

noteも合わせてよろしくお願いいたします。

 

  

将棋と小説

将棋を観戦するようになって、7年になります。7年前というのは現在八冠を保持している藤井聡太竜王・名人がデビューした年で、藤井さんの圧倒的な才能に惹かれて、将棋を観るようになりました。
将棋のルールは知っていましたが、それまでプロの将棋を観たことはありませんでした。
観戦はしますが、自分では指さないので、いわゆる「観る将」です。

今では、プロ棋士の方の名前は大体覚えましたし、棋界のしきたりもわかるようになりました。
将棋は81マスの盤と8種類の駒しか使わないシンプルな形態のゲームなのに、進行とても複雑で、毎日何万局指されているのに同じ局面になることはないといわれています。
将棋のすごいところは江戸時代からルールがほとんど変わっていないことです。それだけ完成されたものなのに、現在に至るまで必勝法は解明されていません。

もうひとつ将棋のすごいところは、将棋を指して生活ができることです。将棋は文化であり、ゲームでもあります。約200名いるプロ棋士の方は対局料をもらい、勝ち進めば賞金も増えます(今年の藤井さんの年間賞金額は二億円を超えるといわれています)。

今でこそeスポーツの賞金で生計を立てている人がいると思いますが、将棋(囲碁もです)のようにゲームで生活できる仕組みを100年間守り続けてきたことは驚嘆に値します(日本将棋連盟は来年百周年を迎えます)。

独特の将棋の世界に魅せられて、「磐田の棋理」という小説を書きました。引退間近の中年棋士が、初めての女性プロ棋士を目指す女流棋士や将棋を始める中学生と交流するうちに、かつての情熱を取り戻しタイトル戦に挑む話です。

将棋と小説には共通点があるように思います。
それは、正解を積み重ねることによって結果が大きく異なることです。
将棋と小説には無限の可能性があり、絶対勝てる方法も必ず名作を残す方法も存在しませんが、要所要所には答えがあります。
最近の対局では、AIによって将棋の最善手が表示されます。AIに優劣があるので絶対ではありませんが、正しいと思える手を指し続けることで勝率を高めることができます。
詰みに至る道が見えているかのように藤井さんの指し手はぴたりとはまっていき、最後は相手の玉を追い詰めます。

名作を残す必勝法はないですが、言葉の正解はあると思っています。自分の思う感情、頭に描いている場面を完璧に表現できる言葉がどこかにあるはずです。
自分の心情にぴたりとはまる言葉が見つかったときは嬉しいですね。
読んでいる人はあまり気にしていないと思いますが、その場面にはまる一言を見つけるために、時には一日中考えていることもあります。
考えた分、見つかったときの喜びは格別です。

将棋は一手ずつの積み重ねで、勝負が決まります。
小説も同様で、言葉と真摯に向き合う作業の積み重ねが全体のクオリティを決めると思っています。

https://www.amazon.co.jp/dp/B09H4DZF35

 

ワンパンパスタと小説

最近ハマっているのがワンパンパスタ。知っている人も多いと思いますが、ワンパンパスタとは、フライパンひとつでパスタ料理を作ることです。
通常は鍋で茹でたパスタをフライパンで作ったソースで和えるけど、ワンパンパスタは、ソースを作ったフライパンにお湯を注ぎ、麺を茹でるので、鍋を用意する必要がありません。
鍋は嵩張るので取り出すのも面倒だし、洗うのも大変。フライパンだけで作れると料理のハードルがぐっと下がります。

パスタ料理の中には、デンプンが溶けた茹で汁をソースに混ぜて乳化させるメニューがあるけど、ワンパンパスタなら茹で汁とソースが一体化しているので乳化も容易です。

ワンパンパスタでできるパスタメニューは、さまざまです。ペペロンチーノに、カルボナーラ、トマトパスタにクリームソースと色々試したけど、どれもおいしく作れました。
おすすめはペペロンチーノですかね。ペペロンチーノはニンニクと唐辛子で作るシンプルなパスタ料理で、乳化が味のポイントになります。ワンパンパスタなら、乳化も簡単。麺を別に茹でるのと遜色ない味です。

誰がいつ考えたかわかりませんが、ワンパンパスタは革命的な発想だと思います(「暗殺者のパスタ」というちょっと物騒な名前のパスタ料理が起源という話も)。別に茹でなくてもソースで茹でれば楽だと思いつきそうで、なかなか思いつきません。長年パスタを鍋で茹でてきたけど、その発想はありませんでした。まさにコロンブスの卵。

最近は新しいミステリーのトリックをあれこれ考えているのですが、ワンパンパスタみたいに合理的かつ革命的なアイディアが思いつけばと思いつつ、ランチにワンパンパスタをせっせと作っています。

www.kinokuniya.co.jp

言葉の収集家

ふたりの余命 余命一年の君と余命二年の僕」には語彙を増やすために気に入った言葉をノートに書き留める人が出てきます。
これは僕の実体験です。中学生の頃、小説家を志すと決めたときに始めました。小説や新聞を読んで知らない言葉、気になる言葉を集めていました、まるで昆虫採集のように。

今よりも語彙が少なかったので、毎日何十個も記録していました。当時は知らない言葉を見つけると嬉しくなり、小説に使ったものです。なんだかあの頃は今よりも言葉に対して真摯に向き合っていた気がします。

実は、今でも言葉の収集は続けています。さすがに今は物理的なノートではなく、クラウドノートに保存しています。
大人になったので、知らない言葉は減りましたが、あまり見かけない言葉や、昔からある言葉だけど表現方法を発見した言葉を記録するようにしています。
スマホがあるから、ランニング中でも就寝前でもすぐに記録できるので便利です。

最近、記録した言葉は、こんな感じ。
「居住まいを正す」「やにわに」「足下」「胡乱」「活写」
頻繁に使う言葉ではないですが、覚えておくとどこかで使えそうな言葉たちです。

海辺の効用

普段は自宅かカフェで作業をするのですが、昨日は天気が良かったので海辺で執筆をしました(画像は別日撮影)。
11月末なのに、今年はまだ暖かく日差しがあたればシャツ一枚でも充分過ごせました。
執筆環境としては、海辺はなかなか大変なこともあります。海辺に行くのに時間がかかるし、キーボードに砂が入る危険もあれば、天候も絶えず変化します。

でも、海辺には自宅やカフェにはない効用があります。それは自然を感じられることです。砂も寒さも嫌ではありますが、それも自然です。
波の音を聞き、潮風を肌で感じながら書いていると気分転換になるし、筆も進む気がします。

海辺には人も訪れます。水際で遊ぶ親子や犬を散歩する人、いつもと違う風景が創作の刺激になります。
ふたりの余命 余命一年の君と余命二年の僕」の一部も海辺で書きました。「ふたりの余命」は砂浜でふたりが寝そべるシーンがありますが、海辺で書いた記憶があります。

海辺の欠点は、作業ができる期間が短いことですかね。真夏だと汗だくだくになるし、真冬は寒すぎて手がかじかむし。
海辺での執筆は春と秋がおすすめです。

1000人を面接してわかったのは「第一印象を壊す重要性」

会社員時代、支社の立ち上げや新入社員の最終面接をしていたので、おそらく1000人くらいと面接をしました。
人を選べるような人間ではないけど、ポジション的に仕方なくやっていましたね。
1000回も面接をすると、コツみたいなものがわかってきました。

僕が会得した面接のコツは、「第一印象を壊すこと」です。
面接を長くやっていると、面接室に入ってきて最初に志望動機を言ってもらうだけで、どういう人か大体わかってしまいます。いや、わかったつもりになってしまいます。
その人が醸し出す雰囲気で性格や能力までわかった気がしてしまいます。
この「わかった気がする」が面接の一番の大敵です。第一印象は外見の印象に引きずられてしまうし、インタビュアーの好みも出てしまいがちです。
また、第一印象は作ることができます。表情や態度、志望動機は練習を積めばある程度のスコアを稼げます(その練習をした努力はポイント高いですが)。

だから、面接では「第一印象を崩す」質問をするようにしていました。志望動機を聞いた段階で、「良い」と感じたことがどれだけ良いのか、「悪い」と思ったところがどれだけ悪いのかがわかる質問をし続けます。
当たり障りのない質問をしても、その人の本当の良し悪しは分かりません。深掘りをする質問が必要です。
例えば、「話が流暢」と思った人には、少しだけ変化球の質問を投げて、それでも流暢に回答できるか確認します。
朴訥な人には、多少アバウトな質問をして、つっかえながらでもいいから努力して話し切れるかを確かめます。
面接で完璧な人間はほとんどいません。だから、その人が欠点を長所でカバーできるのか、その欠点がどれだけ深いのか知りたいわけです。
そうやって、その人が第一印象通りなのか、そうではないのか相手の印象の解像度を高めていきます。

面接でその人を正しく把握できないのは、その人にとっても企業にとっても不幸なことです。その人には合わない会社に入社しても辛いだけですから。
だから、第一印象を壊して、本当のその人を知りたいのです。
よく、面接の短時間でその人の何がわかるという人がいますが、長所と短所を掘り下げる質問を的確にすることで、その職場にあった人なのかどうかは大体見極めがつきます。
あくまでも「一緒に働く」という観点だけであって、その人の本質がわかるわけではありません。本当にその人を知るには長い年月が必要だと思います。

ミニマルな生活

ミニマルな生活に憧れていて、なるべく物を増やさないようにしています。
デジタルグッズは大好きだけど、PCはいつもノートPC一台しか使っていません。マウスやキーボードなど付属物が必要なデスクトップPCはもう何十年も買っていません。できればPCを持たずにiPhoneだけで済ませたいぐらいです。
ケーブルも大嫌いで、充電ケーブルとモバイルバッテリーはワイヤレス充電できるMagSafe対応のものに全て買い替えて、今のiPhoneに買い替えてからLightningコネクタをほとんど使っていません。

洋服もスティーブ・ジョブズみたいに毎日同じ服を着ていたいのですが、残念ながら四季がある日本では、どうしても衣服が増えてしまいます。それでもできるだけ洋服を増やさないように、夏はTシャツ、春秋はTシャツに長袖シャツを羽織り、冬はその上nダウンを着込むようにしています。

ミニマルな生活の効用は気が散らないことです。物が減れば視界がスッキリして気が散る事がなくなり集中できます。

物が多ければ多いほど選択肢が増えて、迷いやすくなります。
洋服が多ければ、朝なにを着るか迷うし、デバイスが多ければ用途によって使い分ける手間が発生します。
選択肢を減らすことで迷う時間を無くして、小説のことを考える時間を増やすようにしています。

物を増やすメリットもあります。
用途別に物を用意すると、それぞれの作業を効率的にできます。広いディスプレイがあれば、長い文章を一度に表示できるので、推敲の効率が上がります。
洋服が多ければ、気候に合わせた最適な服装を選ぶことができます。

物を減らして迷う手間を減らすのと、物を増やして時間を節約できるのと、どちらを取るか見極めが大事です。
できるだけ効率的かつ物を増やさないために、買い物は一点豪華主義です。
PCを数年に一度買い換える時は、最強スペックを選ぶようにしています。家電もハイグレードを選ぶことが多いです。
お金はかかりますが、滅多に新しい物を買わないので、トータルの支出はそれほど多くないと思います。

ただ、最近は机周りに物が増えてきてしまいました。それは本です。昔から本は読む方だったと思いますが、小説を書くためにたくさんの本を読むようになり、積み上がってきてしまいました。

ミニマル生活を維持するのもなかなか大変です。

オーブンレンジが信用できない

在宅で働いていると、よく使う家電がオーブンレンジ。ランチには冷凍食品のパスタやチャーハン、夕食には野菜や冷凍ご飯を温めるのにレンジを利用します。
本来はオーブンレンジが仕事の良きパートナーになるはずなのに、うちのオーブンレンジが良くないのか、僕との相性が悪いのか、思った通りの動きをしてくれません。

まず、温めてくれない。温めるための機械のはずなのに、これは致命的。「温め」ボタンを押すと自動的に適温にしてくれるはずなのですが、いつも完璧には温かくなってくれません。
二度温め直さないといけないので、最近は手動でワット数と分数を設定するようにしています。冷凍食品のパッケージにはワット数と必要な分数が書いてありますが、その通りに温めても全然ダメ。

電子レンジ機能だけなら、追加で温めればいいんだけど、この前はもっとイラッとする事がありました。
オーブン機能を使った「カラッと温め」という機能を使って揚げ物を温め直してみたけど、これがなかなか終わらない。残り時間を見ると、38分。いやいや、買ってきた唐揚げを食べるのにそんなに待てません。
途中で「取り消し」をすると、高音になった庫内を冷やし始め、動作しなくなります。
本当は唐揚げの後に冷凍ご飯を温めようと思っていたのに。唐揚げは冷たいままでもまあ食べられますが、カチカチのご飯はさすがに食えない。
オーブンレンジの扉を開けてなんとか冷やして「冷却中」の表示が消えてから、冷凍ご飯を温めようとしたら、途中で「高温」と表示されて温め機能がストップしてしまいました。
自分で「冷却OK」と言っておきながら、「高温」でダメということはどういうことやねん、とどつきたくなります。
使っているオーブンレンジは、家人がパンを焼きたいからと買ったもので(もう何年もパンを焼いていないけど)、かなり大型で高性能なはずだけど、最初から僕との相性は良くなかった。

人と一緒で家電にも相性があるんですよね。
実はあまり良い印象がないメーカーの商品は買わないようにしていて、このレンジもそのメーカー製。
メーカーの思想みたいなものが合わないんでしょうかね。 

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会社員が守るべきたった一つのルール

会社員時代のことをあれこれ思い出していたら、そのときに自分が守っていたことが頭に浮かびました。当時は、仕事を効率的にこなすために、山ほどあるライフハックを調べて、ビジネス書をたくさん読みました。読んだことはほとんど覚えていないし、実践できたこともあまりないけど、ずっと守り続けていたことがありました。

それは「他人に愚痴を言わないこと」です。なんだか小学生への教えみたいだけど、企業で働いている間ずっと守っていた唯一のことかもしれません。

企業という組織で働くということは、他人と一緒に働くということです。自分の考えるとおりに事が進むわけがないし、他部署との折衝など色々と面倒なことがあります。
うまくいかないとつい愚痴を吐きたくなりますが、僕はおそらく一度も他人に愚痴を吐きませんでした。
他人に愚痴を吐いても問題は解決しませんし、大抵の場合、愚痴を吐かれた人も面白くありません。お互いに愚痴を吐くことで、親密な関係を築く方法もありますが、そういうやり方を僕は好きではありませんでした。
他人に愚痴を吐くのではなく、どうして「嫌だと思うのか」を感情を切り分けして根本原因を探り、解消法を考える方が好きでした。
愚痴を吐きたいと思うということは、何かしら嫌な事があるはずです。ただ「嫌だ」「ムカつく」で終わらせるのではなく、その元になる原因を探ることで、対処方法が見えてきます。

愚痴を吐く行為にも効用はあります。自分の内にマイナスを溜めておくと、心身に悪影響がある気がします。負の感情を抱えているとそのことばかり考えてしまい、他のことが考えられなくなってしまいます。
だから、僕は家族に面白おかしく話すようにしていました。家族は仕事のことをほとんど知らないし、利害関係もありません。だから、思う存分話せるわけです。
ただ、悪口や愚痴は聞いている方も面白くないので、必ずお笑いに変えて話すようにしてました。
基本的に自宅にいるときはくだらないことばかり口にしているので、お笑いのネタのひとつとして、家族も不快に感じず(多分)、聞いてくれているはずです。

どこまで出世や成績に効果があったかわかりませんが、愚痴や悪口を言わないことで、社内に敵を作ることはないし、同僚を不快に思わせることもなかったように思います。

自分が得することを選ぶ

マネジメントの職に就いてから、仕事の心構えみたいなことを新入社員に話すことがありました。人様に教えるなんて畏れ多いのですが、仕事だから仕方がありません。
その時に僕が言うと決めていたのは「自分が得することを選ぼう」でした。

利己的に聞こえますが、常に自分が得する選択をするのは簡単ではありません。外国人と接する仕事に就きたいなら、英語を勉強した方が良いけど、ゲームをしたり、飲みに行ったりしてしまいがちです。
本当に自分の将来を考えるなら、英語を勉強した方が得だけど、それを選択できる人は少ないです。
睡眠時間を削って勉強した方が良くても継続できないですよね。

小さい毎日の習慣もそうです。同僚にきちんと挨拶した方が人間関係を円滑にできるけど、なんか恥ずかしかったり面倒臭さかったりして怠りがちです。
机をきれいにしたり、健康のために体を鍛えたり、本当に自分が得することを選び続けるのは並大抵なことではないのです。

「得すること」の継続によって、将来の結果が大きく変わるわけですが、まだ見ぬ将来よりも目の前の現実に振り回されてしまうのが人間です。
自分の境遇を呪う暇があったら、ひとつでも自分が得することを選ぶことで人生を少しずつ好転できるかもしれません。
何をしたら良いか迷った時は、「自分が得することを選ぶ」ようにしています。

「小説を書く目的は何ですか?」

ふたりの余命 余命一年の君と余命二年の僕」を上梓してから、いくつかの取材を受けました。
聞かれた質問で困ったのが「小説を書く目的は何ですか?」でした。インタビュアーによって多少言い回しは違いますが、「どうして小説を書くのですか?」「小説を通じて何を伝えたいですか?」みたいな似たようなことを聞かれました。

この質問の回答は結構悩みました。
どうして僕は小説を書くのか。
中学生の頃から書いてきて、はや数十年、改めてどうして小説を書いているのか考えると、なかなか明確な答えが見つかりません。

「書くのが楽しい」
間違いではないですが、書いていて「ああ楽しい」と感じる瞬間はあまりないですねえ、僕の場合。ゾーンに入ると夢中で指が動きますが、意識は小説内にあるので、「楽しい」と感じることはないように思います。

「読者の心を動かしたい」
昔はそう考えていた気もしますが、最近は他人の心を動かすみたいな偉そうな思いはなくなりましたね。小説には、そういう力があるのかもしれませんが、最初から意図して書くものではない気がします。

「お金持ちになりたい」
そう思ったことは一度もないですね。小説を完成させるのには膨大な時間がかかる割に「儲かる」仕事ではないと思います。
もちろん大ヒットすれば、たくさんの印税が入るかもしれませんが、それは宝くじが当たるようなものです(宝くじよりは確率が高いかもしれませんが)。
お金持ちになりたければ、別の職業を選択した方が良いでしょうね。

「楽しんでもらえれば」
色々考えた結果、そう答えたことが多いように思います。
読書は時間がかかるし、集中力も必要です。時間と労力を使って読んでもらうのだから、せめてその時間だけでも楽しんでもらえれば作家冥利に尽きると思います。
贅沢を言えば、読了した後に、日常のふとした瞬間に小説内のセリフや風景を思い出してもらえればさらに嬉しいですかね。

皆さんはどうして小説を書くのですか?

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プロの校正さん凄すぎ

ふたりの余命 余命一年の君と余命二年の僕」を上梓してわかったことのひとつは「プロの校正さんの凄さ」です。ドラマやネットなどで校正さんのプロフェッショナルぶりは知っていたつもりだったけど、体験したら印象と全然違いました。

ふたりの余命」はKindleですでに刊行した作品なので、それこそ100回近く読んできたにも関わらず、校正さんの指摘は1ページに数箇所、全部で1000以上の指摘がありました。
さすがに明確な誤字はほとんどありませんでしたが、助詞の違い、表現の統一、熟語の意味の取り違えなど、自分の日本語能力が恥ずかしくなるほど、たくさんの指摘がありました。
中でも驚いた指摘は、「夕焼け」の描写でした。ある場面で「夕焼けで赤く染まった」と書いたところ、この時間で夕焼けはおかしいと指摘が入りました。
ふたりの余命」の舞台は相模湾に面した街で、待ち合わせ時間は6月下旬の5時だと言及しているので、神奈川県内の6月の日没時間が記載された表を付記してくれました。
その表をもとに、待ち合わせ時間を「6時」に変更しました。

言い方は悪いけど、「夕焼け」も「5時」もそこまで深く考えて書いたわけではないです。それでも、きっちりと指摘してくれる校正さんには頭が上がりません。

今までKindleで出版した作品は、自分で校正をきっちりしてきたつもりでしたが、プロの校正さんにはとてもかないません。プロの校正さんに指摘されたことを参考に全作品を改めて推敲していきたいと思います。
プロの校正さんすごすぎ。

オーディオブックと街の景色

ランニングするときは音楽かオーディオブックのどちらかを聴いています。毎日約1時間ランニングしているので、かなりの時間を聴くことができます。
オーディオブックはさまざまな本を読みますが、小説が一番多いですかね。海外ものは名前を覚えるのがなかなか大変なので日本の小説を聴きます。

オーディオブックは耳で聴くので、目の前の視界はひらけています。だから家事や作業をしながらでも本を聞くことができるわけです。
ランニングしているときは街の風景を見ることができるので、オーディオブックを聴きながら走ると、街の風景と小説内の風景が融合するというか、耳で聴いている小説と目で見ている景色が繋がる感じがします。

同じ場所を走ると、その時聴いていた小説の場面を思い出したりすることがあります。旅先で読んだ紙の本をふとしたときに思い出すと、旅の思い出が蘇るのと同じ効果だと思います。

視覚だけではなく、嗅覚とも小説は繋がります。金木犀の香りを嗅ぐと、僕は何年前に読んだ小説の場面を鮮やかに思い出すことができます。

本の世界に没入できる黙読も素敵な体験ですが、街の風景と結びつくオーディオブックもまた別の体験ができます。

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しつこい人は嫌いですか?

自分の性格というのはよくわからないですが、自覚している特徴をひとつ挙げるとすると「しつこい」だと思います。
しつこいといってもストーカーとかそういう犯罪的なことではなく、一度決めたことを続けるしつこさです。

ランニングは、ほぼ毎日続けてもう10年以上になります。毎月100キロ近くを走っています。村上春樹さんが毎日走ると聞いて、真似をしたのが走るきっかけでした最初は3キロ走るのも辛かったですが、6年前にはフルマラソンも完走できるぐらいは走れるようになりました。

ここ一年半は、腹筋ローラーをしています。毎朝コーヒーを淹れるまでの時間、腹筋ローラーを使って腹直筋と背筋を鍛えています。
最初は膝を床につけてもできませんでしたが、毎日継続しているうちに膝を立ててできるようになりました。
おそらく腹筋が割れているはずですが、残念ながら贅肉に隠れてよく見えません。

昔は、毎日Twitter小説を書いていました。5年以上続けて2000作品以上の作品を残して、賞をもらったこともあります。

一番新しい「しつこい」は、このnoteです。商業出版デビューをきっかけに始めたnoteの記事を書いて、今日で45日目になります。
内容は小説についての記事です。無名の新人小説家を知っていただくために書いています。

以前は、IT関連のブログ「小説とIT」を5年間ほぼ毎日書いていました。現在の投稿数は1953本。今はnoteに注力しているので、noteの記事を転載するだけにしています。せっかく2000本まで続けたいですね。

どうしてこんなにしつこく続けているかというと、自分の集中力が信用できないからです。
習慣化して半ば強制的に行なう仕組みを作ることで、物事を継続的に続けて結果を出すようにしています。今は、iPhoneの「リマインダー」でこんな感じに設定しています。
リマインダーにすることで、やるべきことが「見える化」されます。タスクをこなしてクリックすることで達成感が得られます。

最近は習慣が増えて他のことに遣える時間が減っているのが問題で、そろそろ「しつこい」をひとつ減らそうかな。

もっともしつこく続けているのは、小説の執筆でしょうね、間違いなく。中学の頃から初めて今でも書き続けていて、仕事にまでしているわけですから。

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お金で集中力を買う

結果を出せるかどうかは「集中力の有無」による部分が大きいと思います。どんなに才能があっても集中力がなければ大成しません。
棋士の藤井聡太八冠があれだけ勝てるのは、類まれな才能を有しているだけではなく、対局に没入できる集中力があるからだと思います。

全く自慢できることではないのですが、僕の集中力はかなり貧弱です。このnoteを書くのに、ここまで3回ぐらい別のサイトを眺めてしまいました。

言うまでもないことですが、小説を書くには集中力が不可欠です(執筆に限らず全ての仕事に集中力が必要ですが)。

か弱き自分の集中力を強化するために、デスク周りを綺麗にして気を逸らすものをなくしたり、音楽を聴くようにしたり、ポモドーロ・テクニックを採用したり、今まで様々なことを実践してきました。
その中で最も有効的だったのが、「お金を遣うこと」でした。

小説執筆は自宅でもできます。無料で使えるので、一番リーズナブルです。ただ、自宅には誘惑も多いです。本や映画、昼寝もできてしまいます。

そこで、執筆するときはスタバやファミレスに出かけることが多いです。当然、お金がかかるわけですが、貧乏性の僕にとっては「お金を遣う」ことが重要なのです。
「お金を払ったから、書かないともったいない」という節約精神で集中して書くことができるわけです。「払った金額だけ書かないと損をする」と思えば、他のことで時間を遣うことがなくなります。

貧乏くさい話ですが、「お金を遣う」ことを大義名分にして、場所を変えて気分を変えることが重要なのかもしれません。

ある漫画家が自宅でも仕事ができるのに、歩いて行ける距離に仕事場を借りたという話を聞いたことがあります。仕事場の方が狭くて使いづらいのに、仕事場を用意したことで作業に集中できたということです。
有名な漫画家さんなので、「家賃が勿体無いから描かないと」と思ったわけではないだろうけど、生活と仕事を分けることでスイッチを切り替えるのでしょう。

コロナ禍後、リモートワークが増えましたが、リモートワークの方がオフィスで働くよりも生産性が上がる人がどれだけいるのでしょうか。
アメリカのIT業界では、現在リモートワークを減らすようにしています。家賃がかかるからリモートワークの方が節約できるのに、家賃よりもオフィスで社員が一緒に働く方が収益を改善できると考えているのでしょう。

小説家は孤独な仕事ではありますが、ひとりではないと感じられることもカフェやレストランで書くメリットなのかもしれません。