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自分の小説が本屋に並ぶという中学生からの夢がようやく実現します! 興味がある方は書店で予約してみてくださいませ。

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好調なApple決算の背景に残る課題と解消方法

好調なApple決算

Appleの2020年Q1の決算は、売上が前年同期比9%増、利益は11%増と、売上・利益とも過去最高だった。

好調の要因と今後の見通しを記します。

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好調だったiPhone

AppleのQ1決算は、毎年新型iPhoneの売上が左右する。今期はiPhone 11シリーズの売上が好調で前年同期比で売り上げが8%伸びた。iPhoneの売上が前年同期比で伸びたのは1年前以来のこと。

Proシリーズに搭載したトリプルカメラ、無印とProというシンプルなモデル体系にしたことが功を奏したようだ。

iPhone 11シリーズはカメラ性能以外は前年モデルと大きく変わっていないが、iPhone XSをスキップしたユーザーの買い替えが多かったのだろうか。

今年の秋に登場すると思われる新型iPhoneは、5G搭載やモデルが増えることが予想されている。5G搭載は値上げにも繋がるので、全体の売上を維持するため販売台数を落とさないように噂の廉価版モデルでカバーするのか、今後の対策が注目される。

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大幅に伸びたAirPods

Apple WatchやAirPodsなどを含む「ウェラブル・その他」部門が前年同期比37%と大きく伸びた。特にAirPodsはAirPods Proが今でも品薄なように新しい必需品として定着しつつある。

とは言え、前期のQ4は前年同期比54%増だったので、伸び率は低下している。Appleは公言していないが、AirPodsのヒットの背後でApple Watchはそれほど伸びていないと思われる。Apple Watch series5は、前年モデルであるApple Watch series 4との違いは「常時点灯」ぐらいなので、大幅に売れたとはちょっと思えない。

今年の秋に恐らく登場するだろう新型Apple Watchで、停滞しつつあるApple WatchにAppleがどのような新機能を追加するか気になるところだ。

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順調なサービス

ハードウェア製品だけではなく、Apple Musicなどのサービスも好調で、前年同期比17%の伸びだった。

Apple Music以外にも新しくスタートしたApple TV+も貢献したようだ。

ただ、前期は前年同期比25%の伸びで、今期の伸びはサービスのカテゴリーができてから過去最低だった。Apple全体のうちサービスのシェアは20%から14%に相対的に低下していて、勢いは落ちている。

Apple Musicや新しくスタートしたApple TV+はAmazonやGoogleなどと激しい競争に晒されている。今後、価格競争も苛烈さを増すだろう。

その中で、Appleのサービスがどこまで独自性を出せるかがポイントになると思う。

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低迷するiPad

iPadは前年同期比マイナス11%と振るわなかった。前期までの一年のiPadは成長を続けていたが、2019年9月発売したiPadは価格が低く、iPad全体の売上増加には寄与しなかったようだ。

Macは前年同期比マイナス3%なので、MacよりiPadの方が落ち込んでいる。

iPadは初代登場から10年が経過した。Appleは「iPadは次世代コンピューターだ」と主張しているが、思うように進んでいない。

iPad ProからiPad、iPad Air、iPad miniと過剰ともいえるラインナップを揃えたのに、売り上げが伸びていないとなると、この次の展開が難しい。タブレット市場は、実質Appleが独占しているので、タブレット市場を拡大するか、製品単価を上げないと売上は伸びない。

iPad Proのシェアをどれだけ伸ばせるかが鍵となるだろう。

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iPhone依存からの脱却

過去最高の売上・利益と好調だったAppleの決算だが、iPhoneのシェアはApple売上全体の61%と前期より増えて、iPhone依存が進んだ。新しく登場したiPhoneが最も売れるQ1はiPhoneのシェアが伸びる時期ではあるが、昨年同期のApple内iPhoneのシェアは62%だったので、1%しか下がっていない。

ここ数年のAppleは飽和化しつつあるスマートフォン市場を見据えて、iPhoneからの脱却を進めてきた。Apple Watchなどのウェアラブルとサービス部門は伸びているが、今期は前期よりも勢いは落ちている。

性能・売上ともに停滞の兆しがあるApple Watchをどのように進化させるか、競争が激化するサービス部門でどのように独自性を出すかが大きな課題となるだろう。

ヒントは、大ヒットとなったAirPodsだ。Appleらしい洗練されたインターフェイスとデザインは他社にないものだ。Appleの強力なブランドパワーを背景にした、生活を変えてくれる予感がするプロダクトは、大ヒットする。

完全ワイヤレスイヤホンはAirPods以前にもあったが、Appleが参入すると、急速に一般化し、市場そのものすら変えてしまう。iPhoneもそうだったし、Apple Watchもそうだった。

こういった革新的なプロダクトを提供し続けるのがiPhone脱却に繋がる唯一の道なのかもしれない。

 

IT関連のブログをほぼ毎日更新していますが、本業は小説家です。
ブロックチェーンなどITを題材とした小説の他に、ミステリー、恋愛物、児童文学など様々なジャンルの作品を取りそろえています。
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Amazon EchoでAmazon Musicの自分のプレイリストをシャッフル再生する方法

Amazon Echoで音楽を聴く

スマートスピーカーを買った人が一番利用しているのが音楽を聴くことだそうだ。Amazonのスマートスピーカー「Amazon Echo」は、いくつかの音楽配信サービスを利用できるが、Amazon Musicを利用している人も多いと思う。

Amazon Musicでは、好きな曲をまとめる「プレイリスト」を作成することができる。プレイリストをAmazon Echoから流したいところだが、これが結構難しい。

自分が作成したプレイリストをAlexaに音声で命令しようとすると、自分のプレイリストではなく、他人が作ったプレイリストを再生してしまうことがある。

自分のプレイリストだけを再生する方法を記します。

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「マイプレイリストのXX」

自分のプレイリストをAmazon Echoから再生するコツは2つ。

ひとつは、「マイプレイリスト」と呼ぶこと。「マイ」をつけないと、他人のプレイリストが再生されることが多い。

もうひとつは、「マイプレリストXX(XXはプレイリスト)」と「の」をつけること。「の」がないと、プレイリストとうまく認識してくれない。

自分のプレイリストを順番に再生してほしいなら、

  • 「Alexa、マイプレイリストのXXを再生」

とする。

シャッフル再生なら、

  • 「Alexa、マイプレイリストのXXをシャッフル」

と命令すれば良い。「シャッフル再生」と「再生」を付ける必要はない。

<追記:2020/06/17>

コメントで頂いた情報ですが、今日(2020/06/17)このコマンドを発話すると、警告音が出て正しく動作しませんでした。

Amazon MusicのマイプレイリストのXXをシャッフル再生」というように「Amazon Musicの」をつけるとシャッフル再生されるプレイリストありましたが、なぜか「Amazon Musicの」をつけても警告音を発するプレイリストもあります。どうして再生できるプレイリストとできないプレイリストがあるのかわかりませんでしたが、「Amazon Musicの」をつけて試してみてください。

また、下記の「定型アクション」を設定する方法ではシャッフル再生ができるので、「定型アクション」を作成してしまうのが一番良いかもしれません。

Echo Dot (エコードット)第3世代 - スマートスピーカー with Alexa、チャコール
 

長いから定型アクションに登録

「マイプレイリストなんとか」はあまりに長い。よく聴くプレイリストは定型アクションに設定しておけば短い言葉で命令できる。

  1. iPhoneで「Amazon Alexa」アプリを開く
  2. 左上のメニュー(または左端から右にスワイプ)から「定型アクション」をタップ

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  3.  右上の「+」マークをタップ

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  4.  「実行条件を設定」をタップ

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  5.  「開始フレーズを設定」をタップ

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  6.  命令する「フレーズを入力」。プレイリストと同じ名前でもOK。入力したら「次へ」

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  7.  「アクションを追加」→「ミュージック」をタップ

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  8. 「これを再生」のところに「マイプレイリストのXX(プレイリスト名)をシャッフル再生」と入力。「マイプレイリストの」がポイント

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  9. プロバイダーで「Amazon Music」を選ぶ
  10. 「デバイスを選択」で再生したい該当のAlexaデバイスを選ぶ
  11.  右上の「保存」を選ぶ。しばらく経つと定型アクションに追加される。定型アクションのリストから選択しても音声で命令してもOK

よく使うプレイリストは定型アクションに登録

ちょっと長いけど「Alexa、マイプレイリストのXXをシャッフル」を覚えてしまおう。よく使うプレイリストなら定型アクションに登録しておくのが便利。

IT関連のブログをほぼ毎日更新していますが、本業は高山環(たかやま かん)というペンネームで小説を書いています。
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iPhoneが勝手に再起動する時に行う6つの改善方法

iPhoneが勝手に再起動

iPhoneを使用していると勝手に再起動している時がある。iPhoneを使おうとすると、いつのまにかロック画面になっていて、Face ID(Touch ID)が使えず、パスコードを要求されるので、再起動したとわかる。

一度ぐらいならいいけど、頻繁に起きると使いづらい。何度も勝手に再起動する場合の改善方法を紹介します。

 iOSのアップデート

古いOSにはバグが含まれていることがある。iOSのバージョンが古い場合は、最新のiOSにバージョンアップしよう。最近だと、iOS 13.2.2で勝手に再起動する報告があがっている。

iOSのアップデート方法

  1. iPhoneの「設定」を開く
  2. 「ソフトウェア・アップデート」→「ダウンロードとインストール」をタップ

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強制的に再起動

iPhoneには通常の再起動の他、強制的に再起動する方法がある。通常のリセットと異なり、突然シャットダウンさせるので、メモリーがリセットされアプリのデータが保存されない可能性もあるので、必要なアプリは閉じてから行おう。

強制的な再起動の方法(iPhone 8以降)

  1. 音量を上げるボタンを押して放す

  2. 音量を下げるボタンを押して放す

  3. 画面が消灯するまでサイドボタンを押さえておく

  4. Appleロゴが表示されたら、再起動成功

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バッテリーのリフレッシュ

デバイスの電源が勝手に切れたり、再起動したりする原因の多くがバッテリーだ。バッテリーからの電力供給が不安定になると起こりやすい。

バッテリーを交換する前に、バッテリーのリフレッシュを試みるのもありだ。リチウムイオンバッテリーは、長年使用してもメモリー効果といわれる充電容量が減る問題は起きづらいと言われているが、やってみる価値はある。

バッテリーのリフレッシュ方法

  1. バッテリー100%になるまで充電する
  2. バッテリーがなくなるまで使い続ける
  3. 数時間放置してから、再び充電する

バッテリーの交換

バッテリーをリフレッシュしても改善しなければ、バッテリーが劣化している可能性がある。バッテリーの状態を確認して、劣化している場合はバッテリーを交換しよう。バッテリーの交換は、Appleストアに依頼する。

バッテリー状態の確認方法

  1. iPhoneの「設定」→「バッテリー」をタップ

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  2.  「バッテリーの状態」をタップ

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  3.  バッテリーの状態を確認。最大容量が低下していると、「ピークパフォーマンス性能」に「この iPhone で、必要なピーク電力をバッテリーが供給できなくなったため、突然のシャットダウンが発生しました。…」のようなメッセージが表示される

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初期化

勝手に再起動するのは、iOSのバグかバッテリーが原因の場合が多いが、iPhoneを初期化して改善する場合もある。

iPhone初期化の方法

  1. iPhoneの「設定」→「一般」→「リセット」をタップ

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  2.  「すべてのコンテンツと設定をリセット」をタップ。「すべての設定をリセット」で改善することは経験上ほとんどない。

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  3.  iCloudバックアップをしたか確認したのち、パスコードを入力して消去

     

  4. 数分後、初期化された状態になる

これでもダメなら修理

以上の方法を行っても改善しない場合は、修理という選択になる。Appleのサイトから修理を申し込もう。

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AbemaTVの黒字化に必要なのはアカウントとパーソナライズ

ながら視聴をターゲットにしていたAbemaTV

サイバーエージェントが運営するWebテレビ「AbemaTV」は、週間アクティブユーザー数が当初目標の1000万人に到達し視聴者数は確実に伸び、緊急記者会見などがあったらAbemaを視るという視聴習慣が根付きつつある。

ただ、赤字は年間200億円で、収益化にはまだほど遠い。

恋愛バラエティを企画したり、有料コンテンツを充実させたりと試行錯誤を繰り返しているが、今のAbemaTVに足りないもののひとつが「パーソナライズ」だと思う。

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強力なライバルYouTube

AbemaTVは、地上波テレビに飽きてテレビを持たない若者をメインターゲットに開始した。「とりあえずテレビ」をつける人たちをネットのAbemaTVに移行させるのが当初の目的だった。

ところが、実際には「ながら視聴」する視聴者はあまり多くなかった。年がら年中スマホを使う若者が、ずっと動画を再生し続けることはなく、ピンポイントで好きな番組を視聴する人の方が多かった。

もうひとつ誤算だったのが、CMだった。地上波テレビの代替を目指していたAbemaTVは、テレビと同様に番組の間にCMを流して広告料で収益を得ようとしていた。ところが、広告は思うように集まらず、Amazon Videoなどで自分が好きな動画しか観ないことに慣れた視聴者は、勝手に流れるCMを忌避するようになった。

さらに、ながら視聴ならAbemaTVよりも優れたコンテンツがあった。それがYouTubeである。YouTubeは自分でコンテンツを選んで視聴するスタイルももちろんできるが、放っておいてもその人が好むコンテンツを続けて流してくれる。CMも入るが、AbemaTVのCMよりも短く、スキップできるものも多い。

YouTubeは有料会員になれば、CMを停止することもできる。AbemaTVは有料会員になってもライブの放送ではCMを止めることはできない。

AbemaTVは、チャンネルを選べば同じジャンルのコンテンツを見ることができるが、「アニメ」チャンネルといっても多種多様だし、バラエティを主に流す「Abema Special」チャンネルもバラエティだけではなくドラマ番組もあるので、同じ種類のコンテンツを適当に観るという感じではない。

自分が好きなコンテンツを自動でパーソナライズして流してくれるYouTubeの方が「ながら視聴」に向いている。

アカウント作成

この状況を打開するにはAbemaTVもパーソナライズできるようにすることが必要だ。そのためにはAbemaTVのアカウントをユーザーに作成してもらってログインしてもらう必要がある。

AbemaTVは地上波テレビのようにスイッチをつければ気軽に視聴できるようにログインなどの面倒な作業を不要にしている。アカウント作成とログインという作業は、新しいサービスを試す障壁になるので、そのような仕組みにしたのだろうが、その結果、個々の視聴状況に合わせたパーソナライズができなくなった。

YouTubeは、インターネットに接続するすべての人が持っているだろうGoogleアカウントを使用しているので、その障壁を気にする必要がない。

AbemaTVもログインしてもらえれば、過去に視聴したコンテンツを参考にCMを流したり、その人が好みそうなビデオを紹介したりできるようになる。

有料会員なら、CMをのぞいて、ビデオとライブの番組を組み合わせて、その人だけのチャンネルを作ることも可能だ。

AbemaTVの視聴者数は増えてきたので、アカウント作成を強いてもAbemaから離れる人は少ないだろう。今こそ、アカウントとログインによるパーソナライズをすすめるべきだ。

 

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Boseが直営店を閉鎖する5つの理由

直営店を閉鎖

オーディオ機器のBOSEが日米や欧州の直営店を閉鎖するニュースが流れた。

どうして大規模な閉鎖することになったのか考察してみます。

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オンライン販売比率の上昇

オンラインでの売上が伸びているので販売店は不要になったとBOSEは説明している。BOSEに限らず、多くの小売業がオンラインの販売比率を伸ばしている。

実店舗は賃料、人件費のコストが掛かるので、利益を追求するためにオンラインへシフトするのは自然の流れではる。特にアメリカは日本よりも国土が広いので、実店舗に集客するより、オンラインで販売するほうが効率が良い。

オーディオのデジタル化

BOSEと言えば、高価で憧れのスピーカーだった。オーディオに凝るなら、まずBOSEのスピーカーの導入を検討したものだった。

ところが、オーディオがデジタル化されて、古参のオーディオ機器メーカーの優位性は失われていった。

昔のように大きなスピーカーを買う層も減ってしまった。

ハイブランドの衰退

世の中がフラット化する中、多くの高級ブランドは以前の威光を失いつつある。「高級ブランド」のアイコンがつければ物が高く売れる時代は過ぎ去った。BOSEも「高級オーディオブランド」というだけでは高い値段で販売することができなくなってきている。

Appleは今でも高い利益を誇るブランドだが、Mac、iPhone、Apple Watch、AirPods、Apple Musicと新たな製品・サービスを次々と開発することで、ブランドイメージを刷新し続けている。

Boseもスピーカーだけではなく、ヘッドホンとイヤホンと新しいデバイスを開発しているが、ブランドイメージはオーディオ機器メーカーから、あまり変わっていない。

ヘッドホンとイヤホンへの移行

オーディオのデジタル化に伴い、巨大なスピーカーの需要も以前よりは減ってきていて、小型のBluetoothスピーカーやヘッドホンで音楽を楽しむ人が増えた。

Boseが直営店を展開した理由は、ホームシアターや高級スピーカーを体験するためだった。ヘッドホンとイヤホンは直営店ではなく、量販店でも十分に体験できる。

強力なライバル「Apple」

AirPodsシリーズの売上は年間1.3兆円に上ると予測されている。ワイヤレスイヤホン市場の7割を占めていると言われる。

昨年発売したAirPods Proは、Apple初のノイズキャンセリングイヤホンにもかかわらず、ライバルにも負けない性能で、人気を得ている。初物なのにこれだけの製品を開発できた背景には、iPhoneなどで稼いだAppleの豊富な開発費があることは間違いない。

対するBOSEは、ノイズキャンセリングヘッドホンでは優位に立っていたが、ノイズキャンセリングイヤホンではSONYやAppleに大きく遅れを取っている。

元々BOSEが全世界で直営店を展開したのは、Appleストアの成功があったのは間違いない。製品だけではなく、店舗での試用や購入まで最高の顧客体験を提供するためにAppleはストアまで開発した。その成功を見て、BOSEも直営店を展開したが、Appleストアのようはなれなかった。

ホームシアターやスピーカーなどを実際に体験して販売に繋げるのは理にかなった戦略だったが、AirPodsでAppleにその市場を奪われてしまったのは皮肉なことだ。

苦しい実店舗

特に国土が広いアメリカではオンライン販売が急伸していて、多くの実店舗が閉鎖されている。Appleストアの成功後、多くのメーカーが直営店を展開したが、ほとんどが失敗に終わった。

強力なブランド力を維持し続けているAppleだけが特殊だったと言える。

オンライン販売は確かに便利だ。他製品と比較検討しやすいし、口コミも参考になる。なにより、家の中にいてショッピングできるのは忙しい現代人には最適だ。

だけど、実際に製品を体験できる機会が減っていくのは少しさびしい。

 

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ITに不慣れな人がスマートスピーカーをどう使うか?

スマートスピーカーによってかわるもの

我が家には複数のAlexaが配置されている。リビング、書斎、寝室、娘の部屋にキャンペーンでゲットしたAmazon Echo dotとFire 7が置いてある。

Alexaがあることで、家人の行動が変わった。スマートスピーカーによって、暮らしが変わった例を紹介します。

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音楽が身近になった

スマートスピーカーを設置して一番変わったのは、家族が音楽を聴くようになったことだ。今まで自分以外の家族は音楽をほとんど聴かなかったが、スマートスピーカーで「Alexa、XXを聴かせて」と命令して、音楽を楽しむようになった。娘も話題のアニソンを聴くようになった。

おかげで、Amazon Music Unlimitedに加入することになった。無料期間も過ぎたので、有料会員になった。ただ、個人プランに入ったので、ひとりしか聴くことができない。自分が聴くこともあるので、ファミリープランに入り直そうか検討中。

家電コントロール

我が家のAlexaは2台のeRemoteを使って、音声で家電をコントロールできるようになっている。リビングと寝室に設置したeRemoteで、リビングではテレビや照明、寝室ではエアコンと照明を音声で操作できるようにしている。

とは言え、音声で認識しないこともあり、自分以外の家族はあまり使用していなかった。

ところが、音楽を聴くことでスマートスピーカーに慣れた家族も音声で家電をコントロールするようになった。

寝る前に「アレクサ、おやすみ」と話しかけて電気を消すようになり、テレビを消すときも「アレクサ、テレビを消して」と頼むようになった。

音楽鑑賞でスマートスピーカーへ命令することに慣れたのだろう。

それ以外のスキルは使わない

音楽鑑賞と家電コントロールには慣れたが、他の命令をAlexaにしたり、スキルを使ったりする場面は少ない。天気予報やニュースは、スマホで確認できるので、スマートスピーカーで聴くことはしないみたいだ。

ピカチュウやクイズのスキルは最初試したけど、長く遊ぶことはない。我が家にあるのはAmazon Echo Dotでディスプレイがないから視覚で情報を確認できないからかもしれない。ディスプレイ付きのAmazon Echo Showだったら、また違うのかもしれない。

スマートスピーカーからスマートコンピューターへ

スマートスピーカーは、やはり「スピーカー」なので音楽鑑賞に適しているし、ITに詳しくない人間でもとっつきやすい。

ただ、ディスプレイがないスマートスピーカーだと、使える場面は限定され、ITに詳しくないと、使う習慣は身につかない。

ただ、スマートスピーカーにディスプレイがつけば、視覚的に情報を確認できるので、もっと普及する可能性はある。スマートコンピューターになったときに、ITに不慣れな人も、もっと使うようになるかもしれない。

 

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iPhone 12が4モデルに増える意味とは?

iPhone 12は4種類?

今年の秋に発売されると思われるiPhone 12は4種類になると、Appleの情報ではおなじみのMing-Chi Kuo氏がレポートしている

現行iPhone 11シリーズは、iPhone 11、iPhone 11 Pro、iPhone 11 Pro Maxの3種類だったが、それにもう1モデル増えるという。

Appleはなぜモデル数を増やさないといけないのか、考えてみます。

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増えるモデルは?

3モデルから4モデルになって増えるのは、iPhone 12の小型モデルだ。

  • iPhone 12:5.4インチ有機ELディスプレイ。デュアレンズリアカメラ
  • iPhone 12:6.1インチ有機ELディスプレイ、デュアルレンズリアカメラ
  • iPhone 12 Pro:6.1インチ有機ELディスプレイ、トリプルレンズリアカメラ
  • iPhone 12 Pro Max:6.7インチ有機ELディスプレイ、トリプルレンズリアカメラ

次期小型iPhoneであるiPhone 9が登場したら、現行では最小の5.4インチモデルが登場するとは、にわかには信じられないが、予想されるスペックを見ると、納得できる部分もある。

液晶モデルを廃止?

新しいラインナップでは、液晶モデルが廃止されている。現行のスタンダードモデルであるiPhone 11は液晶モデルだが、今年は全モデルが有機ELとなる。そうなるとProモデルは有機EL、スタンダードモデルは液晶ディスプレイという区分が崩れることになる。

スタンダードモデルに有機ELを搭載するとディスプレイサイズが小さいProモデルの方が、標準モデルより格下っぽくなるので、iPhone 12 Proも6.1インチと大型化して、iPhone 12と遜色ないサイズのボディになると予想されている。

標準モデルとProモデルの新しい区分となるのが、カメラの数だ。標準モデルのiPhone 12はデュアルレンズ、Proモデルはトリプルカメラと差別化される。

5.4インチはなんのため?

有機ELディスプレイをスタンダードモデルにも搭載することで、6.1インチモデルが登場する理由はわかるが、小型の5.4インチモデルを新たに追加する目的はなんだろう。

4.7インチディスプレイのiPhone 8と同じ大きさでiPhone SE後継のiPhone 9が登場すると噂されているのに、サイズがかなり近い5.4インチが必要な理由は一見よくわからない。

一つ言えるのは、iPhone 9が液晶モデルで、5.4インチiPhone 12が有機ELモデルとなり、差別化を図る可能性があるということだ。

廉価版である液晶ディスプレイiPhone 9とは差別化し、スタンダードモデルの小型版として有機EL5.4インチiPhone 12を追加するという説だ。

もし、本当に5.4インチiPhone 12が登場するなら、Appleは小型iPhoneの需要が廉価版iPhone 9だけではカバーできず、スタンダードモデルであるiPhone 12でも必要なほど旺盛だと判断したことになる。

ディスプレイの大型化はノッチレスを示唆?

iPhone 12 Proが、5.8インチから6.1インチに拡大しているが、iPhone 12 Pro Maxも6.5インチから6.7インチに拡大している。

微妙にディスプレイが拡大するのはノッチが小さくなるからかもしれない。AppleはFace IDからディスプレイ埋込み型Touch IDへの移行を検討していると言われる。

Face IDはマスク姿では使えないなど課題も多い。三年目を迎えたノッチデザインにも慣れてきたが、ノッチが無いほうがスッキリするのは間違いない。

ディスプレイ埋込み型Touch IDへ移行し、ノッチが小さくなれば、ディスプレイがわずかに拡大する理由もうなずける。

4モデルには懐疑的

4モデルの内容をここまで見てきた。5.4インチディスプレイモデルは小型iPhoneの需要をカバーするために追加されると仮定できるが、筆者は懐疑的だ。小型iPhoneの需要は一定数あるが、スマートフォンでできることが増え、多くの人がディスプレイを眺める時間が増えた現代では、小型ディスプレイへの需要はそこまで多くない。

そういったiPhoneを求める層は価格の優先順位が高く、高価な有機ELモデルをわざわざ購入するとは思えない。液晶モデルで安いiPhone 9を選択する人が多いのではないか。

  • iPhone 12:6.1インチ有機ELディスプレイ、デュアルレンズリアカメラ
  • iPhone 12 Pro:6.1インチ有機ELディスプレイ、トリプルレンズリアカメラ
  • iPhone 12 Pro Max:6.7インチ有機ELディスプレイ、トリプルレンズリアカメラ

現段階では、今年のiPhoneは3も出ると予想しておく。

 

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フジテレビの5G騒動を笑えない。ITの規格名のわかりづらさ

5G騒動

フジテレビが番組の中で、Wi-Fiの5GHzをモバイル通信の5Gと誤解し、次世代通信を紹介し、批判を受けている。

番組内では「電話の電波が届かないので5Gのケーブルが来てます」など、明らかに誤解している字幕を表示して、間違った情報を提供したことは間違いなく、フジテレビも謝罪している。

正しい情報を提供をしなければいけないのはテレビ局として当然だし、我々ITに従事している人間にはありえない間違いだけど、一般人からすると、「5Ghz」と「5G」の違いなんてよくわかえないのは無理ないことでもある。

IT用語って、わかりづらいものが多い。

5Gって?

次世代モバイル通信を「5G」と呼ぶが、5Gは「5th GENERATION」の略でモバイル通信という意味は全く含まれていない。それでも3Gの頃から「G」がつけばモバイル通信の世代を意味するようになった。本来なら、5th Generation Mobileの略で5GMぐらいにしとけば良かったのに。

IT関係者は何でも略したがるけど、意味を想起しづらくなるまで略しちゃうと一般人にはなんのことかわからない。

Wi-Fiはなお難しい

Wi-Fiという言葉はドラマでも使われるぐらい一般化したけど、Wi-Fiの規格ほどよくわからないものはない。

「IEEE 802.11n」なんて、そもそもどうやって呼んだら良いかわからない。IEEEとは規格を標準化する機関の名前だけど、ネーミングのセンスが悪すぎる。

「IEEE 802.11」は1997年に規格統一された無線LAN規格だけど、なんともわかりづらい。なんですか?「802.11」って。

おまけに「IEEE 802.11a」やら「IEEE 802.11ac」など、規格が進化するに従い、英字が追加され、これまたわけわからない。

規格を統一する機関もさすがにまずいと思ったらしく、略称を決めて、わかりやすくした。「IEEE 802.11ac」は「Wi-Fi 5」となった。

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引用:Wikipedia

ところが、ナンバリングしたことでわかりやすくはなったが、モバイル通信の「5G」と重なってしまい、混乱してしまう。

しかも、Wi-Fiには規格だけではなく、周波数がある。Wi-Fi 6ことIEEE 802.11acの周波数は5GHz帯を使用する。ここでも「5」が使われる。おまけに「5GHz」で「5」に「G」がつく。フジテレビは、これを誤解した。

フジテレビをフォローするわけではないけど、一般の人から見たら間違いやすい、訳のわからなさはある。モバイル通信とWi-Fiの違いぐらいわかってほしいけど、それすらわからない人も多い。

よりわかりやすくする努力を

IEEE 802.11acよりWi-Fi 5のほうがわかりやすい。誰でもわかるような努力を業界もしているけど、まだ甘いと思う。モバイル通信は、水道や電気と同じく、すでに社会のインフラとなっている。とは言え、水道や電気は「枯れた技術」となっているので、規格が進化したり、使用者が規格名を意識することもないが、ITの世界は進化もまだ早く、一般人が新しい規格を覚えないといけない。

それでも敷居を低くして、誰もが混乱することなくインフラを使えるようにしたい。そのためにもわかりやすく、統一された名前を業界全体で決めるべきだと思う。

 

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TVerが殺すレコーダーと地方局の未来

TVerとは

TVerを使っているだろうか。地上波などのテレビ番組をネット経由で鑑賞できるサービスだ。最近では一部のドラマやバラエティ番組を見逃し配信している。

地上波各局は、個々に動画配信サービスを運営しているが、TVerはそれらを集約し、CMと共に配信している。

非常に便利なサービスだが、TVerはHDDレコーダーと地方局を潰すことになるかもしれない。

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妥協の産物のTVer

本音を言えば、各テレビ局は動画配信サイトなどやりたくないに違いない。地上波でリアルタイムに放送することで、コマーシャルも同時に流すことができスポンサーから広告費を得ることができる。

また、番組を見逃した人にコンテンツをDVDにして販売できる。

ただ、Amazon VideoやNetflix、YouTubeなどの動画配信サービスが人気になり、テレビ局も座視していられず、各局が有料の動画配信サービスを開始した。フジテレビが運営するFODは月額880円と、決して安い料金ではなく、人気を博することはなかった。各局がバラバラに運営しているので、使い勝手が悪いテレビ局の配信サービスは敬遠されていた。

その状況を打破するために、民放各局と広告代理店が協同してTVerを立ち上げた。地上波のコンテンツには以前の勢いはなくなっているが、CMを含めてダラダラと番組を観ることはできなくても、話題になったドラマをあとから動画で鑑賞したい人はまだ一定数いる。動画配信なら、テレビだけではなくスマホで外出先にでも鑑賞できる。

テレビ局の目論見通りかわからないが、TVerはある程度の人気を確保し、コンテンツ鑑賞時の有力な選択肢となった。

アカウント作成が不要など、ユーザーが忌避しそうな要素を排除し、すぐにコンテンツを鑑賞できるようにしたことも大きかった。

レコーダー消滅

TVerが一般化した要因のひとつは、HDDレコーダーの代替になった側面がある。以前は、好きな時間に番組を鑑賞するためにHDDレコーダー(大昔はビデオレコーダー)が各家庭にあったが、コンテンツの多様化に伴いレコーダーを買わない家庭も増えた。そういった人にとって、装置がなくてもいつでもどこでもコンテンツを鑑賞できるTVerは便利なサービスだ。

TVerの存在は、HDDレコーダーの需要をさらに弱めることになるだろう。もちろん、すべての番組をTVerで鑑賞できるわけではないが、他の動画配信サービスのついでに評判の番組を観たいライトユーザーには新たにレコーダーを買わなくても鑑賞できるTVerはおあつらえ向きのサービスだ。

TVerによってレコーダー文化は一部のマニアのものになるかもしれない。

地方テレビ局の消滅

東京にいるとよくわからないが、地方には複数の地方局があり、地上波を放映している。と言っても、地方局がすべての番組を制作しているわけではなく、在京キー局が制作した番組を放送している場合がほとんどだ。

一部の地方番組(地方によるが、放送時間帯全体の5%程度)だけ制作し、地元のCMを流すのが地方局の主な役割だ。

多額の費用をかけて地上波デジタル放送を導入し、スカイツリーを建設した理由のひとつは、地方局を存続させるためだ。

全国一律に同じ番組を放送するなら、衛星放送でも構わなかった。BSなら、地デジよりも解像度も高い。だが、地方独自の番組とCMを流すために地デジは導入されたのだ。

しかし、地方局独自の番組はわずかしかない。それらの番組を楽しみにしている人もいるだろうが、わざわざ地デジを導入するのではなく、ネット放送でも良かったはずだ。地方局という利権を維持するために、多額のコストと税金が地デジに導入されたわけだ。

そこまでして維持されてきた地方局だが、Tverによって岐路に立つ可能性がある。TVerがあれば、地方でも在京キー局の番組を鑑賞することができる。TVerはradikoと異なり、全国どこでも番組を鑑賞できるので、地方局の存在意義を脅かすことになる。

TVerで多くの番組が鑑賞できるようになれば、地方局も地デジも不要になる。そうならないために、リアルタイムに配信しないなど、テレビ局もTVerに制約を加えているが、他の動画配信サービスとの競争に勝つために、それらの制約を今後は開放していく可能性は高い。

HDDレコーダーと異なり、CMを觀なければならないTVerの広告費は、テレビ局にとって悪くない額なのかもしれない。経営が悪化しているテレビ局としては、コストがかかる地方局の維持ではなく、ネット放送に順次切り替えていってもおかしくない。

TVerがもたらすパラダイムシフト

ネット経由で、いつでもどこでも番組が鑑賞できるなら、レコーダーや地方局の制約から解放されるので、TVerの普及は利点も多い。一方で、TVerでの鑑賞はCMがセットになる。レコーダーならスキップできるCMを強制的に鑑賞するのは苦痛だ。

有料会員はCMがスキップできるようになれば、会費はテレビ局にとっても貴重な財源となるだろう。

テレビ局という旧態依然のシステムも、自分たちがはじめたTVerによって、パラダイムシフトを否応なく行わざる得なくなるかもしれない。

 

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SONYが自動車を作った理由に「モビリティ」を掲げた5つの理由

SONYの自動車

世界最大の家電ショーである「CES 2020」でSONYが試作車を公開し、大きな話題を集めた。SONYが発表した「VISION-S」はSONYのイメージセンサーやセンシング技術を応用し、自動運転、360度オーディオを車内で実現しているという。SONYがクルマを開発販売するというわけではなく、多くの企業と協同して、自社の技術と合わせて、こういった製品が開発できる見本みたいなもののようだ。

今回クルマを発表した理由として、「今までの10年はモバイルの時代だったが、これからの10年はモビリティの時代」だとSONYが説明していた。

「モバイル」も「モビリティ」も文字にすると似たような意味のように思えるが、SONYがモビリティとあえて言及した理由を考えます。

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モバイルとモビリティ

「モバイル(Mobile)」も「モビリティ(Mobility)」とも語源は、「動く(Move)」だ。モチベーション(Motivation)のように、何かが動く意味に用いられる。

「モバイル」は、「ものを動かす」意味が強く、携帯電話やタブレットのように可搬できるデバイスを指す言葉になっている。確かに、PCからスマートフォンへ移行したように、今まで持ち運びづらかったものが、小さく高機能化し、持ち運べるようになり、多くのイノベーションがこの10年で生まれた。

今回SONYが使った「モビリティ」は「移動する可能性」の意味が強い。例えば、外資系企業では、海外に転勤して働ける可能性がある社員を「モビリティが高い」と称する。

恐らくSONYは、「移動体」という意味で、この「モビリティ」という単語を使用したのだろう。

アメリカの自動車文化

CESはアメリカ・ラスベガスで開催される。アメリカで移動手段といえば自動車だ。アメリカの移動手段というとニューヨークの地下鉄を思い出す人もいるだろうが、地下鉄で移動している人はアメリカではごく少数だ。地方に住む圧倒的大多数のアメリカ人は自動車で移動する。西部開拓時代に広い国土を移動していた馬から進化した自動車文化は、アメリカのアイデンティティだ。

アメリカの地で「新しい自動車を見せる」というのは日本人が考えるよりも大きなインパクトがある。自社の先進的技術をPRするには、自動車はうってつけの製品だ。

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最後のスキマ時間

サブスク型サービスが全盛になり、サービスに使いたい時間は映画に音楽に増える一方だが、各々の時間は有限だ。

モバイルデバイスを持ち歩けるようになり、自宅でも外出先でも仕事も遊びもできるようになった。どこでも大なり小なりのディスプレイの前にいる人も多いだろう。

ユーザーに残った時間が「移動時間」だ。その移動時間で高い付加価値を与える車内空間の提供がSONYの目指すところだ。自動運転、OLED、音響技術は、すべて移動している時間を高次元にサービスを消費する空間したいとSONYは考えているに違いない。

センサーの需要を増やす

今のSONYにとってイメージングセンサーは重要な屋台骨だ。スマートフォンのカメラが大型化、複眼化したことでSONYの売上は急伸した。

だが、スマートフォンの需要増加も一段落して、内蔵カメラの進化もハードからAIに移行し、これ以上の需要は見込みづらい。

そこで、SONYが次に目をつけたのがクルマだ。自動運転を実現するには多くのセンサーが必要になる。VISION-Sには車内にも多くのセンサーが活用されている。

VISION-Sを開発公開することで、自動車を販売するのではなく、センサーを新たに活用する方法を提示し、センサーの需要を喚起するのがSONYの目的だ。

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自動車という世界最大のマーケット

様々な機械製品の価格が下落しているのに自動車の価格は高くなっている。年々厳しくなっていく安全技術をクリアし、新しいIT技術を導入することで、自動車だけはデフレ化していない。

多くの製品が安くなった中で、自動車だけ異質だ。しかも、もともと単価が高いので自動車マーケットは、あらゆるコンシューマ製品の中で最大だ。

AppleやGoogleが自動車を開発していると言われるのも、この大きなマーケットを制覇したい野望があるからだ。

このマーケットで、メーカーとしてプレゼンスを高めるのは、ブランド価値の向上にも繋がる重要な施策だ。

タイミングはバッチリ

SONYが自動車産業に本格進出するのに、絶妙なタイミングだったと思う。自動運転技術はいよいよ現実化し、SONYとしてもイメージングとPS4によるゲームからの売上がある間に、新しい分野に進出するのは極めて妥当な経営判断だ。

SONYとホンダが組んだら

SONYとホンダといえば、今から数十年前に日本の先進的な技術を証明するクールなブランドだった。長い時間で両社のブランドとも変質してしまったが、今もしも両社が提携し新しいクルマを開発すれば、あの頃のようにワクワクした製品を世間に披露できるに違いない。

今のところ、その兆候はないが、実現したらオールドファンとしては嬉しい。

 

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iPhone SE2ではなく、iPhone 9が登場しそうな4つの理由

iPhone SE2には懐疑的

昨年から小型iPhone「iPhone SE2」が開発されているという噂が、小型スマホマニアの願望も含めて広がっていた。

しかし、筆者はiPhone SE2の登場には懐疑的だった。現行の新型iPhoneのラインナップは3モデルあり、廉価版としてiPhone 8とiPhone XRも併売している。今更iPhone 5sと同じサイズのiPhone SEをアップデートさせる必要はないと考える。

年末辺りからiPhone SE2ではなく、iPhone 9が廉価版として登場すると噂されるようになった。なるほど、iPhone 9なら発表されてもおかしくない気がする。

その理由を記します。

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iPhoneの新命名規則に沿っている

iPhoneは11シリーズになって、命名規則が整理された。上級モデルはProを冠するようになり、標準モデルはナンバリングだけの無印となった。

前モデルまでは、XRなど意味不明なアルファベットがついていたが、MacやiPadと同様な命名規則に統一されて、わかりやすくなった。

せっかくわかりやすくなったのに、またSEを復活させる必要はない。

だけど、ナンバリングだけのiPhone 9なら新しい命名規則通りだ。iPhoneは8の翌年、十周年記念モデルであるiPhone Xが登場して、9はスキップされた。

その後はXSを挟んで、iPhone 11と続いていった。空き番である9を埋めて販売するのは妥当な選択だ。

現行廉価版iPhone 8の後継

現在、旧モデルであるiPhone 8が廉価版として現行モデルに併売されている。旧モデルを安く販売するのはiPhoneの常道だが、iPhone 8は3年以上前のモデルなので、さすがに古くなっている。シングルカメラだし、Face IDも搭載されていない。

Face IDではないかもしれないが、カメラやチップがアップデートされれば廉価版として競争力が出てくる。

Touch ID復活の試金石

現行モデルのiPhoneではTouch IDが廃止され、Face IDに統一された。Face IDはフルディスプレイを実現させたが、マスクをつけている時や寝起きには認識しないことがある。ディスプレイに3D Touchを内蔵できれば、フルディスプレイを維持しながら、認証も簡単になる。

iPhone 9でTouch IDが復活すれば、Touch IDを使用するユーザーが増え、ユーザーの3D Touchへの現在の評価を確かめることができる。

小型ディスプレイの需要

小さいスマホを求めるユーザーは常に存在する。現行モデルの最小ディスプレイはiPhone 11 Proの5.8インチ。少し前のPlusモデルぐらいある。

iPhone 8と同等ならiPhone 9は4.7インチディスプレイになるので、現在としては小型の部類に入る。

高価格な現行モデル

最も安い現行モデルであるiPhone 11でも最低74,800円もする。廉価モデルなら、5万円前後に抑えたいところだ。併売の旧モデルiPhone 8は52,800円だが、3年前のモデルに5万円は払いたくない。5万円前後のiPhone 9はちょうどよい価格のモデルになる。

iPhone 9の登場は今春か?

噂ではiPhone 9はこの春に登場する予定だそうだ。2モデルあるという話もあるが、ストレージ容量か通信方式の違いだろう。せっかく整理できたモデルをいたずらに増やすことはしないはずだ。

誰もが持ち歩く道具になったスマートフォンは、若い人だけではなくシニアも使う。

特に日本ではiPhoneが実質スタンダードになっているので、あまり詳しくない人は他のスマートフォンを選びづらい。そういった人にもiPhone 9は選びやすいモデルになるだろう。

iPhone SE2ではなく、現行の命名規則通りにiPhone 9として販売される可能性は高いと思う。

 

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2020年注目はオリンピックに登場する技術とスマートコンピューター

2020年最初の記事

遅くなりましたが、新年あけましておめでとうございます。今年も当ブログをよろしくお願いいたします。

昨年は300以上の記事をアップしました。今年も海外の記事の引用ではなく、ちょっと深い解説やガジェットの便利な使い方をお届けしたいと思います。

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2020年の注目はオリンピックとGAFA

今年は5Gが国内でスタートし、楽天モバイルも正式サービスインするはずです(おそらく、たぶん、きっと)。国内はとにかく東京オリンピックに向けて各社が仕掛けたネタが花開くでしょう。たとえば任天堂のUSJテーマパークや、開会式ではガンダムが宇宙が舞い降りるかもしれません。

オリンピックを契機に国内IT産業が復権するとは、ちょっと思えませんが、世界を席巻できなくてもキラリと光る技術を見せて欲しいです。

国外では、強大化の一途を辿るGAFA(特にAmazon)への圧力はさらに強まるでしょう。とはいえ、GAFA分断などの強権も奮うことは、たとえトランプでも難しいでしょう。大昔のマイクロソフト分社化の時と比べて、政府の力が相対的に落ちていることがよくわかります。

コンシューマーIT系はApple中心の構図は変わらないと思います。iPhoneの先進性は失われつつありますが、iPhone 11シリーズで見せたAIによる写真処理、AirPods Proに見る洗練されたデザインを支える高度な技術は、ただ高い技術をもつだけではなく、デザインとブランドきれいに包み込んで客に見せるテクニックは世界一です。

次に気になるのがAmazonですね。昨年のAmazonは売り上げは伸びていますが、大きなイノベーションがなかったように思います。レジなし型店舗Amazon Goは話題になりましたが、まだ店舗の数は限られていますし、レジなし店舗は他社も実用化に向けて進めています。

Alexaシステムも、かなりの家庭で使われるようになりましたが、大きなイノベーションはありませんでした。ただ、スクリーンをつけることで、スマートスピーカーからスマートコンピューターへの道が明確になってきました。AmazonはAmazon Musicなどの自社サービスを楽しめるスマートコンピューターを今後、格安で各家庭に配布する計画でしょう。スマートフォンで失敗した意趣返しにも思えますが。

きっかけの年に

オリンピックなどを契機に登場する新しいムーブメントは、すぐには普及せず成果がでないかもしれませんが、数年後には日常的になっているかもしれません。

そういった、将来の新しい芽を探す一年になる気がします。

 

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2019年回顧:小説執筆編。新作を3作脱稿。2作を公開

3作品を完成

今年は3作品を完成させました。ひとつは将棋棋士の話、ふたつめはスマートスピーカーを巡るIT関係の小説、3つ目は高校生の恋愛ものでした。今までもそうでしたが、今年もジャンルはバラバラの作品になりました。

高校生の恋愛物語は原稿用紙550枚を超えて、過去最長の小説になりました。今までの作品はすべて原稿用紙400枚前後で終わっていました。これはストーリーを考える時に映画一本分になりそうな長さを基準として書いているので、そうなると大体400枚ぐらいになっていたんですよね。最新作である「二人合わせて余命三年」はタイトルに引っ張られて物語がどんどん伸びていきました。主人公だけではなく、登場人物全員が生き生きしていて、物語を盛り上げてくれました。この作品を書き上げたことで、物語を作る方法が少しだけ見えた気がします。

2作品を出版

出版したのは2作品。ひとつはAmazonで出版した「ねこつくりの宮」。

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天涯孤独になった主人公サナが、いるか岬で老魔女のようなネリとヒカリと共に、哀しみを抱えている人々に猫を送り届ける話です。どうやって猫が生まれているのか、どうして猫が哀しみを癒やしてくれるのかの謎を探るサナ。後半はスペクタルな展開になっていきます。

ジャンルは現代ファンタジーになるんですかね。児童文学は書いたことがありましたが、このジャンルの作品は初めてです。

Kindle Unlimited会員なら無料です。ねこつくりの宮

もうひとつの公開作品は、LINEノベルで無料公開中の「二人合わせて余命三年」です。LINEノベルは、LINE社が運営しているWeb小説投稿サイトで、ラノベとライト文芸の2つのジャンルがあり、本作品はライト文芸に投稿しましたので、普段よりちょっとライトな作品に仕上げました。

高校生が主人公の作品は「いるかの夢」以来で、男子高校生が主人公なのは初めてですね。最初にタイトルが浮かび物語の外郭ができたので、ラストまで比較的迷わず書き通すことができました。全く考えていなかったラストシーンの台詞が突然浮かんできた経験は久々で、とても気持ちよく物語を閉じることができました。

LINEノベルは無料で読めるのですが、スマホにアプリをインストールしないと読めないのが玉に瑕。ぜひインストールして読んでみてください。 二人合わせて余命三年

 

今年は上々

3作品を完成させることができて、2作品を公開できた今年の執筆活動は上々だったと思います。途中書いていて、収集がつかない作品もありましたが、苦しみながらも完成できたのは大きな収穫でした。

年末年始、お時間がありましたら、読んでいいただけると幸いです。

 

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2019年回顧:ゲーム業界。Nintendo Switch LiteとPS5、そしてクラウドゲーム

激動だったゲーム業界

大きな変化がなかったPC・スマホ業界よりも、今年変化が大きかったのはゲーム業界だった。Googleのクラウドゲーム「Stadia」、Appleの定額ゲームサービス「Apple Arcade」が鳴り物入りでスタートした一方で、SONYは次世代ゲーム機「プレイステーション5」のスペックを公開し、任天堂は「Nintendo Switch Lite」を発売した。

ゲーム業界の一年間を振り返りながら、来年どうなるか考えてみよう。

ポータブルと据え置き機が融合

任天堂が今年発売した「Nintendo Switch Lite」(以下、Switch Lite)はテレビに映すことができず、コントローラーは固定していて外すことができない完全なポータブル機だ。Swtich Liteの登場により、長らく続いた任天堂のポータブル機の歴史に終止符が打たれそうだ。実際に3DSの新作ゲームは予定されておらず、Swtich Liteによってポータブルと据え置き機の2本立ての時代が終わり、SONYもPS Vitaを販売停止し据え置き機プレイステーション一本に統合されている。

スマートフォンの高性能化により、スマホゲームが高度化し、ポータブル機との差別化が難しくなってきているのが背景にある。普段持ち歩いているスマホでゲームができるなら、ゲームしかできない専用機を持ち歩く機会はぐっと減る。

任天堂内の事情もある。任天堂ゲーム機は、任天堂のゲームばかりが売れるという特殊な状況にある。ゲームの大作化が進み、ゲーム開発の期間もコストも大幅伸びた。ポータブル機と据え置き機の両方のために新作ゲームを開発し続けるのが任天堂も厳しくなってきていた。

任天堂ソフトが弾切れしたWii Uが失速した二の舞を避けるために、Switchでは計画的にソフトが販売されてきた。今後もSwitchへ継続的にソフトを供給するために、Switchへの一本化の道は正しい選択だ。

ここまで考えてSwitchを設計・開発したとしたら、任天堂の戦略はここまで成功したと言えるだろう。多くの人間がスマートフォンを持ち歩いている現状、ポータブル機の復活は今後も相当厳しいに違いない。

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PS5のスペック公開

 来年のホリデーシーズンに発売予定のプレイステーション5(以下、PS5)のスペックが公開された。製品発売前に開発機をゲーム会社に配布するゲームマシンは情報をリークされる可能性が高い。リークされるぐらいなら、正しい情報をユーザーに伝えるためにSONYは事前にスペックを公開したと思われる。

ただ、発売一年前の発表はあまりに早く、現行モデルの買い控えも起こるので、2020年1月5日まで1万円引きでPS4を購入できるキャンペーンをソニーは実施している。

公開されたスペックは次世代機として予想できる範囲のもので、よりPCに近い仕様だ。

任天堂のSwitchがスマホゲーム隆盛を考えポータブル機との統合を視野に入れて設計された一方で、ソニー陣営はゲームマシンとしてグラフィックとサウンドを強化した順当なものになっている。ゲームビジネスはSONYの屋台骨を支える分野になっているので、冒険がしづらい面もある。

当然、ソニーとしても隠し球は用意しているだろう。スマートフォンのゲームに対抗できる特殊なコントローラーやクラウドゲームへの対処が考えられる。

マルチメディア機能がめだったPS3から、純粋なゲーム機として機能を絞ったPS4の後継なので、ゲーム以外の機能を含めるのは難しいかもしれない。

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クラウドゲームの行く末

Googleのクラウドゲーム「Stadia」が海外で開始したが、あまり大きなムーブメントになっていない。Appleの定額ゲームサービス「Apple Arcade」も同様だ。どこでもいつでもゲームを楽しめるクラウドゲームは、サブスク型音楽・映画と同じように今後の主流になると考えられていたが、静かな船出となった。

音楽や映画と異なり、過去のゲーム資産が活用できていないのがひとつの要因だろう。過去の名作を多数ラインナップできればユーザーの注目を集めることができたと思うが、GoogleもAppleも現行のスマートフォンのゲームの延長線に位置するゲームを多く取り揃えた。コントローラーがないタブレットやスマートフォンで遊ぶことを考慮して、単純な操作で遊べるゲームが多い。

両社とも大作ゲームを準備しているようだが、既存のゲーム機からユーザーを奪うよりは、スマートフォンゲームのユーザーを集めることが、まずは両サービスが伸びるための第一歩になりそうだ。

「Stadia」の画像検索結果

eスポーツがメインストリームに

2019年でeスポーツはかなり一般化してきた。海外では大きな大会が相次いで開催され、国体でプログラムが設けられるなど国内でもeスポーツがかなり一般化してきた。

今のところ、eスポーツの主流はPCとPS4だ。今まで多額の賞金がかかるeスポーツ大会から、距離を置いてきた任天堂が来年以降どう絡むか(または距離を置くか)が注目される。

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PS5までに何が起きるか?

来年末のPS5発売に向けて、来年のゲーム業界は動いて行くことになるだろう。ヘビーゲーマーが多いPS5とターゲット層が異なる任天堂は今まで通り良質なゲーム開発を続けるに違いない。SwtichユーザーがPS5へ逃げないように「どうぶつの森」や「ゼルダの伝説」などの大作をSwitchで発売する予定だ。

クラウドゲームはゲーム資産を積み重ね、スマートフォンゲームからのユーザーの移行を促す一年になると思われる。無料体験を実施するなどして、まずはユーザーにクラウドゲームを体験させることが必要だと思う。特定のゲーム機が不要なクラウドゲームは慣れてくれば便利さが実感できるはずだ。定着したサブスク型音楽と映画と同様にゲームの主流になる可能性を十分に秘めている。

SONYはPS5の目玉機能をどこかの時点で発表し、年末の新製品発売を盛り上げていきたいところだ。ヘビーゲーマーとeスポーツユーザーを逃さずPS4からPS5へ繋げるのが当面の課題となる。

 

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2019年回顧:Apple編。サービスとAirPods Pro、停滞するiPhone。定まった方針を先に進める2020年

2019年回顧

年号が変わり、色々と変化があった2019年、Appleは多くの製品とサービスを発表した。一年を回顧して、来年のAppleがどうなるか考えてみます。

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第3の柱「サービス」

今年のAppleの大きな変化はサービス部門の拡大だろう。3月のイベントで発表した動画配信サービス「Apple TV+」、定額ゲームサービス「Apple Arcade」を秋に開始した。まだ、大きな人気を博しているわけではないが、成功しているApple Musicのように今後のAppleを支えるサービスに成長することが期待されている。

ハードとサービスを連携させるのが現在のトレンドだ。Appleは強大なブランドとOS・ハードを一体化した製品を中心とした上質なサービス空間の提供で、ライバル企業と争っている。

来年は今年開始したApple TV+とApple Arcadeを育てる一年になるだろう。

動画配信はNetflix、Amazon、Disney、ゲーム業界は任天堂、Microsoft、Googleとライバルが多い。

他社の映画も提供するAmazonとNetflix、過去の資産が豊富なDisneyと異なり、Appleオリジナル作品だけを提供するApple TV+は独特のポジションに位置している。

価格はNetflixよりは安いが、AmazonやDisneyとはあまり変わりがない。今はApple製品を購入すると一年間無料になっているが、今後の価格はどうするか。今の作品数だけでは明らかに割高だ。

オリジナル作品を増やしつつ、他社の作品もサービスに含めるか、今後の価格をどうするか判断する時が来るだろう。

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整理が進む製品ラインナップ、成熟したiPhone

今年も多くの製品が登場した。モデルチェンジを行う中で、ここ数年混迷していた製品ラインナップが整理されてきた。

基本的に、無印のスタンダードとProモデルに分かれた。

  • 標準モデル:iPhone 11、iPad、MacBook Air
  • Proモデル:iPhone 11 Pro、iPad Pro、MacBook Pro

 ただ、ディスプレイサイズが近いiPadとiPad Airの両モデルがまだ存在している。CPU性能も価格も異なるが、いずれiPad Airは淘汰されるかもしれない。

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Macは3年ぶりにモデルチェンジしたMacBook Pro16インチモデルが登場した。このモデルでは、今まで不具合が多かったキーボードがリニューアルしたのが話題になった。Appleが積極的に搭載していたバタフライキーボードから、従来のシザース型に戻したからだ。

USB-Aの廃止など、今までユーザーの不満が多くても進化のためには方針を変えなかったAppleにとっては珍しい判断だった。何度改修しても満足できるキーボードを作ることができなかったとはいえ、Appleがユーザーの声を聴くようになった証左だ。

ユーザーの意見が多かったiPad miniのモデルチェンジも今年実現した。Mac miniも昨年復活した。ひょっとすると、Appleは、Proモデル、標準モデル、小型のminiモデルを各ラインナップに用意するつもりなのかもしれない。来年は噂のiPhone SE後継の「iPhone 11 mini」が登場するかも?

Appleの屋台骨iPhoneの性能に大きな変化はなかった。トリプルカメラはiPhone 11 Proには搭載されたが、それ以外はバッテリー性能が目立つ程度で、iPhoneというかスマートフォンが成熟化し、今後の進化の方向性が見えなくなってきているのが、より鮮明になった。

来年のiPhoneは、5G、画面内指紋認証の搭載など大きな変化が予想される。ここで他社にない新たな製品をAppleが提供できるか、それとも他社と変わらない製品になるのか、スマートフォン全体の方向性が問われる製品になりそうだ。

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AirPods Proの登場

iPhoneの性能が停滞する中、高性能なAirPods Proは、久々にAppleらしさを感じる製品だった。初代とは思えない高いノイズキャンセリング性能、装着していないと感じさせる自然な外部音取り込みモード、AirPods ProはいかにもAppleらしくスマートに使用できるイヤホンだ。

ワイヤレス充電対応のAirPodsと合わせて、AirPodsシリーズはAppleの新たな成長エンジンとなりつつある。AirPodsはiPhoneがほぼ必須のアイテムだ。

バッテリー内臓のiPhoneケースもシャッターボタンが追加されリニューアルした。

iPhoneの性能が停滞しても、周辺機器を増やすことでiPhoneのエコシステムを拡大し、Apple全体の売上を伸ばすことができる。

来年は、また新たなiPhone周辺機器が登場するかもしれない。

増えるAppleストア

日本だけの話題だが、今年はApple丸の内とApple川崎のオープン、Apple表参道のリニューアル、Apple福岡の移転と、昨年のApple新宿、Apple京都に続いて、Appleの日本投資が継続した一年でもあった。

iPhoneのシェアが大きい日本市場をAppleは重要視している。国内にAppleの研究所もできたので、来日する機会も増えて、Apple社員は日本市場を身近に感じているに違いない。

Apple幹部は明言はしていないが、来年も国内に新たなAppleストアができるかもしれないし、Apple銀座のリニューアルもあるかもしれない。

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定まった方針を先に進める一年

ここ数年のAppleは大きな変化がなく、小規模な改善が続き、製品数ばかり増えて混乱している感じもあった。

今年は新たな試みが増え、ラインナップも整理されてきた。

来年は、今年定まった方針を進める一年となるだろう。今年開始したサービス、

Pro、スタンダード、miniの3モデルの深化が課題になるだろう。

 

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