宝島社より 「ふたりの余命 余命一年の君と余命二年の僕」 が発売になりました。私にとっては初の商業出版になります。
自分の小説が本屋に並ぶという中学生からの夢がようやく実現します! 興味がある方は書店で予約してみてくださいませ。

MENU

AirPowerの疑問と予測

3月にAirPower?

f:id:tkan1111:20180224173826p:plain

Appleのワイヤレス充電器『AirPower』が3月に販売されるという報道が出た。

 昨年9月の発表以来、待てど暮らせど発売されない『Airpower』。9月以降、Appleはなんの情報も提供していない。今ある疑問と予測を書いておく。

ApplePowerはApple製品以外のQi対応機器を充電できるのか?

この質問の回答は「ノー」。 Qi充電対応のiPhone 8/Xの充電が可能なことから、Qi充電に対応するのは間違いないが、Apple以外のQi対応機器を充電できるかは不明。筆者の予測は「できない」。

根拠はApple Watch。Apple WatchはQi対応機器だがApple純正の充電器以外では充電できない。この記事によると、Apple Watchが発する特殊な電波を検知しないと充電が開始されないそうだ。Apple Watchと同じ機能がiPhone 8/X、AirPower対応の新型AirPodsに搭載されると予測する。

新型AirPodsは登場するか?

筆者の予測は「イエス」。現行AirPodsはLightningケーブルでしか充電できない。Appleのデモでは、AirPowerでAirPodsの充電を行っているし、現行モデルでは蓋の内側にある充電ランプがケースの外側にあるので、AirPowerと同時に新型AirPodsが発売されるのは確実だ。

Qi充電に対応するにはコイルを内蔵する必要がある。新型AirPodsケースの大きさは変わっていないので、現行よりもバッテリー容量が減ると思われる。

高速充電に対応している?

これも「イエス」。 iOS 11.2からiPhone 8/Xは7.5Wの高速充電に対応している。これはAppleの独自仕様で、現在対応しているのはApple Shopで販売しているBelkin製など2機種のみが対応している。他の10Wのワイヤレス高速充電に対応している機種でも5WしかiPhone 8/Xには供給できない。どういう独自仕様かわからないが、純正機器であるAirPowerが7.5W充電に対応するのは確実だろう。

すべてのApple Watchが充電できる?

これは明確で、Apple Watch series3のみが対応とAppleが明記している。

f:id:tkan1111:20180224181947p:plain

出典:Apple (左と中央がApple Watch series 3、右がseries 1)

初代からApple Watchは充電器の仕様が変わっていないので、初代やseries 1ができない構造的理由はないと思うが、series 3の買い替えを促すための差別化だろうか。

その他の独自機能は?

ネットであがっている噂は、以下。

  • 充電時に特別のSEが鳴る
  • 充電の状況がiPhoneで確認できる
  • 複数の機器を同時に充電できる

SEはiPhoneのiOSが対応すればよいので問題ないし、AirPodsとApple WatchはBluetooth通信でiPhoneから充電状況を確認できる。まさかAirPorwerが各機器の充電状況を把握して、iPhoneとBluetooth通信するわけではないだろう。

問題は複数機器の同時充電だろう。これがAirPowerの売りだからできて当然だが、7.5Wの高速充電ではiPhoneがかなり高温になる。バッテリー容量が少ないApple WatchとAirPodsを高速充電する必要はないと思うので5Wだとしても合計で17.5W。かなりの熱量になると予想できる。

充電器という比較的単純な構造の製品なのにAirPowerがなかなか発売されないのは、これが原因ではないかと思う。

ワイヤレス充電環境は夢

iPhoneとApple Watchはワイヤレス充電に対応しているので、筆者の環境ではAirPodsが対応すればLightningケーブルは不要になる。AirPowerの登場が楽しみだ。

新型AirPodsはユーザーの意向を忖度してくれるか?

新型AirPods?

f:id:tkan1111:20180202170928p:plain

AirPodsの新型モデルのニュースが流れている。今年は「Hey Siri」での「Siri」起動、来年2019年は防滴モデルになると予測している。

www.itmedia.co.jp

 

ユーザーの望みどおり?

これらの変更をユーザーは望んでいるのだろうか。筆者は毎日使用しているが、「Hey Siri」に未対応だということすら知らなかった。

雨中のランニング時に防滴は喜ばしいが、水没しても使えた実験結果もあるので、現行モデルでもある程度の水滴には耐えられるようだ。

www.appps.jp

 

現行AirPodsに要望できるとしたら、つぎの3点だ。

 

  • Qi充電
  • マルチポイント
  • ノイズキャンセリング

 

Qi充電

Qi充電に対応したiPhone Xを購入してから、車載と自宅用にワイヤレス充電器を導入した。「たかがケーブルを挿さないだけ」と思っていたが、使いはじめるととても快適で、ケーブルを挿す作業がひどく面倒に感じるようになった。

Apple WatchはQi充電ではないがワイヤレス充電なので、Lightningケーブルを使うのがAirPodsの充電だけになっている。AirPodsがワイヤレス充電に対応すれば、すべてのLightningケーブルを撤去できる。

昨年のAppleが発表した「AirPower」ではAirPodsもワイヤレス充電に対応していたので、新型AirPodsでは対応するだろうけど(ワイヤレス充電器対応のケースの別売りもあるかも)、Qi充電に対応してくれれば、AirPowerだけではなく、市販のワイヤレス充電器も使用できる。

 

マルチポイント

 複数機器で利用する場合、AirPodsの切り替えを手動で行うのが面倒だ。自宅ではMacに、屋外に出たらiPhoneに、iPhoneがなければApple Watchに自動で切り替え接続してほしい。

tkan1111.hatenablog.com

 

ノイズキャンセリング

ノイズキャンセリング機能はほしいところだが、ノイズキャンセリング機能がついているSONYのワイヤレスイヤホン『WF-1000X』は、バッテリーの持ちや通信量の調整に苦労しているようだ。

www.gizmodo.jp

 

ノイズキャンセリング機能がついてもバッテリー稼働時間が減っては使い勝手が悪くなる。そもそもオープン型のイヤホンであるAirPodsではノイズキャンセリングは実現しにくい。

筆者が求めるのは、マイクのノイズキャンセリングだ。歩きながら使用することも多いAirPodsだが、会話中にマイクがノイズを拾ってしまって相手に伝わりづらい。Siriで命令するときも同様だ。

「Hey Siri」を導入し、今よりもSiriを推奨するのであれば実現してほしい。

 

新型のお披露目は6月WWDC?

新型の導入は6月のWWDCだろうか? WWDCはソフトウェア開発者のイベントなので、新型ハードウェアの発表は控えめだ(昨年は10.5インチのiPad Pro、iMac Pro、HomePodと豊富だったが、それまで三年間はハードウェアの発表はなかった)。新型AirPodsと同時に「AirPower」も発売するだろうが、昨年すでに発表しているのでインパクトは小さい。

別に噂される新型iPadとともに、サイレントローンチになると予想する。

 

MVNOは一時のブームで終息するのか?

MVNOの勢いが停滞

MVNO(仮想移動体通信事業者)の勢いが止まっている。

ここ数年、総務省の圧力もあり、MVNOの契約台数が急伸し、一般の人への認知も進んでいたが、キャリアの新料金プランやサブブランドの伸長により、MVNOの伸びが以前よりなだらかになってきている。

出典:MM総研

 

既存キャリアの顧客引き止め策

MVNOへの流出は既存キャリアにとって死活問題であるので対策が必要だ。とは言っても料金を下げるのも限度があるので、各キャリアは契約者に付加価値を与えることでつなぎとめようとしている。

ドコモでは、契約者だけが契約できる「DAZN for Docomo」やdポイントクラブによる長期契約者の優遇を開始している。

www.itmedia.co.jp

 

auは、au STAR、「三太郎の日」キャンペーンや新料金プランだ。auの決算発表によると「auピタットプラン / auフラットプラン」契約者数は500万件を突破し、解約率も下がってきてる。

f:id:tkan1111:20180222101505p:plain

出典:au

 

ソフトバンクは、大騒ぎになった吉野家無料などの契約者向けキャンペーン以外に、Y!mobileの貢献が大きい。誤解されやすいが、Y!mobileはいわゆるMVNOではなく、ソフトバンク本体が運営しているブランドだ。ファストリテイリング社がユニクロと、ユニクロよりも廉価なブランドであるGUのブランドを抱えているのと同じである。

Y!mobileのおかげでソフトバンク社トータルの契約者数は伸びているが、代わりにトータルのARPU(1回線あたりの月間売上高)は下がっている。

 

MVNOは一時のブームで終わるのか?

既存携帯キャリアの反撃で、MVNOへの流出は一時のブームで終わるのだろうか? 

MVNOの命運は、総務省の方針と携帯キャリアからMVNOへの回線卸代が妥当かどうかの議論も影響してくる。

ユーザーからしたら、MVNOでも既存携帯キャリアでも安くて良質な回線が利用できれば良いのは当たり前だが、わかりやすい選択肢が提示されることが重要だ。多少高くても良いサービスや店舗のサポートが必要な人もいれば、安ければサービスは不要という人いる。

各業者には透明性があるプランの提示を求めたい。

www.kantakayama.com

 

 

iPhone X不振の影にあるAppleの構造的な問題

売れなくなったiPhone X

今年になってiPhone Xの売上がおちているそうだ。BCNの調査では、顧客の興味が「X」から「8」に移っている結果が出ている。

www.nikkei.com

 

日本だけではなく、世界的に需要低迷していて、OLEDパネルの供給元であるSamsungが減産せざるを得ない状況のようだ。

iphone-mania.jp

Q4(2017年10月から12月まで)のAppleの決算では、iPhone Xは期待以上売れていて、製品単価も上昇した報告となっていたが、今年に入って風向きが変わったのか。

f:id:tkan1111:20180202145506p:plain

 

やはり高かった?

iPhone Xの一番の課題は、価格だ。iPhone XとiPhone 8の差額は34,000円

 

iPhone X (64GB)  ¥112,800

iPhone 8 (64GB)       ¥78,800

 

値段が高くても、製品の価値を認めれば消費者は購入するが、アーリーアダプター層以外では34,000円の価値がないと判断した人が多いのだろう。

iPhone の特徴のひとつであるフルスクリーンは見た目は別にして実質的なメリットは大画面だが、大画面が好きな人はPlusシリーズを買ってしまっているだろう。

OLED、Face IDもホームボタンの廃止もフルスクリーンを実現するために必要だった技術なわけで、消費者への訴求は弱い。

 

Appleの構造的な問題

もうひとつあげたいのはソフトウェアの品質の低さだ。

mobilelaby.com

いまだに実現していないAirPlay 2だけではなく、iOS 11はバグも多く、ユーザーフレンドリーではない点も多い。

たとえば、iPhone Xを使用するためには、Face IDでロック解除後に上スワイプが必要なのだが、スワイプが面倒だと感じる人は多いだろう。画面注視で「通知」を表示させたいからだと思うが、設定で「スワイプあり・なし」を選択させてほしい。

動作中のアプリを停止する方法もユーザーの不満の一つだ。上スワイプのあとしばらく停止で、複数アプリを選択する画面に移行した後、長くタップしてアプリ停止の画面になる。ホームボタン付きiPhoneと同様に、複数アプリ選択画面から上スワイプでアプリ停止でよいように思う。Appleとしてはアプリは自動で停止するので、手動でアプリを停止させる必要がないと言いたいのかもしれないが。

Appleのソフト開発能力は大丈夫か?

Appleの思想に反する変更が行われないのは昔からだが、近年ではユーザーの要望が活かすことができていないように見受けられる。セキュリティやバグのために、この一ヶ月で小規模なバージョンアップが2回行われていたのも異例だ。

Macintoshの爆弾マークの頃より、Appleはソフトウェアに強い会社ではなかった。Macはマニアックな製品だったのでそれでも許容されたが、全世界で数億台が稼働する製品ではそうはいかない。世界中の環境に合わせて、iPhone以外にもiPadでも稼働するOSをメンテナンスする力がAppleにはないように見受けられる。

事態の解決を図るクックCEO

ティム・クックも問題を認識しているようで、6月に発表されるiOS 12では新機能よりも既存OSの成熟を優先すると報道されている。

最初はシンプルなOSだったiOSも、バージョンを重ねることで巨大になっていった。デバッグも機能修正も容易ではないのは理解できるが、ハードウェアが成熟化した昨今ではOSによる差別化の重要性はさらに高まっている。

6月にWWDCで発表されるであろうiOS 12に注目したい。

www.kantakayama.com

 

iPadの”PC化”頼みのタブレット市場

微増のタブレット市場

昨年のタブレットの国内出荷が伸びたそうだが、微増(1.4%増)であり、減少した前年から下げ止まったというのが実態だ。

セルラーモデルのAndroid機は使われている?

大きく増えたのは携帯キャリアが販売するセルラーモデルで、スマートフォンとセット販売した効果が大きい。Huaweiがドコモ向け、LGがau向けで、キャリア別携帯電話のシェアに近い販売比率になっている。

 

https://www.m2ri.jp/upload/news/289/c53d6fbe58166e73141cedd1c579c710.png

 (引用:MM総研)

 

数年前に流行したいわゆる「中華タブレット」やSONYなどが販売した高級Androidタブレットの姿はない。大型化したスマートフォンがタブレットの需要を食ってしまったからで、SONYはタブレットの製造・販売をほぼやめてしまった。

購入してもどこまで利用されているか不明な携帯キャリアの抱き合わせタブレット以外にAndroidタブレットが伸びる可能性は低いと思われる。

キャリアの併売も今年はタブレットより、au homeで使うようなスマートスピーカーに移っていく兆しもある。スマホとの併売では「一家に一タブレット」は売れても、「一人一台」にはならないだろうし、タブレットの方がスマホより買い替えサイクルが長いので、スマホの買い替えごとにタブレットは売れないと思われる。

Googleもそのことを認識していて、以前噂になっていたChrombookの廃止は行わず、Androidとの併存を選び、Androidはスマホに注力する方針だ。 

iPadの”PC化”は止まらない

スマホ同様にタブレットでも日本においてはAppleのシェアが高く、iPadの売上がタブレット全体の販売台数に大きく影響するが、iPad Proの登場もあり、iPadの販売台数も下げ止まった。

iPad向けキーボードの強化、iOSの拡張などAppleはiPadの”PC化”を進めており、今年もiPad Proの強化を進めていくだろう。

Mac上でiOSアプリを動作できるようにして、MacとiOSの統合を着実に進めているのも、iPadには好材料。AppleとしてはIntelからCPUを購入して製造するMacよりも、自社製CPU搭載のiPadを売りたいのは当然だ。

Windowsタブレットは?

タブレットで今年注目なのはARM版Windowsだが、過去に同じコンセプトで販売したWindows RT」は失敗しており、Windows PCが2 in 1と半タブレット化している中、どこまで売れるかは疑問だ。既存のSurfaceにユーザーも満足しているように思える。 

Apple頼みのタブレット市場

こうしてみていくと、日本のタブレット市場では、”PC化”を目指すAppleは少し伸ばすが、全体としてはあまり変わりがないように思う。大画面スマホのが好評なうちは、キラーコンテンツが出ない限り(その可能性も低いと思う)タブレットとしての需要は大きく増えないだろう。

 

 

Google homeとAmazon Echoを比較してみた - スマートホーム(eRemote)編

音声で家電をコントロール

eRemoteがGoogle homeに対応した。すでにAmazon Echoには対応しているので、2大スマートスピーカーの両方で家電をコントールできるようになった。

Google Home|Link Japan

 

リンクジャパン 〔iOS/Androidアプリ〕 eRemote mini イーリモートミニ MINI
 

 

筆者は両方のスマートスピーカーを所有しているので、今までは家電のコントロールができるAmazon Echoをメインに使っていたが、今回の対応でGoogle homeを使うことが増えた。

eRemoteは、Google home、Amazon Echoいずれもスマートホーム標準機能を用いているので「照明」しか操作できないが、その代わりコマンドが短くすむ。Google homeだと、「OK、Google、eRemoteを使って、ライトをつけて」と言わなければいけないところを、「OK、Google、ライトをつけて」と命令できる。

裏技的な対応になるが「照明」として、好きな赤外線を登録できるので、テレビやエアコンも操作できる。

Google homeとAmazon EchoそれぞれでeRemoteと連携した際の特徴を見てみよう。

Google home

「Google home」の画像検索結果

  • 認識精度が高い。「NHKをつけて」などの英語表記のコマンドもほぼ完璧に認識する
  • 部屋ごとに管理できる。ライトやテレビを例えばリビングに設定しておけば「リビングを消して」ですべて消すことができる。ただ、「部屋の照明を一度にコントロールする」ための機能なので、ひとつのコマンドを複数の部屋に割り当てられない
  • フレーズが長い。Google homeの一番の弱点がこれ。命令するのに「Ok、Google、ライトをつけて」と言わないとならない。何度も言っていると面倒に感じてくる。後述するがAmazon Echoは定型アクションで短縮できる

Amazon Echo

f:id:tkan1111:20170218165826j:plain

  • 認識精度が低い。「テレビをつけて」みたいな簡単なコマンドの認識はまずまずだが、「NHKをつけて」などの英語交じりや固有名詞を含めると、途端に精度が落ちる。内部で他のコマンドと重複していると思われる
  • 定型アクションが使える。定型アクションのメリットは2つある。コマンドとして好きなフレーズを登録できるのと、マクロ機能のように複数コマンドをまとめることができる。Google Homeのように部屋ごとの管理ではないので、「ライトとエアコン」「ライトとテレビ」など同じコマンドを複数の定型アクションに登録できる。オンオフだけではなく、照明の光量をコントロールできるので、これを利用して、テレビの音量をコントロールすることも可能
  • フレーズが短い。定型アクションに設定すれば「Alexa、テレビ」でテレビをつけることができる。Google homeはウェイクワードが「OK、Google」と2つの単語なので、「OK、Google、テレビをつけて」と長くなる。些細な違いなのだが、毎日のことなので煩わしくなってくる

認識率が高いのはGoogle home

Amazon Echoの短いフレーズは良いが、認識が悪いのは致命的だ。一度の命令で認識されないとリモコンに手が伸びる。

よって、今のところはGoogle homeを筆者はメインに使っている。

リンクジャパン 〔iOS/Androidアプリ〕 eRemote mini イーリモートミニ MINI
 

PS4の次なる飛躍はあるか?

 安定したPS4ビジネス

最近はSwitchの話題ばかりだが、今年に入ってPS4の販売台数はSwitchを越えている。モンハンの影響もあるが、販売開始から5年目に入ろうとしているプラットフォームとしては上出来だ。世界歴代販売台数は歴代PSの中でも最高水準。PS Plusによる定期収入もあり、PSビジネスは安定している。

jp.ign.com

今のPS4に足りないのは話題性と将来へのメッセージだろう。

PS VRはVRの宿命から逃れられない

f:id:tkan1111:20170123143506p:plain

 

PS VRは昨年でVR機器としては初めて累計販売台数が200万台越えたが、再三指摘されているようにVR機器はマスに浸透しにくい。ゴーグルや接続ケーブルなど使用するために手間がかかるのと個人でしか楽しめないのは家庭用機器としては致命的だ。

普通のコントローラーのようにPS VRが一般化し「一人一台」になるとは考えづらい。子どもが使用できない課題も残っている。

VR機器が一般化しないと見切って『Nintendo Labo』を開発した任天堂とは真逆のアプローチだ。 

一般ユーザーにはわかりにくいPS4 Pro

「PS4 Pro」の画像検索結果

PS史上初となる同一プラットフォームの上位機器『PS4 Pro』はマス向けではないので、無印PS4の販売台数を超えることはない。3DS LLの大きい画面サイズのように見た目でわかる差異がないので上位機器が標準機器化することは起きていない。PS VRが失速すると、一般ユーザーにはPS4 Proの必要性がますます見えにくくなるだろう。 

次の策は?

今後PS4はどうすればよいのだろう。今のままでも安定した売上があるし、おそらくPS5の登場は当分先で、当面は既存製品のブラッシュアップによるPS4プラットフォームの維持に努めると思われる(どこかで無印PS4とPS4 Proが統合されるかもしれない)。

ただ、このままSwitchの売上が伸び『Nintendo Labo』のような目立つ新製品でSwitchに話題が集中すると、将来の売上に影響しかねない。Switchにユーザーが流れれば、安定収入の源であるPS Plusの会員数も減っていく可能性もある。

VR機器が一般化しないことを認め、新たな施策が求められる。

PlayStation 4 Pro ジェット・ブラック 1TB (CUH-7100BB01)

PlayStation 4 Pro ジェット・ブラック 1TB (CUH-7100BB01)

 

 

Amazonのビジネスモデルは”人”

Amazonにはビジネスモデルがない?

「amazon logo」の画像検索結果Amazonには確固たるビジネスモデルがないといったら反論する人が多いだろうか。強力なリコメンド機能を要する世界最大のインターネット通販がビジネスモデルだと言う人もいるだろうが、現在のAmazonは通販だけではない。

AWSやFire TV、Amazon Video、Alexa、実店舗である「Amazon Go」など、Amazonのビジネスは多岐にわたる。インターネットサービス、ハードウェア、実店舗とITを使うことであればなんでも行っているようにみえる。

Amazonの思想の中心にはあるのは、「顧客中心主義」である。顧客が望むものなら最上級のもの・コトを提供することを目指しているうちにビジネス領域が拡大していった。

「顧客中心主義」を支えているのはITではない。ITシステムを開発し、運営しているAmazonの従業員だ。Amazonのビジネスモデルは何か? と聞かれたら、筆者は「優秀な人材の活用」と答えるだろう。 

Amazonに入社するためには

Amazonの人材戦略は徹底している。一定のクラス以上のポジションを採用するとき、候補者は面接を受けるだけではなく、小論文を提出しなければならない。Amazonでは6人の面接官が別々に6回面接を行い、全員が合意しないとその候補者を採用しない。

採用したあとも従業員は厳しいターゲットが設定され、常に結果が求められる。外資系企業は大体おなじような仕組みだが、他のIT企業から転職した人曰く「Amazonは別格に厳しい」そうだ。

Amazonは全世界的に人材を募集しているが、急成長しているだけではなく、おそらく退職率も高いのだろう。

入社すると「顧客中心主義」についての教育を受けて、社内全員が「お客様のためにもっと良いことはないのか?」を議論する土壌があり、お客様が喜ばない意見や施策を社員同士が阻止する文化がある。

「お客様第一」を掲げる社長は多いが、従業員全員が同じ認識をもたないと真のお客様満足度向上は実現できない。社長がすべての施策をチェックできるわけではないし、全員の社員を指導できるわけではない。社員同士が指摘し合える環境が大事なのだ。

「Amazon 対 他全企業」

優秀な社員が「お客様中心主義」を追求した結果、「お客様が求めること」を次々に実現していったのがAmazon拡大の歴史だ。

インターネット通販やパブリッククラウドで先行しただけではなく、そこからの進化のスピードもライバル企業とは比較にならない。だから、いつまでたってもAmazonとの距離は縮まらず、むしろ広がっていく。「大企業病」「過去の成功体験から抜け出せない」といった問題はAmazonにはまだ見受けられない。

様々な業界で「Amazon 対 他全企業」と構図ができつつあり、その流れは止まりそうにない。

www.kantakayama.com

AirPodsをもっているのに、他のワイヤレスイヤホンを買った理由

格安ワイヤレスイヤホンを購入

AirPodsとは別に、新しい格安ワイヤレスイヤホンを買ったが、AirPodsとくらべて使い勝手が悪くて仕方がない。充電台から外して使用するときに両耳の電源ボタンを毎回押さないといけないのが面倒すぎる。AirPodsなら電源を入れなくても(そもそも電源ボタンがない)ダブルタップすれば再生できる(設定次第だが)。

f:id:tkan1111:20180202170928p:plain

AirPodsがあるのに新たにイヤホンを購入した理由は、MacbookとiPhoneの切り替えが面倒だからだ。

AirPodsはiOSデバイスとの接続が簡単というのが売りで、セットアップ時は簡単なステップで完了できるが、切り替え時の面倒な操作は残っている。

 

偽マルチポイント機能

AirPodsは複数のiOSデバイスと同時に接続できるマルチポイント機能はあるが、動作が独特で切り替えは手動で行わなければいけない。

たとえば自宅でMacbookと接続して音楽を聴いた後、屋外に出たらiPhoneと自動で接続してほしいが、手動で切り替えが必要だ。

二台あればMacとiPhoneで一個ずつイヤホンを専用にできるので、切り替えが不要だ。

通常のマルチポイント機能はスマートホンとPCの両方が接続できて、PCで音楽を聴いているときスマートホンに着信があったら切り替えなくても電話で話せるが、AirPodsではできない。MacとiPhoneなら、iPhoneに着信してMacで電話が取れるので問題にならないが、PCとiPhoneや、MacとAndroidでは、そうはいかない。

 次期AirPodsがでるか、可能ならソフトウェア・アップデートで解消してほしいところだ。

Apple AirPods 完全ワイヤレスイヤホン Bluetooth対応 マイク付き MMEF2J/A

Apple AirPods 完全ワイヤレスイヤホン Bluetooth対応 マイク付き MMEF2J/A

 

 

宮本の野望

社長のインタビュー

インタビュー記事の後半で、君島社長は興味深い発言をしている。

一人一台の野望

宮本さんの発言「究極の野望は一人一台」について「可能性としてはある」とフォローしている。この後、ポータブル機であるSwitchなら一人一台もあり得ると発言している。

一方で、3DSは完全な子供向け機器として残るとも言っている。爆発的な売上だったSwitchの影に隠れているが、3DSもまだ売れており、スマホを持てない子ども向け機器の地位を確立している。

大人向けポータブル機はSwitchを脅かす存在はないので、3DSと合わせてポータブル機市場で任天堂は有利な立場にいる。

スマホゲームで学んだ任天堂

自らスマホゲームを開発・販売することで任天堂は多くのデータを収集したに違いない。スマホゲームは普段ゲームをしない層には浸透しても、本格的にゲームを行う(ゲームにお金を落としてくれる)層は専用機で遊ぶ確信を得たに違いない。事実、スマホの影響を懸念されたSwitchは大ヒットした。

ただ、「一人一台」Switchに普及させるためには、子どもにもSwitchを売る必要がある。その鍵が「Nintendo Labo」だ。「Nintendo Labo」はライトゲーマーを狙うのと同時に3DSをすでに所有する子どももターゲットにしている。

「一人一台」の野望に向けて、任天堂は布石を打つ。

Nintendo Switch Joy-Con (L) ネオンブルー/ (R) ネオンレッド

Nintendo Switch Joy-Con (L) ネオンブルー/ (R) ネオンレッド

 

Wii Uとは逆のアプローチだったNintendo Switch

ヒットしたSwitch

Nintendo Switchが売れないという筆者の予測は大外れだったわけだが、Switchに対する筆者の懸念はオリジナルゲームの不足とターゲットカスタマーの不在だった。

 任天堂の方針転換

Switchに予定されていたゲームのほとんどはリメイクか併売で、Switchオリジナルのタイトルは「スプラトゥーン2」「スーパーマリオ オデッセイ」だけだった。

Wiiのときに任天堂が得意としていたライトゲーマーはスマホに奪われ、コアゲーマーがPS4が抑えている市場では、Switchが入り込む余地がないと考えた。

結果は筆者の予測とは真逆にSwitchは大成功を収めた。どうしてSwitchが成功したのか、今ひとつ腑に落ちてなかったが、社長のインタビュー記事を読んで氷解した。

diamond.jp

Switchから任天堂は方針を180度変更したのだ。

Wii Uまではライトゲーマーへの浸透を優先し、ユーザーが揃ってきたところでコアゲーマーにターゲットを広げる戦略だったが、SwitchではコアゲーマーにSwitchが本格ゲームを行うゲーム機だと認識をさせてから、ライト層に広める戦略に変わった。

 

  • Wii / Wii U: ライトゲーマー (Wii Party, Wii Fitなど)→ コアゲーマー(スプラトゥーンなど)
  • Switch: コアゲーマー(ゼルダ、スプラトゥーン2など)→ライトゲーマー(スーパーマリオ オデッセイ、Nintendo Laboなど)

ゲーム機を売るためには、毎月ゲームを購入してくれるコアゲーマーを抑えなければいけないことに任天堂は気づいたに違いない。

コアゲーマーはPS4が抑えているが、任天堂にはマリオなどの豊富なIPがある。ゼルダやスプラトゥーン2を投入することでPS4を所有するコアゲーマーにも浸透できると判断した。 

任天堂が放つ次の矢

「Switchは本格ゲーム機」と認識させてイメージを確立したあとに、少しずつライト層にターゲットを広げる。その嚆矢が「Nintendo Labo」だ。

君島社長が「Laboは教育のためではない」と慎重に言葉を選んでいるのは、「Switchはゲーム機」というイメージを壊したくないからだろう。

その上で、ゲームを行わない(ゲームは子供に良くないと思っている)層にSwitchを買ってもらうために「Nintendo Labo」を投入する。「Nintendo Labo」が新たなプラットフォームとして成功すれば、次々と新しい対応製品が登場し、任天堂ユーザーの拡大に貢献することになる。

今のところ、任天堂の新しい戦略は成功しているように見える。今後の鍵はコアゲーマーを満足させる本格的ゲームを定期的に提供できるかにかかっているし、そのためにはサードパーティーの本格参入が不可欠だ。

Nintendo Switch Joy-Con (L) ネオンブルー/ (R) ネオンレッド

Nintendo Switch Joy-Con (L) ネオンブルー/ (R) ネオンレッド

 

 

Apple Watchを殺すのはアプリ

貧弱なApple Watchのアプリ

しつこくApple Watchについて書く。

f:id:tkan1111:20180209141007p:plain

Apple Watchを使用する人は増えているが、新たにアプリをインストールして使っている人がどれぐらいいるのだろう。
筆者は三年間Apple Watchを毎日腕にはめているが、毎日使うサード製アプリはひとつもない。ランニング時に使っているのはNikeのランニングアプリ「Nike+ Run Club」だが、Apple WatchのNikeモデルにプリインストールされているアプリだ。
「通知」「電話」「メッセージ」といった標準アプリでほとんど事足りるが、筆者がたまに使うサードアプリは、こちら。

たまには使うサードアプリ

  • ランニング・・・「Nike+ Run Club」。標準のアプリ「ワークアウト」や「Runtastic Pro」「Run Keeper」などあるが、走行距離をNikeアプリでずっと蓄積しているので変更しないで使っている。
    「Nike+ Run Club」への要望は走行中に「スプリット単位のペース」が表示されないこと。今のペースと通算のペースは教えてくれるけど、直近1キロのペースはわからない。
    「Nike+ Run Club」はApple Watch単体で使用できるけど、iPhoneでアプリを起動するとApple Watchで表示されないことがある。
  • ニュース・・・「Filpboard」。「Google News」「カメリオ」もあるが、「Flipboard」が一番長く記事を読ませてくれる。他のアプリは数行しかニュースを表示できないので、興味がある記事はiPhoneで読み直さないといけない。
  • 交通情報・・・「駅すぱあと」。「乗換案内」「NAVITIME」など複数のアプリがあるが、Apple Watchに求めているのは降りる駅についたら教えてくれる「アラームなので「駅すぱあと」を使っている。
使用しているアプリは本当にこれだけ。Nike以外のアプリは、ほとんど使わない。Apple Watch対応のアプリは以前よりも減ってきている。WatchOSがバージョンアップされて、Watch単体での稼働など要求が厳しくなったこともあり、当初は対応していた「Twitter」「MoneyForward」など利用者が少なかったのか対応をやめてしまった。 

Apple Watchのプラットフォーム化

AppleがApple Watchを新しいプラットフォームとして育てたいなら、この状況を変える必要がある。iPhoneのApp Storeの成功でもわかるとおり、アプリのエコシステムの拡充はプラットフォームづくりに欠かせない(Apple TVも同じ状況だし、Apple以外の製品も同様な課題を抱えているので、Apple Watchだけの問題ではないが)。 

キラーアプリは大事

誰もがApple Watchを使いたいと思えるような「キラーアプリ」「キラージャンル」が求められる。 このままアプリが増えていかなければ、少ないアプリがApple Watchの魅力を損ない、Apple Watchというプラットフォームを殺すことになるだろう。

 

Apple Watchが目指す場所

次世代Apple Watchはどうなる?

次世代Apple Watchが3月に登場する噂があるが、過去の例から見ても半年後のモデルチェンジはないだろう。

www.gizmodo.jp

Appleの決算をみると、Apple Watchの販売は好調のようだから賭けにでる必要はない。せいぜい新しいバンドかブランドとのコラボぐらいに違いない。

例年通りであれば9月に発表される4代目Apple Watchはどんな姿になるのだろう。

カメラが欲しい

何の情報もないが筆者の予想は「カメラ付き」だ。Apple Watchの歴史はスマホの進歩と重なる。Apple Watchは台を重ねるごとに、スマホ機能を腕時計に少しずつ搭載してきた。

  • 初代・・・通知やメール、電話機能。初代iPhoneの機能に酷似
  • 二代目・・GPS機能搭載 (iPhoneでは3Gから搭載)
  • 三代目・・セルラー機能搭載

スマホ機能でもっとも使われるカメラがApple Watchにはない。iPhoneを一緒に携帯しているうちはよかったが、三代目からApple Watchは独立で操作できるようになった。

Apple Watch単体を身に着けてランニングしているときにほしいのがカメラ機能だ。走っていてきれいな夕焼けにであったときに風景を写真に残したい。

Apple Watchの目指す場所

動作速度とバッテリーは改善されるだろう。三代目のバッテリー性能ではApple Watch単体で長時間の通信を行えない。

Apple Watchの機能はスマホに少しずつ近づいていき「iPhoneを持たなくても、まあいいかな」というところまでもっていくのがAppleの野望だろう。その世界でもスマホがなくなることはないし、大画面化が進むiPhoneとの差別化ができると判断しているはずだ。

Apple Watchにみる「たった、それっぽち」にこだわる重要性

セルラー版Apple Watchの利点

毎日Apple Watch series 3セルラー版を身につけるようになって3ヶ月が経過した。series 3の大きな変化はセルラー機能が搭載されて、iPhoneがなくてもApple Watch単体で通信ができるようになったことだ。

f:id:tkan1111:20180209141007p:plain

「たった、それっぽち」

series 3が登場したときに、多くの人の意見は「iPhoneをもたないシチュエーションがない」だった。その意見は正しい。実際に筆者がセルラー機能を用いたのはランニングするときだけだ。

初代Apple Watchは、ラグジュアリーな高級時計のリプレースをターゲットにしていたが、高価なApple WatchがAppleの想定通りには受け入れられず、二代目からスポーツウォッチに軌道修正がされた。搭載されたGPSのおかげでiPhoneがなくてもランニング中に正確な歩数を計測できるようになったが、通信機能がなかったのでiPhoneなしでは連絡が取れない状態は変わらなかった。

ランナーにとってはセルラー版Apple Watchは「正常進化」なのだが、走らない人にとっては「iPhoneをもてばいいじゃん」で終わる話だ。

筆者が走るとき、今まではウェストポーチにiPhoneを入れて走っていたが、iPhoneをもたなくてすむようになったのでウェストポーチもつけなくなった。

「たった、それっぽち」のことなのだが、ひとつでもストレスを減らすことが重要なのだ。

ITの歴史は「たったそれっぽち」解消の積み重ね

iPhone 8 / Xから導入されたワイヤレス充電も同様だ。「ケーブルを挿せば」ワイヤレス充電は不要だし、充電速度もむしろ速い。機能的には不要なものだ。しかし、ワイヤレス充電を体感すると、ケーブルを挿す作業がいかにわずわらしいかよくわかる。

昔、Wi-Fiが出始めた頃「LANケーブルを挿せばすむのに、どうして高価な無線LANが必要なんだ」の議論があった。だがWi-Fiが標準的なネットワークとなり、Wi-Fiの普及はPCだけではなく、テレビやスマートスピーカーなど様々な製品をネットに接続することに繋がった。もしも「たった、それだけ」だからとWi-Fiの可能性を無視していれば、今のIoTも登場が遅れただろう。

Appleは床の段差にさえこだわる

Appleの新しい本社「Apple Park」では、社内を歩くエンジニアの思考が遮られないように少しの段差も排除して設計されたそうだ。「段差があるから注意しよう」と頭の隅で思うだけで思考が乱れ、引いては世界を変える製品の開発が遅れる。

「たった、それっぽち」の床の段差が結果に大きく影響する。

Apple Watchのセルラー搭載はiPhoneを持ち歩く「たった、それっぽち」の手間を減らす行為だが、ここを出発点として腕時計型端末が進化し、将来的にはスマートフォンを持ち歩くことがなくなるかもしれない。

時代の速度が早まり、人々の時間と頭脳労働の重要性が増した現在では、少しのストレスに注目し、減らす努力した製品が生き残れる時代になってきている。

 

コンピューターにおける「集中と分散」について

集中と分散

コンピューターの歴史は「集中と分散」を繰り返しているという言説がある。オフコンによる集中管理からクライアント=サーバー型による分散、インターネットによりさらに分散が進み、クラウドによって再びデータとリソースの集中が行われたという説だ。

今まさにエッジコンピューターによる分散がはじまろうとしていて、「集中と分散」説が改めて証明されたといわれる。

コンピューターにおける「集中と分散」は、演算パワー、ストレージの価格、ネットワーク速度のバランスで決まる。オフコン時代はすべてが非力だったため、端末にデータを保管し、計算させることは不可能だった。

演算パワーとHDDを搭載したPCの登場で、クライアント端末でもデータを格納できるようになり、ネットワーク技術の進歩の結果であるインターネットは世界中のサーバーとストレージへのデータ・リソースの分散をもたらした。

2010年代に入ると、増えすぎたサーバーとストレージの管理の負担が増大し、クラウドが登場した。クラウドが実現したのはネットワーク速度の向上とストレージの価格が下落したためだ。

クラウドの時代ではクライアント側に強大な演算パワーは不要になり、小型のスマホでもPCと同等の作業ができるようになった。

再び始まった分散化

ここ数年はAIやディープラーニングに注目が集まり、より強大な演算パワーが必要になってきた。ネットワーク越しで処理するには時間がかかり過ぎるところに、GPUを用いて強化されたクライアントの演算パワーにより、エッジコンピューターの概念が生まれた。

P2Pを拡張したブロックチェーン技術も発明され、中央管理者のいないシステムが構築されはじめている。

エッジコンピューターとブロックチェーンにより、またコンピューターの分散化がはじまったというわけだ。

カギを握る5Gとブロックチェーン

長くなったが、以上が今までのコンピューターの歴史だ。「集中と分散」は、その時の技術とコストによって決まっていたわけで、技術動向によって今後も変わっていくだろう。たとえば高速モバイルネットワークである5Gが普及すれば、ネットワーク遅延も低減し、クラウド上でのサービス提供が標準となるに違いない。

クライアント製品を売りたい企業の思惑を別にすれば、集中管理したほうがコストは抑えられるわけで、リソースとサービスの寡占化が今後は進むと予想する。

懸念はセキュリティだ。集中管理したシステムに情報漏えいが起きれば被害が大規模になる。一企業に管理が集中すれば、企業内部のガバナンスも課題になる。

管理の透明化のためにブロックチェーン技術が注目されているのも必然だ。今後もリソースの集中化は進むが、管理の透明性・民主化を図るための分散技術がより重要視されるのではないだろうか。

www.kantakayama.com